有事法制賛成派Vさんと反対派の紙屋との対話

メールをVさんからいただいたのがきっかけの往復書簡です。

これも少しばかり長文ですがご容赦ください。

対話は2003年5月ごろのものです。

************** Vさんのメール ここから *********************

こんばんは
「有事法制って知ってますか?」を見ました。
 少なくとも実際戦争になったとき、戦争になりそうなとき、攻撃を受けたとき自衛隊は
それに備えて行動することが保証されるべきだと思う。
 少なくとも「銃に脅されているときに平和を説いてどうにかできる」とは思えない。
自分を守ることが出来て、話し合いのテーブルに付けて、それからの話であると思う。

また、自衛隊が昔の国家総動員態勢(?)のような状態にするのは
もちろん反対だし良いことではないと思う。
だが、少なくとも避難訓練や危険な地域の立ち入り禁止はされるべきだし、必要なことだ。
もしそういったことがされずに危険に陥ることがあればどう考えられますか?
これを鵜呑みにしたひとが、こういった必要十分な処置を妨害するならそれは問題であると思う。
また、個人的な感情ではあるが、こういった人に自らを含む周りの人間が被害を被るのは嫌だ。
不快だ。

何より、どこまで許されるべきか、明快に示されていなければ、
そのときにこそこの漫画のようなことが起こりうると思う。
その基準として形として、論議し平時にこそ定めておくべきだと思う。

これが私の意見です。

************** Vさんのメール ここまで *********************


このメールに対して、わたしは、このサイトでもアップしている、つぎの文章を書いて送りました。

有事法制賛成派のかたへ

このわたしのメールにたいするVさんの返事が以下のとおりです。
引用が多くて多少煩雑ですが、Vさんから「引用をふくめて全文を
正確にのせてくれるならML等で公開してもよい」とのことだったのでそうしています。

(Vさんが引用している文面が多少上記のものとちがいますが、
これはその後、わたしが正確を期したために修正をしたせいです)

********* 相手の方のメール ************************

> 結論からいうと、
> 「専守防衛を願っている人は、ごいっしょに現行法制の
> 範囲で国を守ることにして、相手を攻めにいって、
> 有事にまきこまれにいくような、現行有事法案を廃案にしませんか?」
> ということを呼びかけたい、という気持ちです。ぜひ手を組みたい。
>
> というのは、
>
> (1)
> 国会答弁+法案をみると、米軍がアジアで戦争に介入し、
> 外国や公海に出かけていった自衛艦などが攻撃「されるかも」というので、
> 法律が発動され、自治体・国民動員がはじまり、
> 自衛隊は、海外で武力行使=戦争が可能になる、というケースが、
> わたしはいちばんリアリティがありそうだと思うんです。

これは全く同感です。

> イラク戦争において、これだけの「兵力」と「陣地」が必要とされました。
>
> ●米軍22万5000人
> ●米軍航空機1100機
> ●米軍ミサイル垂直発射装置2200基
> ●米軍戦車など戦闘車両1250両
> ●米軍トマホークミサイル1000発
> ●米軍艦船50隻(空母5隻ふくむ)
> ●英軍2万5000人
> ●英軍航空機100機
> ●英軍艦船10隻以上(空母1隻をふくむ)
> ●豪軍2000人(特殊部隊150人など)
>
> ●クウェート:4基地
> ●カタール:4.5キロの滑走路、シェルターなど2基地
> ●オマーン:2基地
> ●アラブ首長国連邦:1基地
> ●サウジアラビア:1基地
> ●トルコ:1基地
> ●バーレーン:1基地
> ●ジブチ:1基地   (「日経」3月20日付夕刊)
>
> くわえて、これをまかなう数百万トンの水、食糧、燃料が要ります。
> 日本有事ではなく、もし、朝鮮半島での米軍の介入による有事を考えれば、
> 日本がこの兵站をになう、ということが
> おそらくもっとも高いリアリティだろうとおもうのです。
> だから、そのためのヒト・モノ、ばあいによっては土地が要るというのは、
> それにふさわしい話なのです。
> 傷病兵収容は、実は米軍が「1000人」という数で実際に日本に
> 要請してきている数字です。(^^) > 東京新聞
> 各種兵站の物資量もすでに具体的な指示が米軍からおりてきています。
> もちろん、日本有事ではなく、朝鮮/台湾有事として、ね。

