公明党ポスターと民主党候補ポスターを論ず

 いちおう、政治的な立場からの評価はぬきにして、純粋に広告として見るとどうなるか。ま、それでも多少は“政治”が入っちまうだろうけどね。

 まずは、公明党の政党ポスター。
 まず、神崎の「気迫のこもった」という顔と拳が強烈に印象に残る。そしてシンプルに「公明党がやる」。文字など見ないという多くの有権者には、実行力と決断力を即座にアピールできる。

 「何をやるのかが肝心なんだよ」というツッコミをする有権者のために、下に小さく3つの公約が這わせてある。税金の無駄遣いの追放、雇用の創出、安心できる社会保障体制。しかも「数値目標」と「年限」がかかれており、これは流行りの「マニフェスト」簡潔版というわけだ。

 完璧である。

 自公政権のいまやっている政治をみればそれは詐術ではないか、という批判が政治の立場からはある。しかし、宣伝としては必要な要素はそろえてあるといえる。

 ただ

 それでも、この「完璧」さは、「記号」なのだ。「気迫のこもった」というのも、まさに「記号」としての拳とまなざしにすぎないのであって、いまひとつ本物の気迫というものが伝わってこない。そういうポーズをしていますよ、という空気がビミョーに画面から流れてくる。神崎という男は、この手の演出が苦手なのか、照れがあるのか、01年参院選のときのボクサーポーズも、七五三の子どものように着せられた衣装といったふうを出なかった。「そうはイカンザキ」というあのセリフも、キマリ切らない朴訥さがあって、あのCMの場合にはそれがかえって間抜けなギャグのようでウケた。
 それから、マニフェスト部分もいちおう「マニフェスト」としての体裁がととのえてある、というにすぎなくて、それがマニフェストに敏感な層の心をうつようなものなのか、というところは疑問である。「おー、数字も期限も入っとる。よしよし」という層はある程度はいるだろうが。「安心できる社会保障」といった場合、政策論ではなく、逆に「政治姿勢」としてシンプルにうちだした方のがよかったのかもしれない。


 つづいて、民主党のながつま昭氏のポスター。

 民主党系の若手がいかにも好きそうな、全体のごちゃごちゃした、情報をできるだけ多くつめこんだ画面は、ぼくとしてはミニコミのようで、けっしてきらいな雰囲気ではない。お年よりなどにはひどく不評なパターンなのだが。

 それにしても、かもし出されるマンガ的な印象は、ちょっと笑ってしまう。
 ながつま氏本人がまるで神憑かりに手をかざしているかのようであり、マンガ的なバックと書き込みがあり、「ながつまパワーで国が動いた!」。まるで「トルマリンパワーでわたしにも彼氏が!」みたいな感じで、そこはかとなく怪しい感じが出ている。もし、ながつま氏が現職でなければ、何者にも止めることのできない泡沫感があふれていたことだろう。

 このポスターは、ポスターの全体を読まなければ、彼が国政を動かしているということの意味や意義が理解できない構造になっている。それはポスターとしては致命的な弱点ともいえる。
 「現職議員としていろいろやりました」ということを言いたいのだろうとは思う。「バッジを与えてやったけど、お前は何をしていたのか」という有権者の厳しい眼があり、同じ選挙区の競合者に粕谷氏(※)という大臣経験の自民党がいる現状で、ここをアピールしたいという気持ちはよくわかる。
 だが、有権者の印象に残ろうとするなら、その実績のうち、どれか一つをピックアップしてアピールするということをすべきだった。あとは公明党のように小さな文字でもいい。


 
 ただ、きちんと付け加えてはおきたいが、政治潮流としてはどちらもぼくは支持できない。

 上段で書いた通り、マニフェスト云々の前に、公明党はこれまで自分たちが自分たちの公約にどういう態度をとってきたかを頭を冷やしてよく考えるべきだろう。健保の自己負担を「引き上げない」と01年参院選で公約したあげくに、彼らは引き上げに賛成した。いや、厚生労働大臣となって、先頭に立って旗をふり、「上げないと健保財政が破たんする」と恫喝をしたのである。「安心できる社会保障体制」とは、被保険者への負担の押しつけのことなのか。




 ながつま氏は、有事法案の推進役となったことは、まるで評価できない。対米従属を批判したわりには、その危険性をつよくはらんだ法案をおしすすめた結果となった。
 ぼくは、彼に「推進しないように」というメールの要請をおこなったのだが、結局それは実らなかった。ながつま氏らがしめした民主党の「修正案」というものの本質はすでに別のところでふれてあるが、もしそれをもってながつま氏が「国が動いた」というのであれば、そんなふうに動かしていただくなくてもけっこうだというほかない。


※この稿を書いてから、急に自民党の都議のポスターが貼られ出した。都議選にはまだ早いし、はてな、と思っていたが、どうも国政に出るようだ。粕谷氏はもう年だと判断されての交代か、内紛かどちらかであろう。

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