黒川順夫の心療内科  

主人在宅ストレス症候群 2
 ◇脱サラした夫のおかげで不整脈

 「主人在宅ストレス症候群」が出てくる年齢層は、だいたい六十歳ごろというのがもっとも多いようだ。しかし、四十歳代の若い主婦の場合もないわけではない。

 彼女は、46歳のときにこの症候群にかかっている。話を聞いてみると、彼女の主人は定年退職したわけではない。定年になるかなり以前に会社を辞め、保険関係の仕事を開業している。しかも仕事の事務所を自宅に置いて、京子さんもその仕事を手伝うようになった。
  主人が脱サラしてからほぼ四年後、彼女に不整脈が出はじめ、それは次第に ひどくなっていく。主人が自宅で仕事をしている以上、なにかと気を使うのは当然だろうし、それが非常なストレスになったという。
 かつて彼女はスーパー勤めの経験があった。そのときには、何も格別な問題は起きていないし、かえって体調は上々だった。だから、働くことに問題があったとは考えにくいのである。
 ある大学病院に行ったところ、二十四時間心電図の波形から心室細動という診断がくだされた。これは相当にきつい病気だが、幸い薬によって治すことができた。

 彼女が当内科を訪れたのは、その後ま もないころ。
 心理テストはSDS=42点、エゴグラムはFC=9点、AC=14点と出た。かなりのうつ状態にあって、性格は自分を抑えるタイプ。
 診断の結果は不整脈と不安神経症だった。
 不安神経症はともかく、不整脈まで仲間入りしてくるとは、「主人在宅ストレス症候群」の症状は、まことに千差万別である。

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