黒川順夫の心療内科  

過敏性腸症候群 (3)
◇下痢型・便秘型・交替型

  過敏性腸症候群という病気は三つの型に分類される。ひとつは「便秘型」で、これは腹痛を伴う便秘が続く。二つ目は「下痢型」で腹痛を伴う下痢が繰り返され、この型の患者が圧倒的に多い。三つ目は「交替型」といって腹痛を伴う下痢と便秘を交互に発症するものである。
 「便秘型」の特徴の一つに”兎糞状の便”、つまりウサギの糞のような便であることが挙げられる。一般的に「下痢型」より治りにくい。

 過敏性腸症候群は、不安感やストレスが原因となって起こる病気だが、この三つの症状をバリウムなどを使った検査でその流れを見てみるとよく分かる。
 「下痢型」の場合のバリウムの流れは、飲んだバリウムが回盲部(回腸と盲腸を結ぶ部分)までくるのに普通は2時間ぐらいかかるのだが、1時間ぐらいで回盲部を越えて上行結腸から下行結腸にまで達している。腸がストレスのためけいれんを起こし、普通より細くなり、正常な蠕動(ぜんどう)運動をしなくなり下痢を起こすのである。
 「便秘型」の場合の腸は、通常のゆっくりとした蠕動運動をせず、もっと遅い動きとなっている。腸が正常な蠕動運動をすることは、食べたものを正常に消化させる上で欠かせない働きである。それがストレスや不安感などで正常に機能せず、下痢を繰り返したり便秘になったりするのである。

 40歳の大手企業サラリーマン。支店長代理という役職で、毎日ハードな仕事をこなしていた。1年ほど前に、福岡から大阪へ転勤してきたのだが、最近原因不明の腹痛と下痢が続いているため私の所へ来たという。
 内科的な検査をしたが異常はない。ところが話を聴くうちに、彼は九州から大阪へ転勤したことにより、言葉や文化の違いから来るストレスに悩まされていることが分かった。大阪と九州では笑いのセンスなども違い、営業活動の中でお客さんとうまくいかず、緊張のあまり腹痛と下痢を繰り返すようになった。

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