相原実貴ほか『SWEET 壊れるほど抱きしめて』



 ゴミのような一冊。
 これが商業ベースに乗っていることに驚く、というより、こんなものに金を払った自分に激しく後悔。なにが「ハイ・セレクション」だ。

 木戸銭返せ。

 別冊(「Betsucomi」)の読みきり短編を集めたもので、『ホットギミック』で有名な相原実貴を表紙&看板にもってきて、それをエサにして、まるで質の悪い福袋のようにして十把一からげにして売られたものだ。相原をふくめ6人の漫画家が作品をのせているが、冒頭の相原だけがどうにかこうにか読める水準のもので、あとはもう本当に……(泣)。

 どれも平均40ページ強のなかに、これでもかと展開をつめこむために感情のクライマックス(を形成させたいと作者が願っているもの)が矢継ぎ早に訪れ、読む方が恥ずかしくなってくる。ぼくは恥ずかしさのあまり「あははははははははははははははは」と声をあげずにはいられなかった。

 うちの短編のひとつ、夏目藍子「王子様の召し使い」は、もう何とかしてほしい。別にこれに限らないが。
 女子高生がお見合いをするという設定。あの、この短編集にはわずか6つしか載っていないんですけど、うち3つが「女子高生がお見合い」という設定なんですが。50%。そんなに萌えるんですか、お見合いって。ロマンですか。
 で、見合いの相手は同級生の美少年。しかも優等生でクール。
 結婚なんてしたくない主人公は破談にするためにその同級生の“夏休み中、家でメイドになってほしい”という条件を出す。で、同級生が笑ったりすると「――あ… ドキッ」とか。いきなり勉強をみてもらうことになって、主人公が寝ちゃうとこの男の子が何だか愛しく感じちゃったりとか。この男が親の誰にも添い寝されたことがないことを、主人公が不用意に口にしたために傷つき、ふて寝する男。その横にそっと添い寝する主人公……。

 だーーーーーーっ。

 こんなものがトコロ狭しと40ページ(漫画の40ページっすから)にてんこもりで、思わず本を投げつけたくなる。作品の前後についている四コマのエッセイはそんなに悪くないので、決して才能がないのではなく、編集者から無理な注文をされたのか、短編を描く能力が育ってないだけなのではないかと思いたいのだが。

 

 「別冊」が「別マ」とか「アフタヌーン」のように巨大な成長をとげていくこともあるだろうけど、たいていはどうしようもない新人のガラクタの山ばかり。そのガラクタのなかからごく少数の新人が育つのだが、育たなかったものの大半は、原石でも何でもなく本当にガラクタである場合が多い。
 よもやそんなものを単行本にするわけがないと、業界を信頼していたぼくが馬鹿でした。

 この本とあわせて買った、鈴木みそ『銭』に、漫画雑誌の採算システムが解説されていた。神の配剤か。
 雑誌発行というものはよほど売れない限り、たいていはアシが出てしまうものなのだ。この穴をうめるのが単行本で、1つについて9000部売れればトントンとなる(ただし1つあたり3万くらい売れないと、雑誌の赤字をカバーするほどにはならない)。
 ああそうか、と思い、おれはその穴を埋めさせられたのだな、と独りむせび泣く。


 あーもーホント、つまらんものを読みました。

 おまえの有事法制漫画はどうなんだって? 
 いいんだよ、カネとってないから。



小学館 フラワーコミックス
2004.8.17感想記
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