03.03.銭湯で観察しよう ①

銭湯こそが、人の動作の観察場所として私がもっともお薦めする場所だ。理由はもちろん、身体そのものをきちんと見ることができるからだ。
裸体は多くのことをあなたに教えてくれるだろう。関節の動き、その動きの範囲やスピード。美しい人とそうでない人の違い。関節が持っている役割。それらを知ることはあなた自身の身体を変えていくのに十分役に立つ。

普段見えないものが見える

裸体を見ているとつくづく、衣服は人の身体の癖を隠すための道具でもあるんだなと思う。
衣服を選ぶときの基準の中には、無意識にせよ、自分の癖や欠点を隠すのに都合よいもの、という条件が入っている。私が細めのジーンズを一本も持っていないのはきっとO脚を隠すためだし、わりに大きめの上着を好むのは猫背気味の背骨のカーブや、ぎこちない腕の動きを隠したかったからだ。

銭湯では普段隠されている人々の癖を観察することができる。それぞれの人がそれぞれの癖を持ちながら動いている様を目の前で見ることができる。 ただ浴場では、もちろん、さりげなく他の人の身体を見てほしい。

当然といえば当然のことなのかもしれないが、他人の身体に注目している人というのはあんまりいない。みんな特に何も見ていない。リラックスしている。くつろいでいる。
そういう人たちの感情を乱さないためにも、とにかく、さりげなく観察すること。
特に同じスペースに入ってきたばかりの人は注目してはいけない。これは大事なコツです。人間が社会的存在であることの一面だと思うが、例えば湯船に他者が入り込むと、もともとその湯船にいた人との間で、お互いに少し探り合うような、味方か敵かを見極めるかのような時間がある。その時間は銭湯ではそんなに長くないので、その時間は我慢すること。たとえすごく面白そうな人でも、しかるべき時間をおいて、その人がその場に馴じんでこちらに関心を向けなくなってからにすること。

関節が身体のラインを描く

さて、他人の裸体のどこをどう見たら良いのだろう。
もうありとあらゆる所をしっかり見てほしいのだが、まずは身体のラインに注目してもらいたい。普段は衣服に隠れている膝や腰、背骨の一つ一つ、肩、ひじ。これらむき出しの関節をしっかりと観察しながら、その関節がどのように身体のラインの美醜を左右しているかについて考えてみてほしい。

関節。人の身体的なラインは関節をベースにして描かれる。太っている人も痩せている人もそれは同じで、どんな風に見えてもちゃんとその奥で関節が影響を与えている。お腹の出た中年の方でも、腰や背骨、膝の関節の使い方がうまい人はそれなりに貫禄のある姿に見えるというように。

頭と胸の位置の関係。腰の角度。膝の曲げ方、足首の使い方。
そういうことの一つ一つを自分の目で見てもらいたい。骨と骨の間にある関節がいかに身体のラインを作り出し、どのような印象を自分に与えるのか。
お湯に入る時、膝から曲げる人もいれば、上半身から前のめりに入っていく人もいる。関節が無数の動きを作りだし、ほんの少しの違いが美醜を左右する。

もしその浴場に10人がいれば、そのうちの1人か2人くらいは綺麗だなという身体のラインをしているのではないだろうか。そして同じような割合で美しくないラインの人がいる。
この美醜の差は、どこから来るのだろう。根本的な違いはどこにあるのだろう。きっとあなたは人々の裸の身体を見つめながら疑問に思うはずだ。筋肉や脂肪のつき方はここでは考えない。関節によるラインの描き方のうまい人。いわゆる姿勢の良い人。そういう視点で人を見てみる。

私は長い間その美醜を分けるポイントが発見できなかった。
この人はちょっと猫背だな、とか、この人はもっと膝を伸ばして、腕をきちんと背中の方まで振れば綺麗に歩けるのにな、といったことはわかるのだけれど、美しいラインを描く人の条件は○○○だと言うことができなかった。

筋力の適切な分配

しかし今なら少し言える。
おそらく美しい人はバランスが良いのだ。 美しい人すべてに共通しているのは、その関節のバランスの良さだ。
関節の位置のバランスが良い。膝・腰・背骨・首と、あらゆる関節を使って描かれるそのかたち、ラインのバランスがとれている。
それから筋肉の使われ方のバランス。ほど良い緊張が、全身の関節対して適切に配分されている。一点に緊張が集中していたり、ある関節が忘れられたように無造作に扱われていることがない。 そして動きの中でそれらの均衡がほとんど崩れない。

