イラク戦争の死者数について




 イラク政府は07年1月1日、06年にイラク国内でテロ・暴力で死亡したイラク人が1万6273人にのぼったと発表した。内訳は、市民1万4298人、警察官1348人、兵士627人である。イラク保健省は06年11月の時点で米軍侵攻後、15万人のイラク人が死亡したと公表している。



 イラクに派兵された米兵の死者が2003年3月の開戦以来、06年12月31日までで3000人を超えた。NGO「イラク連合軍犠牲者総数」による。(くわしくはこちら



 共同通信によれば、2006年10月11日、イギリスの医学誌ランセット(電子版)は、イラク戦争開始(2003.3)から、2006年6月までの間に戦争に起因する状況の変化(戦闘、テロ、治安悪化など)で死んだイラク人の死者数を約65万5000人だとするアメリカのジョンホプキンズ大学の推計を発表したという。これは、イラクの47箇所、1800世帯、1.2万人以上への調査をもとにして、死亡率が開戦前より2倍以上はねあがっていることに着目し、それを全土にあてはめた数字である。ブッシュ大統領は11日の記者会見で「信頼性がない」と批判した。

 07年3月28日付の「しんぶん赤旗」によれば、米英政府はこの調査結果について「信頼性がない」としていたのだが、BBCが、英政府関係者は信頼できるとみていたことを明らかにしたという。「国防省のロイ・アンダーソン科学顧問は、調査が明らかにされた二日後の昨年十月十三日付のメモで、『研究の骨格は確固としており、イラクの現状でのデータ収集と証明の難しさを考えた場合、この分野で「最良のやり方」に近い方法を採用している』と指摘。また外務省でやり取りされたメールで職員の一人は、『使用されている調査方法は無価値なものと扱われてはならない。紛争地での死亡率を算出する試され済みの方法だ』と述べていました」(同紙より)。




 国連イラク支援派遣団(UNAMI)は、2006年7月18日、イラク戦争開始以来、武力攻撃で死亡したイラク人民間人死亡者数を5万人と発表した。下記のロサンゼルス・タイムズ紙報道を追認。



 アメリカのロサンゼルス・タイムズ紙は、03年3月の米軍のイラク侵攻以降、06年6月1日までのイラク人死者数は5万人をこえる、と発表した(06.6.25付)。くわしくはこちら。大半は民間人なようだが、一部に兵士の数がふくまれている。

 また米兵の死者数は2400人に達した。06年4月末までの数字。「イラク連合軍犠牲者総数」がウェブ上で明らかにした。米国防総省の公式発表は2395人である。(記事はこちら



 ブッシュ米大統領は、2005年12月12日のペンシルベニア州での演説後の記者会見でイラク戦争以来のイラク人の死者数を「3万人前後」だと表現したという。ブッシュがイラク人の死者数について言及するのは初めてで、国防総省ですらイラク民間人死者数については「集計していない」という立場をとってきた。(記事はこちら


 民間団体「イラク・ボディ・カウント」は2003年3月から2005年3月までの米英軍による攻撃や武装勢力による攻撃などでの民間人死者数を2万5千人と発表した。(記事はこちら

 この記事ではだれのどういう攻撃による死かという分類がされていて、米英軍による死者は約37%とされている。

 

 2005年7月11日、ジュネーブ高等国際問題研究所が2003年3月のイラク戦争開始以来、戦闘などで死亡したイラク人は、これまでの推定を大幅に上回る約3万9000人とする報告を発表した(「小型武器概観」という報告)。ロイターや共同通信が報道。

 定義は「戦闘や武器を使用した暴力行為で命を落としたイラク人」。共同通信のヘッドラインをみると「民間人」とあるので、軍人・軍属はふくまれないだろうと思われる。

 民間団体イラク・ボディ・カウントは11日現在で民間人犠牲者2万2787〜2万5814人だという推定を出している。
 この時点での多国籍軍側の死者は1937人(ロイターによる)。

(2005年7月12日記)


 イラク戦争開戦2年目をむかえる。
 共同通信によれば、2005年3月3日で、米兵の死者数はイラク戦争を開始して以来、1500人をこえた(事故死ふくむ。戦闘による死者は少なくとも1140人)。

 「イラク・ボディ・カウント」によれば、イラクでの民間人犠牲者数は同年3月20日の現時点で最小1万7061人、最大1万9432人である。

(2005年3月20日記)


 最近、各紙でいっせいに「イラク人死者10万人」という報道が出た(2004年10月29日「共同」ほか)。これには、軍属と民間人が混在している。英医学誌ランセット(電子版)による。
 上記の推計を一気にこえるものである。また、この報道のあとに、ファルージャの新たな虐殺がおきており、「民間人2000人が殺害された」という報道もある。

(2004.11.19記)


●2004年9月1日現在のもの。
●イラク民間・イラク旧軍・多国籍軍について、それぞれ最大値と最小値がある。
●イラク側民兵、第3国民間人の死者数はデータがない。

 まずイラク民間人の犠牲者であるが、一番有名な、米英の研究者でつくる「イラク・ボディ・カウント」は、イラク戦争開始から2004年9月1日現在まで最少1万1717人、最大1万3724人としている。


 04年8月6日付で報道された記事によれば、アルジャジーラが英語版ホームページにのせたイラク市民犠牲者数は2003年3月から同年10月までの期間で3万7000人以上としている。こちらは期間が短い。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-08-06/07_03.html

 つまり、この両者において、最小値をとると1万1717人、最大値は3万7000人となる。

 他方、軍人・軍属の死者はどうか。

 イラク軍(旧軍)については、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)英国支部(MEDACT)が発表した数字をみると、米軍のイラク侵攻開始から10月までにイラク人兵士の死者数は最小値1万3500人、最大値4万5000人と推計しています。(2003年11月16日付「しんぶん赤旗」の報道


 米英軍、すなわち多国籍軍については、2004年7月9日付のasahi.comが米CNN電子版の報道として開戦からその時点までで多国籍軍の死者が1000人に達したということである(うち米兵は880人)。

 これらの民間・軍人をあわせた死者数は、最小値2万6217人、最大値8万3000人となる。むろん前提にのべた民兵などの死者が入っておらず、数字はひかえめなものにすぎない。