『噂の真相』に対する右翼テロについて



 さる6/7、月刊誌『噂の真相』編集部に対して行われた右翼団体・ 日本青年社による、言論に対する不当な暴力行為に対して強く抗議します。 私達は、憲法に示されている「思想・信条の自由」及び 「表現の自由」の精神に則り、今回このような形で行われることとなった、 皇室の”権威”を悪用した、一思想団体による言論弾圧の暴力 を断じて許すわけにはいかないと考えます。

『噂の真相』には今後ともその一思想団体による暴力の背景を 明らかにすることと共にその背景に横たわる日本社会の問題点について、 このような言論テロの脅威に屈することなく、 徹底的に解明する姿勢を貫いて欲しいと思います。

以下にそのことに関して、この問題に関する論評及び有志一同による 若干のメッセージを付け加えておきたいと思います。

2000/6/20


インターネット本多勝一を応援する読者会有志一同


(尚、この本多勝一を応援する読者会は、インターネット上において、 少数の本多勝一支持者が自発的に立ち上げたことから開始された 全くプライベートな同好の士の集いであり、従って本多勝一氏本人とは 公式には全く関係ないところで活動しています。)



「上記声明文について」

 本多勝一を応援する読者会、 噂の真相編集部に対する右翼テロ反対声明文 主筆者
岡 拓史

 今回、上記右翼団体の手によってこのような形で、一商業誌に 対する言論テロが行われた原因として、上記団体により提示されて いる理由としては、「噂の真相」誌上において掲載された、雅子妃 に関する報道の中で、皇族に対して敬称をつけずに報道がなされて いたと言うことがその理由として挙げられていますが、現在ここで 問題にされているような種類の天皇に関する敬称及び敬語に関して はそもそも、大和朝廷の成立−古代天皇制の成立とその継続による 一連の古代貴族政下における体制の深化と固定化と言う当時の社会 体制の深淵に横たわっていた優れて政治的・イデオロギー的な問題 と無縁に成立したものでは有り得ず、それ自体、言語と云うコード の中で「内面化された」、門別による人間及び人間社会における人 為的な階級化と云う問題と切り離せない部分を持っていると思われ ます。現に、古典などで習う平安期の文章などでは、文中において 天皇を指す場合には、他の一般的敬語とは明らかに区別された「二 重敬語」が用いられています。

 従って、現在憲法第一条において規定されている、今日の象徴性天 皇概念と思想・信条の自由及び表現の自由の保障、そして性別及び 人種・門別による不当な差別の禁止と云う四つの観点からそのこと を考えてみますと、歴史的にそのような形で門別による貴族的階級 社会を日本語の内に内面化する形で出来上がって来た、天皇及び皇 族に対する敬称及び敬語の使用が、現在必ずしも国民各位において 強制的に行われる必然性は何処にも存在しないものと考えます。そ れは今日の日本国憲法における「象徴天皇の定義」及び「思想・信 条の自由」、「表現の自由」の規定を有する社会体制においては、、 各個々人の内面における「象徴としての天皇」に対する承認の度合 いを言葉の上においても表すか否かの問題に還元される訳ですから、 「表現の自由」に関する問題として解釈されるべきものであり、従っ てそれを以って表現を行った者が、かような不当な暴力を被る謂れ はないものと考えます。


2000/6/20



俺は本多勝一の連載が「噂の真相」で打ち切られた経緯と「噂の真 相」による本多勝一攻撃にはまったく異議を唱える者であり、週刊 誌・月刊誌などのメディアによる私事暴露行為には強く反対します が、今回の「噂の真相」に対する右翼の暴力に対しては断固として 非難を表明したいと思います。皇室の”権威”を悪用した、一思想 団体による言論弾圧の暴力を許すわけにはいきません。「噂の真相」 にはその一思想団体による暴力の背景を徹底的にあばいて欲しいと 思います。

Takaoku1420

最近、つくづく思うのは、天皇制という存在が日本の右傾化と反動に多大の「貢献」 をしているということだ。改めて、天皇制の存在を、その根底から問い直さなければなるまい。 天皇の戦争責任問題の話で極めて重要だと最近感じていることは、昭和天皇が死去した今、 改めて考えられなければならないのは天皇制の侵略責任ということです。 東京裁判で昭和天皇が免責された経緯は昨今、詳しく解明されていますが、 これはどこまでいっても「天皇制は民衆支配に役立つから」という理由しかありませ ん。これは最近の森首相の発言にもつながっていると思います。

追記)昭和天皇裕仁の妻だった良子氏が亡くなった。例によって例の如くの敬語報道 の大洪水だが、実にうんざりする。人の死までを差別するのか、という思いととも に、それを利用した過去の美化を許してはならない。

