“ゆい”例会報告−2000(平成12)年5月26日

2000(平成12)年5月合同例会の報告 


1 チャレンジ100冊−加藤文庫−           【加藤 好一】
 多賀中学校1年生の取り組み。8切画用紙3枚を“団結綴じ”した読書の手引きには、次の案内がある。


 このしおりは、加藤文庫から本を選び出す時の一つのガイドブックとして活用してください。しかし、ここで紹介した本に特にこだわる必要はありません。自分の目で面白い本を選び、まずは“100冊”にチャレンジして下さい。
 選んだ本を読み終わったら、そのタイトルのところにシールを貼って次の本にチャレンジして下さい。自分で選んだ本の場合は、何も書いていないページにその本のタイトルを書いてシールを貼って下さい。すでに自分で読ん本があれば、そこにも貼って下さい。
 10冊、20冊、30冊…と区切りがついたところで、担任の先生か加藤まで、このしおりを提出してサインをもらって下さい。




 加藤氏の書斎は、窓を除くすべての壁に本がびっしり並ぶ。床から天井まで本棚である。サークルを結成した14年前は、加藤氏の書斎にとどまっていた本棚が、今では廊下にまで進出している。家の柱は、必死に本の重みを支えている。
 多賀中学校では、朝の読書を展開している。読書好きな生徒を増やすべく、加藤文庫を開設した。絵本や漫画から始まり、星新一や椎名誠を経て、岩波少年文庫へ至る誘いの道標。
 例会では、廉価で本を入手する方法が披露された。伊東商業高校の傍の「ブックオフ」では、1冊100円で“さくらももこ”シリーズや「金田一少年の事件簿」が買える。函南・三島・長泉・沼津方面はこの手の本屋が数多くある。
 朝の読書によって、校内には落ち着きが戻りつつあるという。10〜15分、読書に没頭するのは貴重な時間だと思う。



2 切手とお札−韓国修学旅行“総合学習”−       【菊田 兼一】
 伊東商業高校での韓国修学旅行は、これまで4回実施された。これに対応した総合学習(35時間)を開発しようと、菊田氏は実践を積み上げてきた。自己の実践を反芻し、改善を加え、再挑戦する姿勢には感心するばかりである。
 菊田氏の「韓国修学旅行」総合学習には、3つの興味深い授業がある。1つは「焼肉とキムチ」、2つは「切手とお札」、3つは「鉄道と丹那トンネル」である。今回は、「鉄道と丹那トンネル」「切手とお札」の授業プリントを紹介する。
生徒の興味・関心をひく効果的な授業と言えるだろう。
 さて、生徒は韓国に対して“根拠のない優越感”を抱く。嗅覚から来る蔑視、韓国から学ぶものはないという感覚などは、容易に払拭できるものではない。
 この問題提起に対して、示唆が出された。
☆ 1人あたり国民総生産(GNP)で比較する。〔1992年統計から〕
 ニュージーランド…12060ドル
 日本      …28220ドル
 韓国      … 6790ドル
  ニュージーランドはGNPで見るかぎり日本の半分以下だ。しかし、生活実 感は?と問えば、豊かに暮らしているのは、ニュージーランドの方だと答える
 人が多いだろう。
☆ 自動車を生産する国はいくつある?現在は10ヵ国未満。では、自動車を生 産する国は豊かで、しない国は貧しい国と言い切れるか。
  生徒が抱く偏見は学習のバネになる。異なる観点から事実を提示すれば、認 識を新たにする契機になる。「豊かさとは何か」「豊かさをはかるものさしと は何か」を正面から考えると、国際理解がさらに深まるものと思う。



3 “総合的学習”35時間プラン−八幡野小3年−    【宮村 和秀】
 八幡野小は、各学年35時間の総合的学習を実施する。宮村氏の年間計画は、
5つの単元から構成される。人々とのかかわりの継続・発展を重視している。
1 5月:英語に親しもう(外国人とかかわる)
  事前に、自己紹介やグループの出し物を考え練習する。事後に、ALT授業 から学んだ歌やゲームを発表集会で表現する。
2 6月:お年寄りとの交流会(お年寄りとかかわる)
  社会科で調べたコミュニティセンターを会場として、お年寄りとの交流会を 行う。どの部屋で、どのような出し物するか計画する。招待状を届ける。
3 9月:ふれあい運動会(地域の人とかかわる)
  地域の人と交流する運動会種目を考え、準備する。「お年寄りとの交流会」 で知り合ったお年寄りを運動会に招く。
4 10月:長田農園の秘密(自然・農業・友達とかかわる)
  長田農園を訪問し、自己課題を見つけ、友達と共同して解決する。
5 2月:昔のことを調べよう(お年寄りとふれあう)
  おもしろ博物館(旧城ヶ崎文化資料館)の見学。コミュニティセンターを会 場としてお年寄りを招き、戦争中の話や昔の遊び等をたずねる。




               《会報“ゆい”の編集後記》
◇ ホームページ見ました。早く小中学校の実践記録が掲載されるといいですね。
 児童生徒の活動風景の写真などが入ると、その授業の雰囲気をとらえられるよ うに思いました。授業をやりながら写真を撮るなんてできないと思いますが…。
  私の勤めている下田市立浜崎小学校のホームページも完成してアップしてあ りますので、お時間がありましたら訪問してみてください。
 → 下田市立浜崎小学校ホームページ→http://www.izu.co.jp/〜hamazaki/              【渡辺久志】 

◇ 本日「ゆい」146号いただきました。
  驚きです。こんなに綿密な講演記録、初めてです。やった側の者としては、
 感激の至りというところです。それにふさわしい内容だったか、改めて問われ そうです。
                       【愛知大学教授 安井俊夫】
◇ 加藤先生
  寒い日が続き、お風邪などひいていらっしゃらないですか。多賀小は、ぼち ぼちです。私も今のところ、しのいでおります。
  先日(1月28日)、伊東・熱海の合同養護教育研を私の教室でやりました ので、指導案を送付します。
                              【酒井 浩】

◇ 梅雨に入り、雨天が続きました。泉小学校の4・5年生は6月15〜16日、 熱海市立少年自然の家にて野外教室を実施しました。ちょうどこの2日間だけ晴れました。砂浜に落としたコンタクトレンズを探し当てたほどの幸運でした。
  岩戸山〜十国峠ハイキングの地図は、実地踏査の上作成しました。
                              【茶田敏明】



 (文責:茶田敏明 熱海市立泉小学校)