八十川先生講義録
来談者中心療法(5) 2001.12/9

受容について〜ある質問に答えて
・来談者中心療法では、万引きした生徒を目の前にしても、「うんうん」と聞く。良い・悪いは言わない。それに対して「それでは万引きを許容した事にならないか」という質問があった。
・aproveの場合、そこには価値が含まれる。
・acceptanceは何でも受け入れる。だがそこに価値valueはない。良い悪いといった評価がない、といっても良いかもしれない。受容は万引きの善悪を認めるのではなく、感情を認め、受け入れること。感情を受け止め、受け入れることであって、行為を受け入れるわけではない。
・万引きの場合で言えば、悪いということはわかっている。わかっているからこそ、相談に来たのである。だから感情に焦点を当てた方がかえって行為の善し悪しに気がつくのではないか。
・憲法には「思想・良心の自由」というのがある。これは「思う自由」と言い換えても良い。心の中は全くの自由である。「人を殺したい」と思っても構わない。だが口に出せば場合によっては脅迫になることもある。これと同様に心の中の部分については受け止めて良い。




共感
 最近のニュースで、えひめ丸の事故で亡くなった息子に対面した親が「寒かったでしょうね」と声をかけていた。これが共感である。




4技法の続き
6)カタルシス(浄化)

・こころの洗浄。心が洗われる。すがすがしくなる状態。
・今まで押さえていた感情を出し、吐露することで生まれる。
・よく似た言葉に告白cofessionがある。例えば神の前で心の中に隠していたことを語る。話すとホッとする。この感情のことをカタルシスという。
・大自然に触れてすがすがしい思いをするといった場合などはカタルシスとは言わない。
・泣くこともある。泣くとストレスがたまらない。泣くことは感情を発散させることであり、感情をためないこと。だからすっきりする。
・八十川先生はかつて「生徒指導では泣かせてから帰せ」と言われたという。感情を爆発させてから返さないと、ためた感情を帰り道で爆発させて電車に飛び込んだりするかもしれない、との配慮である。
・カタルシスが生じるにはラポールがあること。つまりクライエントがカウンセラーを信頼すること。そのためには秘密を守ることが絶対条件。



テキストから
例1 C2では母を他の人と受けているが、これはどうか。「母」という語にはそれなりの意味があるはず。だが話の中で、母に対する特別な感情が既に出ていたので敢えて「他の人」と受けたとも考えられる。
例2 沈黙が多いので、ひたすら繰り返している。その結果、隠してた部分との乖離に耐えられなくなり、本当の理由を吐露している。きちんと相手のことを受け止め、繰り返していけばカタルシスに到達する。
例3 C6はうまい。

 来談者中心療法が終わったら、内観、ゲシュタルト、森田療法などその他の技法を扱う。


 (文責:菊田)
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