「ヤングユー」誌休刊



 「YOUNG YOU(ヤングユー)」が2005年11月号をもって休刊である。
 ぼくの数少ない購読誌の一つが消滅した。

 作品や作家は、集英社の「コーラス」と「ユー」に分解されるようである。
 大人気の「ハチクロ」は「コーラス」にうつる。
 石井まゆみ、榛野なな恵、逢坂みえこ、池谷理香子などは「コーラス」へ。
 槇村さとる、かれん、高橋由佳利、鴨居まさね、たかさきももこ、秋本尚美などは「ユー」へ。
 岩館真理子はどちらにも描くようである。
 気になるのは、上田めぐみ(「あきらめない女たち」)、鈴麻らむね(「おーえる かもかもっ!」)、もん(「おしゃべりニューヨーク」)などの「小連載」組であるが、鈴麻は、「別冊コーラス」に「登場」する予定のようである。「登場予定」というのは、連載が保障されていないということであろうか。もんの場合、同じ「別冊コーラス」でも、「新しいエッセイまんがスタート」とあるから連載されるんだろうなあと思う。

 笑ったのは上田で、今後の「予定」自体が身を挺したギャグに。立派である。ギャグ漫画家の鑑だ。

 女優でもあるスズキサワは打ち切り。「お前は女優なんだから、そこまで失対事業を広げてる余裕ねえよ!」ということか。


 なぜ「ヤングユー」休刊か。
 つれあいと話すなかで大胆な仮説を提唱。
 「コーラス」のラインナップをみたが、あまり有力な作品がない。もちろん有名な作家がいるけど、作品自体はそんなに売れているもの、たとえば『ハチクロ』や『NANA』のようなものがあるというのではないのだ。

 「ユー」の場合は、森本梢子「ごくせん」がある。だが、あとがまったく続かない。
 今号は「官能特集 〜思うまま感じるまま、ただ欲望に身をまかせて〜」。
 酒井美羽「夢見るサーティー」の解説は「30歳新妻のゆう子は、お堅い新婚生活にちょっぴり不満。そんなときに彼女が見つけたのは!?」、津雲むつみ「春宵夢幻花」の解説は「どんな男と付き合っても満たされることのなかった深窓の令嬢・瑠璃。だが、そんな彼女を満たしたのは倒錯した愛欲の世界だった!!」……orz
 こんな雑誌に「ヤングユー」の読者が行くんですかい。か、買えん。

 あ、それで肝心の仮説なのだが、ぼくにはどうもこのような有り様の2誌をおいて「ヤングユー」が休刊してしまうことが解せなかった。むしろ休刊すべきはこの2誌ではないかと。
 そうだ! これは「ユー」「コーラス」という2つの雑誌の廃刊危機にたいして、あえて「ヤングユー」を解体して執筆陣を集中投入することで2誌を再生させようという、ものすごい奇策ではないのか、と。1誌はダメになるが、2誌は助かる――まさに肉を切らせて骨を断つ、というヤツである。
 そして、もしそれでも2誌がダメそうなら、「ヤングユー」を復活する。それゆえに、「ヤングユー」は廃刊ではなく、休刊なのだ。などという仮説を立ててみた。あまり大胆でもないが。

 しかし、そもそも雑誌の発行部数をみてみると、「ヤングユー」17万2500部、「コーラス」15万1250部、「ユー」23万4168部(2004年)で、ぼく的にはどうしようもないと思われた「ユー」がダントツなのである。しかも「ユー」は月2回も発行している。

 というわけで、2誌救済論はあえなく破綻。
 となると「ユー」は単なる受け皿だということに。不思議なのは発行部数が少ない「コーラス」がつぶれずに、なぜ発行部数の多い「ヤングユー」の方が休刊してしまうのか、ということである。発行部数データは2004年なので2005年になって急激に部数が落ちたことも考えられるが、その間に「ハチクロ」のアニメ化があったから、むしろ部数は伸びているはず。

 うわーわからん。なんか情報があったら誰か教えて。



最終号なで切り

 槇村さとる「BELIEVE」で、主人公のルカが国会議員の佐伯と「おつきあいしています」と告白するシーンで、マネージャーの依子の目が白くなる。衝撃をあらわす、この少女漫画の古典的表現は、巻末の、かれん「名古屋嬢のレイコさま」でパロられている。同じ雑誌で共存する奇妙さといったら。

 それにつけても、かれん。
 大手商社であることを権力的に誇示し、結婚を迫る男性社員。残業につぐ残業を押し付ける会社。この負の価値観にたいして、正義を代弁するはずの声は、「親の機嫌」最優先主義、率直という名のルードさ、本人でなく親が抗議する未熟、などである。そしてこれらをひっくるめて「名古屋流」と称する。
 ああもう、どこからつっこんでいいのやら。
 そのような痛痒感をふくめて、面白い漫画ではあった。

 「ハチクロ」。以前の髪型のはぐは好きになれなかったが、髪型を変えてからのはぐに少し好意をもつぼく。大人っぽさと少女っぽさが同居してイイ、とオヤジな感想。おしよせる不安を、ナウシカ流「大海嘯」で表現する、アナタの遺伝子はやはりヲタク。

 池谷理香子「あなたはあの星の下に」は、ストーリーだけが突出して面白いのに、漫画表現として今一つこなれなかったという希有な例。ラストも悪くはありませんでしたが。
 たかさきももこ「白衣でポン!」は、最終回ですよという最終回。職業的成功も、恋愛の成就も、という姿勢は買うが、凡庸でした。
 キャンディー・サトウ「OLくの一・東子」は、絵柄を最近変える努力をしてきた。プラスに評価したい。ただ、最終回にキャラで遊ぶのは遅きに失した。
 岩館真理子と東村アキコは、なによりその絵柄をずっと観ていたい。かわいいよねえ。

 榛野なな恵「Papa told me」は、終わるの、続くの? はっきりしてよ。このオチでこの超大作が完結だとしたら、ものすごい挑戦だ。
 最近同作品がつまらないなあと感じるのは、知世のキャラが「くいしんぼ」「おとぼけ」に傾斜してきているから、という表面的理由はさておき、テーマとして扱う感情の掘りさげが弱いから。昔は「うんそうだそうだ」ともっと思えたし、もっとエッジが効いていたよねえ。

 最後にお気に入り、上田めぐみ「あきらめない女たち」。未来が白紙で待っているというのは怖いことであるなあ。ただし、今回はつくりこみすぎた。「コンプレックスをうまく包んで表現したわね……」のようなお遊びがもっと読みたかったのでした。(05.10.14補足)

2005.10.13感想記
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