黒川順夫の心療内科  

  寂しくてうつ状態に

50歳,女性。
主 訴 :不眠,寂しい,食欲不振,易疲労感。
現病歴
 7月に一人娘が結婚してから,何となく寂しくなり,食欲不振,全身倦怠感がだんだん強まってくる。近くの内科医にみてもらっていたが,全然よくならず,だんだん外出も不可能になり,9月に黒川内科へ来院する。
治療経過
 初診時,明らかなうつ状態で外出や日常生活も不可能なため,ほとんど寝込んでいることが多かった。したがって,まず抗うつ薬を投与することから始めた。
 抗うつ薬を投与し,10月頃やや動こうとする気分になって来たため,歩行訓練療法〔森田療法変法)を施行し始めた。しかし,着換えるのもおっくうで,10月末までに,2回歩行しただけであった。
 11月初めには『どんなに気分が悪くても,毎日決められた時刻に,昨日歩いた距離は歩くように』と指示しなおす。それ以後,徐々に距離を延ばしながら,毎日歩くようになり,11月中頃には割に眠れるようになって,気分的にも安定し,主人にもよくなったといわれる。
 12月初めには「目的地にまで歩け,気分も安定した」といっているが,よく聴くと団地のまわりを歩くだけのコースにいつの間にか変更している。そのため,目的地を駅に選びなおさせる。
 12月中旬には駅まで歩き,次の駅まで電車に乗れるようになる。その後は駅まで毎日歩き,電車に乗る距離を徐々に増やすよう指示する。
 翌年1月初旬,梅田まで電車で行けるようになっている(目的地の駅から梅田駅までは40分位)。「歩行でよくなった」といっている。
 1月下旬,歩行や乗車は楽にでき,日常の生活も普通にできるようになる。
 2月からは,梅田まで毎日通勤し.会社の事務もできるようになり,うつ状態はほとんど消失し,抗うつ薬を減らす方向にもって行けている

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