八十川先生講義録 | ||||||||||||||||||||||||||||||
精神病・神経症について 2003.3/16 | ||||||||||||||||||||||||||||||
<おことわり> 「精神分裂病」は現在「統合失調症」と呼ばれています。 精神病 ・心の病はは大きく分けると「精神病」と「神経症」の2つに分かれる。 ・さらに主な精神病として「分裂病(統合失調症)」「うつ病(躁病・躁うつ病を含む)」の2つにがある。 ・精神病と神経症とは何が違うか。精神病は医者(精神科医)の範疇である。カウンセラーだけで治るものではない。一方神経症はカウンセラーの範囲内である。心理療法などで治療可能である。 ・従って、精神病はカウンセラーの手には負えない。だが少なくともカウンセラーも周辺領域について知っている必要がある。 うつ病Depression ・感情と意欲の障害。つまりやる気が起きない。 ・カウンセリング場面ではDなどと記号化してメモするとよい。 ・うつ病には、単極型と双極型(両極型)2つのタイプがある。 a)単極型 ・躁、うつのどちらかが期間をおいて出る
b)双極型(両極型) ・躁とうつが概ね交互に出る。 ![]() ・説によって異なるが、発症率は躁うつ病が0.5%、分裂が0.7%。ただし八十川先生の印象では躁うつの方が発症率が高いという。 ・クレペリン検査で有名なクレペリンが早発性痴呆(いわゆる分裂のこと)と躁うつ病を区別して分類した。 うつ病の特徴と原因 ・周期性、循環性。つまりある一定の期間をおいてやってくるということ。逆に言えば、普通の状態がある、ということであり、おかしくなりかけたことが察知できればそこで薬を飲めばよい。 ・うつ病の原因は、身体的原因と精神的原因の2つに分けられる。 a)身体的原因 ・外因性 … 脳の外傷、脳炎、脳の血管障害など ・内因性 … 素質、つまり遺伝的な原因によるもの b)精神的原因 … 身近な人の死、転勤など うつ病の種類 1)内因性うつ病 ・最も一般的なうつ病は内因性うつ病である。一方、死別、転勤、失恋、退職、昇進などの誘因がきっかけでうつ病になることもある。特に男性。 ・うつ状態とうつ病は異なる。うつ状態の人はかならずうつ病になるかというとそうではない。例えば身内の死に接すれば誰でもうつ状態になる。だが身体的な要素がなければうつ病にはならない。 ・女性は家庭不和、妊娠、出産、閉経などがきっかけとなることが多い。 2)初老期うつ病・高年期うつ病・退行期うつ病 ・症状として、あせり、不安などが大きい。また女性では、ガンなどで乳房、子宮、卵巣をとった場合などに起こることがある。 3)老年期うつ病 4)反応性うつ病 ・一時的にうつになる。離婚、破産などによる感情反応がきっかけとなる。うつ状態といってもよい。 5)神経症性うつ病 ・神経症から来るうつ。抑うつ性神経症といってもよい。耐性(トレランス)の低い人、つまり甘やかされて育った人が多い。 内因性うつ病になる人の性格 ・几帳面、真面目、融通が利かない、徹底的にやる、熱中性など。このような性格をメランコリー親和型性格という。つまりこだわりの強いタイプである。決して自己中なタイプではなく、他人のために尽くすタイプといってよい。尽くしすぎて疲れてしまう、と言える。 ・一方神経症になる人は、未熟、わがままな人である。自己中心的といってもよい。 内因性うつ病の症状 1)生命感情(生命維持に直接関係する感情)つまり食欲、性欲など生きることに対する基本的感性の後退。 2)行動に対する意欲の低下。何もやる気がしない。仕事をする意欲が湧かない。風呂にも入らない。 ・基本的にはこれら1)、2)で概ねうつの診断はつく。 ・一日のうちで朝が抑うつ、午後からよくなるというリズム障害とも言うべきタイプもある。 ・また神経症によるうつ症状の人は喜怒哀楽レベルの感情の問題であり、食欲、性欲の後退はない。 ・一方、躁病は、夜寝ない、スケールの大きいことをやり出すなどの症状が見られる。 自立訓練法について ・神経には体性神経*1と自律神経がある。体性神経は随意神経であり、自分の意志で体を動かす神経である。一方自律神経は不随意である。自らの意思にかかわらず内臓を動かす為の神経である。 ・自律神経はさらに交感神経と副交感神経にわかれる。交感神経は体を活動させる神経であり、副交感神経は体を休めた状態にする神経である。
・自立訓練とは、自分で自分に催眠をかけることである。筋肉を弛緩させることで自分の体を交感神経優位から副交感神経優位にさせ、精神的に安定させる(上の図の矢印を反対向きに行う)方法。 ・このように自立訓練法などで治療を行う分野を精神身体医学という。
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(文責:菊田) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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