(1) 気管支喘息って?; 気管支喘息は、閉塞性肺疾患と呼ばれる病気の一種です。鼻あるいは口から吸い込まれた空気は気管を通り太い気管支からさらに細い気管支を経て肺胞に至ります。この経路を気道と呼びますが、何らかの原因によってこのどこかが狭くなる疾患が閉塞性疾患です。気管支喘息の場合、細い気管支が肺全体で狭くなるために特有の喘鳴や咳・呼吸困難などを生じます。

 (2) 気管支喘息の病態は?; 気管支の壁の中には気管支平滑筋と呼ばれる、一種の筋肉があります。気管支平滑筋は内腔を取り囲むように存在しているので、これが収縮すると内腔が狭くなります。喘息の発作時にはこのような状態が細い気管支全般に起こっています。ちなみに太い気管支には軟骨があって形を保っているために細くなることはあまりありません、一方細い気管支には軟骨がないので平滑筋が収縮するとかんたんにつぶれてしまいます。とくに息をはくときには呼吸筋により肺の外から圧力がかかるため、細い気管支はさらにつぶれやすくなります。また喘息の発作時には痰の量が増えて、狭くなった気管支内腔をさらに細くしてしまいます。

 (3) なぜ気管支平滑筋が収縮するの?; 気管支粘膜に強い刺激を受けると、どんな人でも気管支平滑筋が収縮します。健常な人では反応しないような弱い刺激でも気管支平滑筋が収縮してしまう状態を気道過敏といいます。つまり気管支喘息の人は気道過敏の状態にあるわけです。気道過敏に刺激が加わって喘息の発作が起きます、また気道過敏の程度によって喘息の重症度も変わってきます。

 (4) 刺激?; この刺激のもと(一般にアレルゲンと呼ばれます)となるのもにはダニ・動物の毛・室内の塵・カビ・花粉・食物・アスピリンなどの薬品・化学物質・食品添加物・運動・気象の変化など非常に多くの種類があります。これらのうちダニや花粉など原因のはっきりしている喘息を、アトピ−型と呼び、はっきりしないものを非アトピ−型といいます。小児喘息はアトピ−型(ダニが最も多い)がほとんどで、成人の喘息は非アトピ−型が多いとされています。また大気汚染やタバコ、いわゆる風邪やインフルエンザなどのウィルス感染、建材からのホルムアルデヒドなどは気道過敏を悪化させる誘因と考えられています。これらの回避は喘息の治療上とても重要です。

 (5) 喘息は急性の病気?; 喘息の患者さんは発作が起きたとき以外は、一見普通の人と変わらないように見えます。そこで喘息は発作が起きたときだけの急性の病気と思われがちです。しかし最近の研究で喘息患者の気道には、発作時だけではなく常に炎症を起こす白血球がたくさん存在し、気道上皮にも剥離や浮腫などの障害があることがわかってきました。これら(慢性炎症と呼ばれます)が気道過敏を生じる重要な因子と考えられています。気管支喘息は慢性の疾患です、そして患者さん自身と周囲の人たちがそれを自覚することが喘息の治療上とても大切です。発作の起きたときだけ薬に頼って、それ以外の時は病気に無頓着という態度は、喘息を悪化させるもとになるだけではなく時には喘息死の原因にもなります。

 (6) 喘息死?; 日本では毎年5000-6000人もの人が喘息がもとで亡くなっています。喘息死には喘息の症状が悪化して窒息してしまう場合もありますが、頻度は多くありません。それより急に薬をやめてしまうとか、誤ってあるいは知らずに気管支を収縮させる薬(おもに高血圧で使用される)を飲んでしまうなどの医療上の問題、あるいは患者さん自身が治療をやめてしまう、吸入用の気管支拡張剤を使いすぎてしまうなど喘息に対する理解不足などからくる死亡の方が多くなっています。これらは喘息の病態を正しく理解し、日常の治療の重要性を認識することで防げるはずです。

 (7) 小児喘息は治る?; 小児喘息の多くは思春期までに自然に治癒します。当然ながら、自然に治るだろうと放置しておいてよいものではありません。喘息の発作は、本人にとっても周囲の人にとってもつらいものですし、勉強や運動にも支障がでます。小児喘息の多くはアトピ−型です、周囲から発作を起こす原因物質(ダニが多い)を極力少なくすることが最も重要です。実際には困難なとこともあるので、その場合には症状にあった適切な治療をする必要があります。大切なのは起きてしまった発作を抑えるのではなく、発作が起きないように予防することです。

 (8) 成人の喘息は治る?; 残念ながら成人の喘息の場合には、治ることもあるとしか申し上げられません。成人の喘息ではとくに喘息の発作を起こせば起こすほど気管支自体に構造的な変化が起こり、ますます発作を起こしやすくなるといわれています。従ってこの場合にも、喘息は慢性疾患であることを理解して発作を起こさないような治療が重要です。長期間にわたり発作を起こさないことができれば、治癒も期待できるかもしれません。

 まとめ; 気管支喘息は慢性の疾患であることを理解し、ふだんから発作を起こさないように努力することが大切です。喘息は発作を起こしたときだけの病気ではないのです。


トップペ−ジ / 肺気腫の話 / 診療案内 / 地図・交通手段 / 院長略歴 / 医療・悩み事相談

〒981-3215 仙台市泉区北中山二丁目1番24号
北中山クリニック  院長 斎藤 亮
(内科・呼吸器科・循環器科・小児科・外科)
Tel; 022-348-2650, Fax; 022-348-2651

E-mail; kn-clinic@pop02.odn.ne.jp