黒川順夫の心療内科  

過敏性腸症候群 (4)
◇診断基準・ガスタイプ

  過敏性腸症候群(IBS)は昨今顕著になった病気だが、症状としては昔からあり「過敏性大腸」と呼ばれていた。精神的不安感やストレスが原因で、複雑化した現代のストレス社会がこの病気を顕著にしている要因でもある。

 便秘型、下痢型、交替型の3つの病型に分類されるが、この病気の診断基準は以下の通りである。
 1.排便によって軽快する腹痛がある。
 2.少なくとも年6回以上、そのような腹痛がある。
 3.そのような腹痛が出現すると、少なくとも3週間は続く。
 4.腹痛を伴わない下痢は除外する。
 5.腹痛を伴わない便秘は除外する。
 以上の項目が当てはまり、器質的でない腸の機能的疾患を過敏性腸症候群と診断するのである。

 下痢型、便秘型以外に「ガスタイプ」といっておなかにガス、つまり”おなら”が溜まるタイプのものがある。ガス症状の患者は神経過敏になるあまり、”自己臭”といって周りの人にガスによる臭みを与えていないかと(そんなことはなくても)異常に気にする場合がある。

 私の所へやって来た患者の27歳女性がそのような症状だった。もともと潔癖症で確認癖や手を何度も洗うという点が目立ったが、便秘型の過敏性腸症候群と診断され、おなかが張ってガスが溜まりやすいことから、そのことを大変気にするようになった。
 こうなると、新たな不安やストレスを生み出すもので、悪循環である。私は整腸剤などを投与する一方で、臨床心理士に指示し、カウンセリングを施した。その結果、彼女は快方に向かった。

 過敏性腸症候群の治療には、腸管運動を改善する薬や抗不安剤、抗うつ剤などいくつかの薬が使われるが、私は漢方薬も多く用いている。特に下痢型の患者には「半夏瀉心湯」などの漢方薬が副作用も少なく、よく効くことを付記しておく

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