黒川順夫の心療内科  

摂 食 障 害 と は

私は九大心療内科で、心療内科を日本で一番初めに作られた池見酉次郎先生の下で約10年間、心身医学を勉強してきましたが、1番多く受け持っていた患者さんが、摂食障害の患者さんで、その後勤務医を経て開業医を続けているが常にこの患者さんを診ている。まともに数えたことはないが、この50年近くで4~5000人は診ていると思う。その経験から私なりにお役に立つと思われることを述べてみよう。この摂食障害の分類方法はいくつかあり、しかも何度も変更されています。
一言でいうと、ともかくやせたい(やせ願望)がキーワードである。たとえ30kgを割っていたとしてもなおやせたい、体重を増やしたくないのだ。摂食障害は大きく分けて2種類ある。食べないか、食べても吐いたり下剤を沢山飲んだり、過度の運動をしてやせているのが「神経性食欲不振症」いわゆる「拒食症」(ANと略す)です。逆にいくらやせようとしてダイエットしても反動で過食になってしまって結局は太ってしまったのが「神経性過食症」、いわゆる「過食症」(BNと略す)である。この両者については種々の特徴があり専門家の意見もたくさんあると思うが、私は経験上次の図のように分けている。
    
この両者を比較してみると、おう吐うつ状態はほぼ同じくらいですが、入院拒否感と親の関心が両者では違う。すなわち、拒食症(AN)は過食症(BN)に比べていくらやせていいても絶対入院はしたくない人が多い。いろいろ理由があるが、入院すると太らされるという気持ちが一番強いと思う。それだけ体重が増えるのがいやであり、怖いのです。30kgを切って25kg前後になってもその気持ちは変わらないので不思議な病気と思う。もう一つの違いは親の関心 としたが、ANの場合、親をはじめ家族の誰かが付き添ってくる場合が多い。主にやせているので、心配してついてくるのだと思う。一方BNの場合は家族がついてこない方が多い。拒食症より過食症は体重はあるので、周囲の人はそれほど心配していないので、ついて来ないのではないかと思う。
いずれにしても両者ともやせ願望があるのだからやせることに成功したのがANであり、失敗したしたのがBNと言えるのではないかと思います。  

1)拒食症(AN)の治療法
 拒食症(AN)の治療法は先程述べました入院が絶対いやという特徴をとらえて私はなるべく入院しないでよくなっていただくために黒川体重設定療法(KTWT)という治療法を考えました。詳しくは私の著書「過食・拒食」や論文にのせていますが、簡単にいいますとANの患者さんは入院が何よりもいやだから入院をなるべくしないで済むように、まずは「○○kg以下になれば入院ですよ。」というふうに「入院体重」を設定します。例えば35kgで来院した患者さんには本人と相談して「次回33kg以下になっていれば入院ですよ。」と約束します。例え27kgできた人でも例えば次回25kg.以下なら入院と約束して2週間後どうなっているかで判断します。さらに体重が減少したり、生命が危ないとなれば入院していただきます。初めから入院体重を設定しているので比較的入院してもらいやすい。入院先はこのような重症ANの患者さんでも治療出来る経験豊かな医師のいる病院を選んで紹介している。しかし、このような重症ANの患者さんを確実に診ることが出来る医師は全国でもわずかです。一方次回の診察時に入院体重以上のあった患者さんはこの黒川体重設定療法(KTWT)を続けていきます。私は案外このような重症ANの患者さんが黒川体重設定療法(KTWT)で外来だけで改善することも多いのはこの治療法には前述したようにANの患者さんには親をはじめ家族がついてくることが多いからと思う。「摂食障害家族の会」という家族を中心とした会を奇数月の日・祝日の一日を選んで2時間位話し合っていますが、これもよい役をしているものと思います。。また最近は年に1,2回はこの会に本人も加わった会にもしています。

2)過食症(BN)の治療法
 実際は摂食障害はAN、BNにかかわらず根っこには親子関係特に母子関係があると思うが、ANは自然に親がついて来られるので治療者としては親にアプローチしやすいが、BNはついて来られない場合が多いのでかえって治療が難しいと思っている。
そこでBNには本人に了承を得て親をはじめ家族に来院して頂き、一緒に診察に入ってもらったりANのところで述べた「摂食障害家族の会」に参加してもらったりしている。また実際に体重が多い場合は体重を多少とも減らす漢方薬や過食を抑える薬を出したりする。
また、希望があれば本人のみならず家族のカウンセリングとして当院の臨床心理士に受けてもらいます。さらにヨーガが功を奏することもある。また摂食障害の人は犬と親和性があるので犬を飼ってもらってよくなった人もいる。私が書いた著書は次の通りです。少し古くなっているが、詳細がお分かりいただけると思います。
 

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