クマさん

今回のテロは、殺すつもりはほとんどなくて、むしろ軽ーく血と怪 我を見せておいて、それを見せしめのために利用するという辺りで しょうか。その目的としては。しかし、89-90年頃の消費税で揺れた 選挙の時もそうでしたが、自民党不利が伝えられる選挙戦が近づく と何故かこのような右翼テロが起きると言うのは、果たして偶然の ことなのでしょうか? ちなみにTVで見た噂の真相編集部映像には確 か、血のべっとりと付いたタオルか何かが映されてました。こうい う「絵」が世間に広まるのを「期待」してるんでしょうね。やった 方としては。

私が、現憲法下の象徴天皇制に見られる戦後日本におけるナショナ リズムに特有の「ねじれ現象」に関して言えることは、何度も言っ ていますが、それは基本的に先の戦争において陸海空軍の総帥であ りしかも「国家元首」であった「昭和天皇」の「戦争責任」が「東 京裁判」において不当に免罪されたことにあると云うことです。そ の問題(天皇の戦争責任問題)を避けて通る限り、問題の真の解決 はないと考えます。いわゆる「右翼」の連中が一切目を向けようと しないのは正にその部分です。それと、現在においても一般メディ アにおいてはいわゆる「菊タブー」と言うのが厳として存在してい ますが、それは今回の事件のように、天皇を巡る言説の背後には常 にこのような形での、テロル=暴力が付きまとっているからです。 それは現憲法における象徴天皇の定義から考えてみても奇妙な事だ と言わざるを得ないでしょう。

しかし、逆に、「天皇制」を擁護する人々がこのような形(その言 論のせい)で、言論に基づくテロルを被ったと云う話はほとんど聞 いたことがありません。これは、未だに支配的イデオローグとして 日本の底部には、天皇制システムが横たわっている(現実には今の 日本で、天皇制を原理主義的に擁護している人と云うのは少数だと 思いますので、それらはかつてのそれの「残滓」と云うべきでしょ うが)と云うことの、端的な現れと考えられるのではないでしょう か。そして、その権力の性質は基本的に絶対主義的な性格を持って いると言うことです。何故ならそこに見られるのは一種の「神聖な る怒り」に近いものであると思われるからです。そして今、この不 況下においてそれは一部の右派の動きを通して再び日本国家の意識 の前面に現れて来ようとしている。この呪縛を解くには、菊タブー を解禁し、東京裁判においては欠けていた先の戦争で国家元首であっ た昭和天皇の戦争責任を改めて問い直すことから始めるべきでしょ う。もちろん、日の丸・君が代の問題にしてもこの観点から考えら れなければならない訳です。そしてそのような菊タブーを越えてそ れを一切のテロルから自由に論議することを擁護する論理は今の憲 法の中にこそあると考えます。

今日、「右翼」と云っても大抵は、その実態は右イデオロギーを錦 の御旗にテロルを振りかざしての総会屋まがいでの金儲け(たかり ・せびり)こそが、その主たる活動の内容であるとか、或いはイデ オロギーと言うよりは金銭で雇われて権力の下働きのような位置で 暗躍するような、いわゆる「営利的イデオロギー団体」とでも言う べき組織であることがほとんどではないのでしょうか。それに現首 相の森喜郎って確か、佐川急便での疑惑か何かの時に、例の「誉め 殺し」の皇民党なんかとの露骨な関係が明らかになっています。今 回の団体がそういうのと関係あるのかないのか私はよく知りません が。

しかし、選挙が近づくと必ずと言っていいほど自民党執行部筋と縁 の深い右翼の動きが活発になると言うのは、これまでの過去の実態 から考えても事実であると思います。そういう意味ではその部分を こそ明らかにすることが出来れば相当、面白いと思います。実は、 日本右翼のテロルに基づく、言論・菊タブーの根元と言うのは正に そこにこそあると見る方が、戦後政治の状況の中における天皇制分 析の視点としてはむしろより適切なのかもしれません。つまり、そ れは天皇うんぬんと言うより、実はそれ自体が自民党の権力の根っ 子(秘密)に触れる問題である、と云う意味で「タブー」であると。 半分くらいは確実にそうだと思います。ただ一方では、その中に、 戦前・戦中的な「絶対主義的権力形態」としての「神聖なる天皇」 と言うのが、例えそれが現在の状況においては、単なる残滓に過ぎ ないとは言え確実に組み込まれている。そして現在まさに、その部 分こそが再び国家の意識の前景に、露骨に出て来ようとしている。 これを見逃す訳には行かないと言う状況も一方では着々と形成され つつある訳です。だから、この両面から攻めないと、現在の日本に おける天皇の問題を本当の意味で解体することは出来ないのかもし れません。

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