黒川順夫の心療内科  

うつ状態 症例3.家庭での悩みから・・

  うつ状態といっても、これがうつ状態かと思うほど軽いものから、「時々死んでしまいたくなる」といった重いものまでその幅は広い。なぜ人はうつ状態に陥るのか。それには多くの原因が考えられるが、職場や家庭での悩み、心理的負担、すなわちストレスが大きな原因のひとつと指摘されている。

 次のような症例もある。60歳の男性会社員は、「よくお腹が痛くなるんです。食べるとすぐに下痢する。1年前から不眠に悩まされています。」と初診時に訴えた。  エコー検査や胃透視などで腹部や胃の検査を行ったが、以上はみられなかった。彼は先の身体症状に加えて、「どうも何もする気がしない。気が滅入って仕方がない。」という状態に陥っていることが判り、それが日増しに強くなっていると感じた。
  私は、心理テストや問診、カウンセリングを通して、彼がうつ状態にあると、判断し、原因を探ってみた。その結果、1年ほど前、娘が自分の反対を押し切って結婚し、遠方へ行ってしまうという出来事があり、それがきっかけになって彼の体の変調が始まったと言うことが判明した。

 うつ状態は、ひと口で言うと”気分の沈む”病気で悲しい、寂しいといった心理状態に陥るのである。手塩にかけて育てた娘が反対を押し切って、遠方へ嫁いでいったことが、彼にとって大きな心理的痛手であった。  子供たちがそれぞれ独立してしまい、夫婦二人だけになって寂しい。夫に先立たれた老婦人が、独り暮らしを余儀なくされ、うつ状態に陥った。また、嫁姑の問題で、嫁、または姑が、あるいはその間に立った夫がうつ状態に陥るという家庭の問題が原因になることも多々あるのである。

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