これには部分的にですが反論が・・・
基本的にはその通りですが、ただアメリカ軍の消費量というのは
浪費が多いことがあるということ。
無駄な贅沢が多いということ。
威嚇の意味を含めていたので過剰にアピールをするための行動があったので
延べ数量が多くなったとも感じていました。
本来もっとピンポイントに攻撃して戦闘継続不能に出来たのではないでしょうか。
>
> (2)
> イラク戦争をご覧になったとおもうんですが、
> あれは、よほどのナイーブなかたでないかぎり、
> 「先制攻撃」戦争、つまり侵略戦争だということは、よくおわかりのはずです。
> そして、ブッシュ・ドクトリンは、この先制攻撃を、国家戦略にしています。
> もし、(1)であげた米軍の戦争が先制攻撃戦争なら、日本は侵略戦争への加担
を、
> この有事法案でおこなうことになるんじゃないでしょうか。
> 石破氏はこういう経緯ではじまった戦争でも発動しうるといいました。
> (同9日、衆院での石破答弁)
> 民主党の前原氏も同じ答弁をしました。(同日)
> あるいは、周辺事態とよばれるアジアでの米軍の紛争が
> そのまま「有事」あつかいされ、発動される、ということにもなりました。
> 日本国民の安全をまもる自衛戦争ではなく、専守防衛の戦争ではなく、
> 海外侵略の戦争、というわけです。
> それはさすがにヤバいだろう、と思う人はいらっしゃるのではありませんか。
> いや、志をおなじくできる人は少なくなかろうと思うのです。

これは納得。
ただ攻性防御というのはありだと考えます。

これは北朝鮮が保有していることになっている攻撃ミサイル
これを政治的、軍事的なブラフ等として使用されたときに
確実に迎撃しうる手段が存在しないという点にあります。
つまり、攻撃が確実にされうる、されている状況下において
発射施設もしくは類するものを攻撃して無力化するのは、「
専守防衛に反しない防御的行動」だと思っています。
むろんこれは実際に使用されたときにのみの話で行使されるつもりの無いとき
(口だけの脅迫)等は含みません。

> (3)
> わたしは、よく賛成派のかたがたと議論もし、
> BBSも拝見しますが、あまりよく考えていない方は
>  A)国会答弁はおろか法案を読んでいない、
>  B)「軍事力による平和か、武力なき平和か」、という単純な対決軸をしく、
>  C)想定している有事にほとんどリアリティがない、
> という特徴があります。(賛成派のなかでも、よく考えている方は別ですよ)
> とくに、北朝鮮による国家規模での侵攻と大規模陸戦とか、
> バックファイア飛来などを想定している方が多くて、何をかいわんや、です。
> 「(北朝鮮の)軍事用の石油は、どんなに多く計算しても年間五十万トンを超えな
い。
> これでは、石油備蓄があるとしても、数カ月の戦争を遂行するのは不可能である」
> (重村智計『北朝鮮データブック』)

B,Cは
先に挙げた北朝鮮の場合は
航空攻撃、海上からの上陸作戦はあり得ない。またあっても脅威とはなりえないと考えます。
それは装備、備蓄などから容易に想像できます。
ここで気になるのはミサイル。もちろん発表されているスペックは嘘だと思いますが、
精度等はさておき「BC兵器を乗せられる、日本まで届くミサイル」がある
可能性だけは否定できず、それは防御が難しいと考えます。