そんなことはあたりまえじゃないか、と思うかも知れない。

しかし、次のように感じた経験はないだろうか。
猫背の人が二人いる。同じようなカーブを描く背骨。でも、どうしてかわからないが、一人はすごくだらしがない印象しかないのに、もう一人の方はそれなりに魅力的な身体に見える。 舞台に立つ役者の中にも猫背の人はいる。しかしそれが「醜いラインの身体だ」とはどうしても思えない場合がある。むしろ背中をシャキッと伸ばした別の俳優の方が何だか味気ない身体に見えてしまう。

身体のことを考える時にいつも重要なことは、それが「動き」を伴う、という事実だ。このことは覚えておいてほしい。筆者の視点の最も根本にある考え方だからだ。
私たちが綺麗だと感じる身体は「動き」というものなくしては語れない。身体は「動き」の中で本質をさらけ出し、私たちはいつもその本質に対して美醜の判断を下している。

同じような猫背でも印象がまったく違うのは、「動きの中で関節のパランスが良いか悪いか」の違いなのだ。 バランスの良い人はまずブレが少ない。これは無駄なラインを描かない、と言ってもいい。
歩くたびに首が前後に揺れてしまう人、肩の関節がこわばっていて、ただ腕だけを振って歩く人、腕が意味もなく小刻みに動いている人。そういう人は静止状態なら綺麗に見えるかもしれないが、ほんの少し動いただけでその本質があらわになってしまう。

多少猫背でも人は美しく見える。言いかえれば、猫背だからといって背筋を伸ばすだけで問題が解決するわけではない。
私が「頭のてっぺんから糸」に代表されるアドバイスをあまり有効だと考えられない理由がここにある。少なくとも根本的に自分の身体を変える役には立たない。それよりは、関節単位で人間の身体に目が行くようになることの方がはるかに汎用性が高い。イメージを使った身体法はそれから取り入れていけば良いものだと思う。

そして、そういったことをふまえた後ならば、次のような具体的な法則めいたことも言うことができる。

美しい人の多くは胸の後ろにある背骨が真っ直ぐである、と。

もちろんこれは、あえて一つあげてみた法則に過ぎない。猫背であるよりは、そうでない方が好ましい、くらいの意味しかない。しかし、銭湯で人を観察していると頻繁に感じることだ。綺麗だな、と思える人の多くは胸の後側の背骨が伸びている。「胸を張っている」と書き表さないのは、猫背の人が胸を張ろうと意識するとつい腰が引けて逆にぎこちなくなってしまうことが多いからだ。

この、背骨の上部を伸ばす、というのは自分の姿勢に自信がない人にはもっとも効果的で速効性のあるコツの一つだと私は思っているが、やはりそれは多くの法則の中の一つなのだ。胸を開くことがどうしてもできない、という人もいると思う。さまざまな理由で、どんなに意識しても背骨上部を伸ばして動きつづけることが困難だ、という人が。
そういう人は他の場所でバランスをとることを学べば良い。身体の別の場所で無駄な動きをしているなら、そちらから直していけば良い。そういう選択が可能なのだと実感できれば良い。完璧な身体などない。

<< 前のページ ・ TOP ・ 次のページ >>

本間晶のショッピングコラム

■ 美味しいコンフィチュール

コンフィチュールとはフランス語でジャムの意味。
ラズベリーやアプリコットやオレンジなど従来の素材に、スパイスやハーブが加えられたものが人気。
専門店も増えてきている。

1 2 3
贈り物に最適♪【レモングラス&生姜】【ストロベリー&ミント&ペッパー】【タンジリンオレン...  2 真っ赤な可愛い実・木いちごの手作りジャムです。木いちごのコンフィチュール  3 コンフィチュール・トロワ・セレクションNo.5
<< 前のページ ・ TOP ・ 次のページ >>

★ 本間昌も使っているおすすめ縄跳び。
ロープ自体に重みがあるので気持ちよく跳べます。

なわとびは本当に優れた道具です。
一日2分で良いから、跳んでみれば、鍛えにくい筋肉のポテンシャルをあげてくれることが実感できるはず。


Copyright © 2002-2017 HONMA Akira, All Rights Reserved.