花田祐美『神様に誓って』


神様に誓って

わたしの学生時代に、デキる・キレるといわれて、尊敬もしていた男が、じつは『BOYS BE…』のファンだと知って、爆笑するやら失望するやらした記憶がある。

『BOYS BE…』をご存じないかたのためにいっておくと、少年マガジンに長期連載されていた1話完結形式のもので、毎回自分では思いを伝えられない情けない男の子がでてきて、モジモジ、ソワソワ、とかしているうちに、気になるかわいい女の子から告白されたりするという、驚異の漫画。「ちょっぴりエッチな」シーンも、タバコ箱に書いてある注意書きのごとく、法律で強制されたかのように必ず挿入される。しかもすべてほとんど同じ顔だ(もちろん服装や髪型はちがうが、まったく書き分けられていない)。
しかもすべて、毎回、決まって、必ず、このパターンで、例外はいっさいない。※
それが6年にわたって続編ふくめ計50巻以上を出すというロングヒットをつづけたという、現代の奇跡。

欲望の対象を、それが摩滅するまで、倦まず飽かずに、垂涎しながらなめまわす行為とは、こういうことをいうのだろう。「健全な」男子中高生の願望を形象化したら、こんなふうになったといったところ。

花田祐美は、『BOYS BE…』の女子大生〜OL版といったところか。

ぜんぶがぜんぶそうではないが、大半は、ちょっとダルっぽげな男(きまってDJとかバーテンとかデザイナーとか)、または、かわいい「男の子」と、ドジだったりとまどったりする女が、気持ちがすれちがうとかそういうお決まりのことをやって、くっついたりするような話。べつにエロいシーンは出てこない(常識の範囲)。
顔もぜんぶ同じ。いや、やはり『BOYS BE…』と同じで服や髪型はちがうが、あまり書き分けられていないのだ。

本作は、クラブとおぼしき場所ではじめて会った男を数時間後に家につれてくるという、主人公にとっては考えられないような大胆な経験をする、という設定ではじまる。そのDJをしている(また!)その男を、主人公は、最初遊び人だと思っていたのだが、実は純情でウブな花屋の「男の子」だった、という、花田漫画の真骨頂。

きらいじゃないっスよ。花田漫画。
ヤングユー時代のものから、全部買ってるし。

多くの漫画は欲望の昇華物だけど、たいていはていねいに痕跡を消して回ろうとしたり、みごとな変容をとげているものである。
しかし、花田祐美のように、欲望のカドをちょっと削るぐらいでそのまま作品として提示しつづけるのは、珍しい。そういうものを覗き込むような興味で読んでいる。


(秋田書店 MIUコミックス)



採点50点/100
年配者でも楽しめる度★☆☆☆☆

※最近は知りません。あしからず。

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