Aは概略しか目を通していませんでした。
多分に要約者の意見が反映されたもので有ったかもしれません。
これは私のミスでした。

> できるできないは、ただ政治の決断だけです。(しろ、という気はないのですが)
>
これも後手に回りやすく正確な判断がしにくい要因ですが
シビリアンコントロールの観点から当然のことでしょう

> そして、「鉄壁の有事法制」があった戦前、なぜ沖縄戦のときのように、
> 超法規の軍事活動がおこなわれたか、ということもよく考えてみる必要があります。
>
>
> (4)
> わたしはもともと武力によらない平和をめざしています。
> が、最小限の武力によって国を守ろうという人が多いのも事実です。

これは理想であるが故に非常に難しいと考えます。
永世中立を歌うスイスで国民すべてに対する軍事訓練を行い、
侵略を狙う相手に威嚇することで平和を守っているという現実が
知られていないという考えからです。
無抵抗主義は個人またはある程度のグループまでに通用する考え方で、
国家においては自己を防衛しえないことは問題があると考えます。

> いまの「先制攻撃加担型」の現有事法案には、反対しようではないか、と。
>
先の攻性防御をのぞけば「先制攻撃加担型」の現有事法案には全く反対です。

> とくに法案賛成派は、アメリカの先制攻撃戦争についていく法案
> がいいのかどうか、を明確にのべる義務があります。
> そして、それが可能であるという国会答弁や法案の規定を、
> どうするのか、ということに、しっかり答えるべきです。

これは残念ですが賛成せざるをえないと考えます。
理由は
現状の自衛隊ではアメリカの庇護なしに日本を防衛出来ないと考えるからです。
ゆえにある程度は譲歩しアメリカにおもねる態度を示し庇護を受けるか、
または法制、装備、国民の意識を改変しアメリカに頼らない体制にしてから、自立して。
その上で賛成か反対かという話になると思います。
私は反対ですが・・・

> 一方反対派は、万一攻められたら、非武装でいくのかどうかを答える義務があります。
>
> わたしは後者ですから、
> 「とりあえず現行法制の範囲内でおこない、先制攻撃協力法案には
> 専守防衛派と一致して反対する」とこたえます。
> 高知県の橋本知事のいったように、あるいは東京の狛江市長がいったように、
> 攻められて目の前で家族が殺されそうになれば、
> 先頭に立ってたたかうでしょうし、おそらく軍にも協力するでしょう。
>
意見は違いますが理解できます。

> (5)
> 最後に。
> ジャーナリストの吉岡忍が、日本の高校生が戦争についてかいた作文をみて、
> どれも「攻められたらどうする」という想定ではじまっていることに驚き、
> じぶんたちが攻めにいく、という近代の歴史がすっぽり欠如していることに
> 危機感をおぼえています。(『ルポ 学校の力』)
>
> アメリカの非常事態法制もイギリスやフランスの有事立法も、
> 戦後発動されたのは、ほとんどが遠征戦争と国民(植民地)弾圧のためで、
> 本土が他国に侵攻されて発動したものはひとつとしてありません。
> いま、アチェで有事法制が発動していますが、独立弾圧に使われています。
>
> 「いま、そこにある危機」――アメリカがアジアのどこかの国を先制攻撃し、
> それに日本が加担するかもしれないという危機を、あなたはどう解決するのか。
> 有事法案審議で問われているのは、その問題なのです。
> 参加する覚悟か、おりる聡明さか。
>
> 専守防衛派の人は、ぜひ手をくみましょう。
>
児童ポルノ法などを推進する、
現状を棚上げして感情のみで反対する、議論、討論の出来ない方々もいるので不安に
なってmailしたのですが。
現状を理解された上で発言されている方と知って安心しました。
また、こうして自分の意見も再確認でき有意義でした。
私個人として多少差異はあっても賛成です。

************** ここまで *****************************


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