フォーリン・アフェアーズ・ジャパン編・監訳
『アメリカと北朝鮮』

ある人におくったメールですが、そのまま書評になっているので。
一部を加筆・補正して。


ふだん、ぼくの周辺なんかは、
平和運動をしている人たちの立場や気持ち・論理から
「北朝鮮を軍事攻撃するのはまちがっている」
というふうにいいます。

しかし、フォーリン・アフェアーズは、
「アメリカの支配層の立場からみて」、
「北朝鮮へのアプローチはどういうものがトクか」というふうに論じます。

そして、支配層なりの合理性を発揮した論理で、
「どうもトクにはならない」という答えを出します。
(むろん、結論はこれほど単純ではありませんが)


そういうふうに、ふだん接しない論理の積み重ねから、
自分と同じような結論にたっするのを見ることができるわけで、
これは、脳のちがった部位を「刺激する」という意味で「刺激的」なのです。

まあ、お手にとってごらんになてみればわかりますが、一つだけ例をあげると、
巻頭の「朝鮮半島危機を安定させるには」という論文の結論は、

「北朝鮮の悪事に報いることのないように配慮しつつ……
 ポイントは、アメリカだけでなく、
 日本、中国、ロシアという四つの関係諸国が共同して、
 朝鮮半島の安全と安定を公式に保障することにある」

と政策提言しています。
これは、アメリカをふくめて、いままさに実行されている平和の方向です。
この論文が今年の4〜5月号に掲載されたことを考えると、
非常に先見的であることがわかるでしょう。

強硬論にちかい議論も載っていますが、そういう支配層のなかの
幅広い意見がよめるのが、この本のいいところです。

情報的にも役立つところが多いです。
たとえば、1994年の核危機のさいの話ですが、
「当時の駐韓米軍のゲリー・ラック司令官は、
 戦争になれば、八万から十万の米兵をふくむ
 ほぼ百万人が犠牲になると予測していた。」(24p)

事態は推移しており、この本は一種の「時期モノ」、ナマものですから、
早めにお召し上がりにならないと、ふるくなってしまいます。


フォーリン・アフェアーズ・コレクション特別版
『アメリカと北朝鮮 外交的解決か武力行使か』
フォーリン・アフェアーズ・ジャパン編・監訳(朝日新聞社、2003年)

2003.10.15記
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