八十川先生講義録
来談者中心療法(1) 2001.5/20
1 来談者中心療法とは

「来談者中心療法」(←自己理論)
・カウンセリングにはいろいろあるが、最も入門的であり、基本になるもの。
・ひたすら「うんうん」聞くのが基本。
・来談者中心療法を支える理論が「自己理論」。ガソリンがあって自動車が走る、それと同様に自己理論に則って来談者中心療法がある。
・来談者中心療法、自己理論共にこれを作ったのが、カール・ロジャースC.Rogers(1904〜1986)



2 来談者中心療法の方法

・「非指示的方法nondelectiveノンデレとも」良い悪い、ああしなさい、こうしなさいと言わない。クライエントに聞かれても答えない。



3 変遷

・1940年代、50年代、60年代、とロジャースの考え方は変化するる。だがその中に変わらないものがある。

1)1940年代のロジャース → 技法を重視

・技法とは受容、繰り返し、明確化などのこと。またこれらを合わせて三大技法と呼ぶ。
・技法 → 心が浄化(=カタルシス=心が洗われる、すっきりする) → 洞察(気づき)・つまり「技法によりクライエントの気づきを待つ」のが40年代の特徴。


2)1950年代のロジャース → カウンセラーの態度を重視

・カウンセラーがクライエントの枠組み(ものの考え方fame of reference)に気づくこと。
そこには共感がある。こうしてカウンセラーがクライエントの考え方に近づき、歩みよる、またそれに合わせる。
・つまり40年代とは異なり、「クライエントとカウンセラーが一緒に考えることが大切」と考えるのが50年代の特徴。


3)1960年代のロジャース → お互い人間として語り合おう

・40・50年代のロジャースの考え方は、あくまでも「治す人」「治される人」というプロフェッショナルな関係であった。50年代のロジャースはこれを否定する。それがclient centered(1940年代) でもなく person centered(1950年代)でもない、 エンカウンターencounterである。
 ただ実際には全てをさらけ出し、それをきちんと修復することは難しい。いくら高機能でもそれを使いこなせなければ意味がない。40・50年代のロジャースのやり方で十分効果はある。まず技法をきちんと押さえること。それが基本である。


・3つの年代に共通することは「カウンセラーのリレーション(関わり)が人を変える」ということ。自分の考えを捨て、空いての枠組みで考える(=共感)ことは、「自分のことを理解してくれる人がいる」ということ。それが気づきにつながる。


4 技法

1)場面構成 テキスト

・アメリカ流にまず、契約について話す。またあくまでもあなた自身の問題であり、あなた自身が解決しなければならないこと。
・話した内容は秘密に取り扱う、これが原則。ただ親や担任から相談内容について聞かれたらある程度言わなければならないことも出てくる。その場合は「これくらいは話していいか」と確認する。
・テキストには「何でも話して下さい」とあるが、八十川先生はそうは言わない。「言いたくないことや、言わなくて済むことは言わなくていいよ」と話す。言わなくていいよ、という方がかえって話してくれるという。
・面接時間は最大限1時間。時間が来たら切ること。ただ自殺の恐れがあるときは別。心配がなくならない限り続ける。それ以外は時間枠で区切る。


2)ラポートづくり  テキスト

・ラポートとは雰囲気のこと。ラポールとも言う。
・いきなり本題には入らない。天気の話などしてムードをつくる。


3)受容 テキスト

・一切相手のことを批判しない、評価しない、攻撃しない。
・たとえ浅はかなこと、非道徳的なこと、犯罪的なこと(殺してやりたいなど)でも。
・この時、言葉で言うことと実際に行動することとは別問題と考える。実際に行動を起こしているときには、もちろん止める必要がある。
・たいていの人は常に批判され、評価され、攻撃されている。だからこそ、それをしない人には安心できるし、安心して話せる。
・話すだけでも気が晴れることはある、いわんや理解してくれる人なら。安心して話すことができればカタルシスが生まれる。
・「あの人」という表現(父との距離を感じさせる)、固有名詞(場所、名前)には注意を払うこと。それをどのように受け止め、表現しているかに注意。

・これらの技法は、日常生活の中で練習をすると良い。



 (文責:菊田)
index
この印刷物は、伊東カウンセリング研究会のウェブサイトからプリントアウトされたものです。著作権は全て伊東カウンセリング研究会とそのウェブサイト管理者にあります。URL:http://www1.odn.ne.jp/k2/counsering/counsering.htm