“ゆい”例会報告−2001(平成13)年1月

2001(平成13)年1月例会の報告 

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 1月例会の報告 1月26日     【文責:茶田敏明】
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 参加者は宮村・加藤・菊田・茶田の4名。「ゆい」は今年で16年目。
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│ @宮村報告 「磁石の見えない糸が切れるかな」(小3理科)
│       「漢字50題テストの工夫」   (小3国語)
│ A茶田報告 「給食記念週間の文化集会」   (小5)
│ B加藤報告 「中世ヨーロッパ世界の成立」  (中:歴史的分野)
│ C菊田報告 「少年犯罪」          (高:現代社会)
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§1 トランプで授業改善「中世ヨーロッパ世界の成立」
 歴史的分野は、世界史の古代ローマ帝国が終わると、日本史に移り、織田信長まで進める。再び世界史に戻り、中世ヨーロッパ世界の成立に入る。
 第1の授業プリントは、2世紀、4世紀、8世紀のヨーロッパ地図の色塗りを通して歴史的な変化を考えさせるもの。しかし、生徒は乗らない。過去のヨーロッパでどんな変化が起きているのか、生徒は興味を持ちにくい。どうしたら生徒が中世ヨーロッパに近づけるのだろうか。
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│              《問題点》│
│ ▲「着色作業や地図による相違の読み取りは、内容理解を助ける」という考
│  え方の誤り→ついてこれるのは一部の生徒のみ
│ ▲「分かりやすいが、楽しくない授業」<「分からなくても楽しい授業」
│  「興味が持てない分かりやすさ」は不幸
│ ▲「分かりやすいが、面白くない授業」とは、消化させるためにオブラート
│  で毒薬を包んだようなもの
│ ▲質問が抽象的だから、答える意欲を引き出せない
│ ▲プリントに説明を掲載すると安心してしまうという落し穴
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 第2の授業プリントは、「中世ヨーロッパを知ろう」と題して、階級制のイラストを中心資料としたもの。確かに、第1のプリントに比べて親しみが持てる。
「言葉を入れなさい。」「分からなければ、班で相談しなさい。」という学習が
展開しやすい。しかし、まだ生徒と教材の隔たりが大きい。
 そこで、“トランプ”に関するうん蓄を傾けることにより、生徒を教材に近づける工夫を試みた。1つは、数字に関する質問。Kは国王、Qは王妃、Jは王子、10以下は家来や民衆を表すなどと生徒は予想できる。なお、ジョーカーは白雪姫に登場する小人のような者を指す。小人は身体障害者を意味する。森に住んでいる人々とは、森に捨てられた人々。ヘンデルとグレーテルに登場する魔女は、特別な力を有する異能者でもある。ちなみに、蔑視と恐れが差別の根源である。
 2つは、図柄に関する質問。ダイヤは宝や貨幣を表し、商人を象徴する。スペードは剣を表し、国王や騎士を象徴する。クラブは棍棒を表し、農業を象徴する。
ハートは聖杯を表し、僧侶・教会を象徴する。
 このように、トランプと中世ヨーロッパ世界とのつながりが見えてくると、階級制のイラストが急に身近に感じるだろう。
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│          《改善のポイント》
│ ○生徒の体験レベルに下りて、イメージを豊かにする授業
│  →その鍵は“トランプ”の図柄にあった!
│   それをヒントに、中世ヨーロッパ社会の構成を推理する
│ ○中世ヨーロッパは自分の身近にもあると感じさせる〈うん蓄授業〉
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 その上で、「ローマ帝国をだれが倒したのか」を問うことにより、奴隷の反乱やゲルマン民族大移動などを引き出し、まとめればよい。ちなみに、大移動が
「土煙を立てて移動した」という理解は大きな誤りである。
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│     《中世ヨーロッパ社会の要点》
│ ◇農奴…土地への緊縛
│     土地と人間がセットになっている
│     よその土地へ逃げても働く場所がない
│ ◇荘園…人間付きの土地
│ ◇食料生産力が低い時代…三圃制農業(肥料の未発達) │
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§2 磁石の見えない糸が切れるかな−学びの世界に誘う−
 指導案のような実験装置を用意する。磁石とクリップの間に教科書を挿入すると、クリップはどうなるだろうか?教科書は5oほどの厚さがあるから、磁力が
途切れクリップは落ちる?それとも、磁力は教科書を素通りしてクリップを引き付けたまま?紙1枚ならば、薄いから磁力は通過する。しかし、教科書ほどの厚さになると、磁力は通過しないのではないか。
 実験結果は驚いたことに、クリップは落ちない!磁力は教科書の厚さをもろともせず、通過したのだった。ところが、鉄のはさみで“見えない糸”を切るしぐさをすると、ぷっつりと糸が切れたようにクリップは落下したのだ。
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│         《子供が“学びの世界”に入った状態》
│ ○第1の驚き=教科書を入れても切れないという驚き
│ ○第2の驚き=切れないと思っていたはさみで切れたという驚き
│  そんなばかな!先生の教科書に何かしかけがあるのではないか?
│  では、君の教科書を入れてみよう。それでもクリップは落ちない!
│  いったいどうなっているの? │
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 予想と結果とのずれから「見えない糸を切るものを探りたい」という学習が成立する。




§3 漢字50題テストの工夫
 1週間で50題を覚えるテスト。量が多いと感じる人もあるだろう。しかし、
ほとんどの子供は満点か、それに近い得点を獲得する。その工夫が紹介された。
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│ @ 問題の予告
│ A 問題は“3分の1”更新方式
│  ・2枚目のテスト=1枚目のテストの3分の1だけ更新する
│           残りの3分の2は1枚目の繰り返しとなる
│  ・3枚目のテスト=2枚目のテストの3分の1だけ更新する
│           残りの3分の2は2枚目の繰り返しとなる
│ B 繰り返し問題の出し方の工夫→送りがなへの注意を喚起
│  ・送りがなを除いた部分に傍線を引く場合
│  ・送りがなを含めた部分に傍線を引く場合
│ C 復習システム
│  ・両面印刷→表はテスト/裏は復習
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§4 少年犯罪
 『たのしい授業』の実践を追試したもの。少年犯罪は現在(1995〜1998)が戦後最悪のように思われがちだが、はたして事実はどうなのだろうか。実際には、
1985(昭和60)年頃ごろが最も多かった。校内暴力の時期である。また、殺人の少年検挙者数は1955(昭和30)年ごろは現在の3倍以上もあった。
 このような事実を知ると、マスコミの報道にも一定の距離を置いて冷静に判断することができる。授業では、少年法の改正まで扱った。時宜にかなった取り上げ方が功を奏し、生徒は真剣に受けとめた。




┌───────────    おたより ────────────
│  10月1日発行の『ゆい』に同封されていたお茶の資料がとても参考にな
│ りました。保護者の名前が数人あり、身近なところにお茶に関する情報を知
│ り得る人がいることを改めて実感しました。本当に静岡と鹿児島とベトナム
│ をつなぐ授業、目指したいですね。
│  ところで、今私の手元にバケツ一杯ほどのシラスがあります。以前、加藤
│ 先生もシラスを使った授業を創っていらっしゃいましたが、「ゆい」のメン
│ バーの方でシラスがほしい方はいらっしゃらないでしょうか。希望されるの
│ であれば、お届けしますが…。
│  それでは、今後は「ゆい」とメールなどパソコンを通して情報交換できた
│ らと思います。よろしくお願いします。
│         鹿児島県:新澤あけみ 
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