八十川先生講義録
論理療法(2) 2002.6/18

論理療法の続き
復習から


・カウンセリングの基本理論(三大理論)
1)来談者中心療法(自己理論)
2)行動療法(行動理論)
3)精神分析(精神分析理論)医者でなければできない
・以上の基本理論に続く第三勢力として、論理療法、ゲシュタルト療法、交流分析、家族療法、箱庭療法などがある。
・これまで八十川先生が扱った事例を総括してみると、「母親が愛してくれない」など周囲に対して「〜してくれない」と訴えるケースが多かった。そういったクライエントに逆に「あなたは周囲に対してどうして(あげて)いるのか」と聞くと、ほとんどが答えられない。そして実際何もしていない。つまり「愛してくれ」と要求はするが、人を愛せない、また愛したことがないのである。
・つまり行き詰まる人間には「自分から動こうとしない」という傾向が共通してあるといえる。従って、カウンセリングは「うんうん、はあはあ」と聞くことというイメージがあるが、「そういうお前はどうなんだ?」と問うことも必要。論理療法とはそういう理論である。

論理療法Rationnal-Emotive Therapy 略称RT(RET)
・精神分析は自由連想法から、過去のトラウマを取り出し、クライエントに告げる。だが思い出しくないことを突きつけられれば防衛機制が働く。防衛機制を働かせないで治療をする方法が必要になってくる。
・そして従来の心理療法では、感情を重視している。「感情=問題行動の源泉」であり、従って治療では感情に迫っていく。
・それに対し論理療法では「感情=言語記述」であると考える。従って「非論理的感情=非論理的文章記述」であり、治療とは、言語記述を書き換えることにほかならない。いわば「神経症は、非論理的文章記述で洗脳されている」ということになる。
・「みんなが自分に対して親切ではない」という訴えは、「世の中の人は自分に温かく接してくれるべきである」という前提がある。つまりこれは現実をどう捉えるかという問題であり、現象学の問題である。そして非論理的なビリーフにとらわれると生きづらくなるし、行き詰まる。
・月謝を払ったというのはよい表現。失敗を前向きに捉え、次に活かす発想である。
・論理療法に後悔はない。

続き
5)人間の不幸は外因的である。
・現象学の立場では、出来事を人のせいにしない。なぜなら「人間は過去や外界の奴隷ではない」と考えるからである。精神分析的に過去のトラウマで人生が決まるわけではない。つらい環境に育ったからといって、人生が開けないわけでもない。つらい子供時代を送っても、また送ったからこそ成功する人もいる。
・論理療法では「人生はゲームであるLife is game」と考える。ゲームだからこそ浮くこともあるし、沈むこともある。

6)何か危険が起こりそうな時は心配するのが当然
ex.「地震が起きるらしい」「富士山が爆発するらしい」「どうしよう」と何も手に付かない。
・これは「何とかなる」という文章記述に書き換えればよい。また備えがあれば不安も少なくなるであろう。ただ心配ばかりする人は往々にして何の備えもしていない。

7)人生の困難は、これに立ち向かうよりも避ける方がラク
・人間は自分一人では生きているわけではない。赤ん坊の時には、誰かの手を借りなければ生きることすらできない。だが、いつもいつも逃げていたのでは人生終わりである。怖くても立ち向かうことは必要。「
つらいときにどういう行動をとるか。それがその人の価値である」。
・竹が強いのは節があるから。困難を乗り越えれば、」それは勲章である。
・親は子供が挫折しないように、と庇護するが、挫折体験は大切なものである。挫折しないようにと腐心するよりは、挫折したその時、一緒にいて立ち直るよう声をかけることの方が大切。

8)人にたよって甘えて生きる。
・自主的な決断が最も大切である。
・では甘えてはいけないのか。「相互に甘えるのが健全だ」(サティ:精神分析者)

9)人にはそれぞれやむを得ない過去あるからしかたがない
・死んでしまったら本当に「仕方がない」と思えるが、過去が「そう」だったからといって現在が「こう」である理由は何もない。「人間は過去の奴隷ではない」のであり、結局は過去のせいにしているのだ。過去は過去、現在は現在なのだ。分けて考えるべき。

10)人から非難、拒否されたとき、自分はダメな人間なんだと思う
・出る杭は打たれる。もちろん誤りは正せばよい。だが打たれたからといってダメだとは限らない。

次回、論理療法のまとめとゲシュタルト療法。

 (文責:菊田)
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