「コミックチャージ」
07年5月15日号(NO.4)の雑感



コミックチャージ 2007年 5/15号 [雑誌]  創刊されたばかりの雑誌。若い男性サラリーマンねらいということでお約束の「お色気」が多い。

 そのなかで異色なのが、清原なつの『家族八景』で、いわずもがな筒井康隆の原作だ。心が読めるテレパスの火田七瀬が8つの家族を「お手伝いさん」としてめぐる短編集である。
 清原は、筒井に入れ込んでいるのか、それとも原作者から強力な制約を課せられているのか、ひどく原作に「忠実」だ。おそらく前者ではないかと思うのだが。だとすれば、若いサラリーマンむけ漫画誌、そしてこのご時世、という条件のなかで、七瀬を「メイド」にしなかっただけでも、まずはその志や善し。

 しかし、前回の「無風地帯」は原作に忠実にしたことが生きたと思ったし、繊細な感情のやりとりを短いコマ展開で描くのを得意とする清原にわりと合っていたが、今号の「澱の呪縛」は清原の作風にまったく合っていなかった。

 大家族のズボラさ、思春期の不潔さ、そして体液や粘液の禍々しさが主題となる。当然コミック化で期待されたことは、その思い切ったデフォルメであったはずだ。しかし、清原の絵柄はそのことを描くのにまったく不向きだった。子どもたちの部屋の不潔さの描写も失敗し、子どもたちが想起した、嘔吐を催すほどの「不潔な行為」も結局言葉に終わってしまった。これなら原作を読んだ方がはるかによい。
 山崎さやかの『NANASE』のようなリアル映像が必要だったなあと思ってしまったよ。

 今後予定されている回はいずれも、「死」や「発狂」がふくまれており、その精神の荒野をどうやってグラフィックにするのかが楽しみのはずのものばかりである。今回の清原の不面目をみると、どう挽回するかという期待もあるが、やはり不安が大きい。

 『スモールワールド Small world』(原作:サンミシュウ、作画:花小路ゆみ、脚色:松本ひなつ)は、「正統」すぎるほどの「お色気」漫画(というか劇画)で、スジ運びを真面目にやりすぎてけっこう笑えるし、「今夜 セックスをしましょう-----END------」というラストのメールの大画面で大笑いし、「なぜ香奈は、急にこんなメールを……?」という編集者のハシラで最も笑った

 田中圭一の『サラリーマン田中K一がゆく!』は実は意外とタメになってしまった、まじめな玩具業界の営業知識漫画であった。GRPの話、面白かった。冒頭の毛田ちゃんのギャグがなければ、フツーのサラリーマン漫画だぞ!

 清水洋三『Carrier グランドスタッフ・ストーリー』。この絵柄、わりと好き。そして、メインキャラクターの一人、桜井桃子の造形は非常に好みなのだが、少年漫画・青年漫画でこのテの女性キャラクターが「立った」ためしがない。問題は、ストーリーが今回陳腐すぎること。業界の実態を知らない高慢な新入社員=主人公が鼻柱を折られるという、ヒネリのなさ。敗因はおそらく、掘り下げる取材がないせいではないのでしょうか。


 木村和久・とがしやすたか『新・平成の歩き方』は、目もあてられないデイトレード讃歌なのに、じっくり読んでしまい「やってみようかな?」などとふと思ってしまった自分がこわい。

 巻頭の『こちら がむしゅー探偵事務所!』(漫画:陽香、原作:江島一二三)は、まさか「女装」というオチじゃあないだろうな……。


 メインがまだない感じの雑誌。現時点ではキビしい戦い。もう少し様子をみるしかない。いま、期待をかけているのは、『スモールワールド』の国友やすゆき化である。





角川書店
2007.5.14感想記
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