05.05.「方向性」と「軸」について

関節が担っている役割は、身体のラインを作ることだけではない。
ただ骨と骨の角度を変えること、それだけが関節の機能ではない。

例えば、今まで椅子に座っていた同僚が立ち上がり、書類を持って部屋を出ていく。
身体の向きを変え、立ちあがり、書類に手を伸ばし、歩き出す。その時、身体全ての部分が常に同じ方向を向いているわけではないはずだ。すでに足はドアの方へ向かいながら、足首や腰が回転し、腕は書類へと伸ばされる。人は日常的に足首、膝、腰を使って身体をひねり、一定の流れの中で複雑な方向性を生み出している。

これが関節の第二の役割。身体に方向性を与える。関節は曲がるだけではなく回転するのだ。

関節は回転する

普通、人は自分の身体を綺麗に見せようとする時、身体のラインのことばかり気にしている。本当に美しい動きをする人は、ラインも美しいのだが、関節を綺麗に回している。

もしかしたら「方向性」という言葉はあなたを混乱させるかもしれない。
その場合はただ単に「関節は回転する」と理解しても支障はない。読み進むうちに「方向性」という言葉のニュアンスはわかってもらえると思う。

さて、この関節の第二の役割について詳しく述べていきたいのだが、わかりやすい例として、友人と隣合って歩きながら会話を交わす場面を思い浮かべてほしい。 その時、当然あなたは友人の方に身体の一部を向ける。
常に、ではないだろう。友人の顔を見、進行方向を見る。床も見るし、何か後方で物音がすればそちらを振り返る。そのように、主に上半身を使ってコミュニケーションを計りながら、身体自体は前へ進んでいく。

身体のどの部分を回転させるかは個人によって違う。首だけをひねるかもしれないし、腰から全てを相手に向けるかもしれない。身振りが必要な場面では腕だって使う。その腕の動きの方向は進行方向とも相手のいる方向とも違う。 本章で私が述べたいのがこの関節が生み出す「方向性」についてだ。

見栄えの良い方向というものもあるし、貧弱な表情の方向性しか表せない関節もある。
自分の身体のラインにしか気を使えない人は、上のような場面で身体が途端にその本質を表す。

あなたが「キレイな動きをしているな」と思う知人はどのように関節に回転を加えているだろうか。その点に注目してみてほしい。

キレイな人は軸がぶれない

その時に有効なのが、「軸」というキーワードだ。
話しながら歩いている時でも姿勢がキレイな人は、軸がしっかりしているのがよくわかるはずだ。相手の顔を見ようと上半身をひねった途端に首が不必要に前に出たり猫背になったりしない。たとえ前傾姿勢になっても軸はブレない。重心が不必要に移動して歩調に乱れがでることもない。無意識に腕がふらふらと動いてバランスを保ったりする必要もない。相手の方を向いている時も美しく、進行方向を向いていても美しい。
動きの美醜における決定的な差が、この関節の回転によって決まると筆者は考えている。

筆者の職場の上司はこの軸がぴたっと決まっている。
「あの、この図面なんですが・・」と私が質問に行くと、首だけを使ってこちらの存在を確かめ、私の手にある図面を見る。首から下は今までの作業を続けている。けっして自分の作業を止めることがない。こちらが質問の内容を話す間、上司は自分の指先の方と筆者の顔と図面とを交互に見ながら、まったく余計な動きをしない。
そういう時、筆者はただただ感心して上司の動きを見ている.彼にはそういう身体能力があるのだ。洗練された処理能力。身体を無駄に動かさない。バランスを崩さない。たぶん生まれつきのものだ。意識して身体を鍛えたり、その能力を誇示するタイプではない。それでも私は軸について彼から学んだ。
軸がしっかりしてるというのは、ブレずに関節を回せると共に、身体の他の部分がそれに連動して無意味に動かない、ということなのだ。

誤解がないように、この「無意味に動かない」という部分にはもう少し説明が必要だろう。

身体は首を動かせばそれに連動して肩や腰が動くのが普通だ。それはまったく「美」を損なう要因ではない。むしろ無理に身体を緊張させて機械的に首だけを動かす方がおかしな感じがしてしまう。これを意識的に行う訓練法がアイソレーション(独立運動)というものだ。首だけ動かす。ひじから先だけを動かす。大道芸人がやるロボットのような動き。

ここで言う「無意味に動く」とは、ただ首を少し動かしただけなのに、身体の重心がズレて腰や膝が動くとかそういうことだ。重心のズレをおぎなう本当に小さな、半歩にもみたないような動きが「美」を損なうのだ。職場や学校で人の動きを見ればすぐにわかるはずだ。TVを見ていてもこれはけっこう多くの人が無意識にやってしまっている。一般の人とプロの違いがはっきりと出ている。

ではどうすればこの軸をしっかりとさせることが可能になるのだろうか。複数の方向へと身体を使いながら、かつ重心を無駄に動かさずにいるためには。

もしあなたが自分には綺麗な軸がないと感じているのなら、鏡を使って自分の姿を映し、さまざまな方向へ身体を動かしつつ綺麗な軸を獲得していく方法をお薦めする。とにかく自分の軸という軸を動かし、その動きを確かめるのだ。
そうすることで自分の関節をより意識的に動かせるようになるし、あなたが無意識に採用している動きのシステム、つまり癖そのものを変えていくことができる。関節をキレイに回す、軸をキレイに保つという意識を持ったことで、鏡に映る自分の姿を新しい目できっと見られるはずだ。多くの発見があるはずだ。このことは後々詳しく述べたいと思う。

些細な身体的テクニックの積み重ね

また、自分の身体に自信がない人は身体をひねることが少ない、ということも言える。
常に、どんな時でも対象物に正対する。新たな対象物が現われると、身体全体を使ってそちらを向き、また元の位置に戻る。これでは豊かな動きは絶対にできない。しかし時折舞台に立つ役者でもこういう動きをしている人を見かける。動きを大きく見せるために意図的に正対することはあるが、そのような理由からではなく、ただ単に癖でそうしてしまうのだ。

逆に言えば、魅力的な動きをするために、自分の身体の動きの方向性を意識することは非常に有効だ。
たとえば、呼ばれて振り向くその首の回し方を少し工夫するだけで良い。重心を崩さずにきちんと相手の方に顔を向けることができるようになるだけで、あなたの動きにはっきりと違いが出るのだ。

首、背骨、腰、膝、足首。
この5つは身体全体の印象を大きく転換できる関節だ。身体の主方向をになう関節だ。もし上半身の軸がブレやすいのなら、下半身の膝と足首を使えば良い。人それぞれに扱いにくい関節があるものだ。苦手な関節を自分で知ることができれば、別の関節を使うという選択も可能だ。やってみればすぐに実感してもらえると思うが、

片足の膝を曲げてかかとを上げるだけで、身体は方向を変える。

右を見たければ左足の膝と足首を使う。左足の動きに連動して、右足がしっかり回転してくれる。まったく腰と背骨を使うことなく。
こうすれば腰や背骨の軸はほとんど崩れることがない。立ち位置はそのままで横にある対象物を見ることができる。バランスが崩れない。
必要とされるのはつま先にしっかりと体重を乗せられる能力、つま先に負荷をかけることができる身体感覚だけだ。

筆者が読者に意識化してもらいたいのがこういう無数にある、些細な身体的テクニックなのだ。おそらく上の例などはほとんどの人が無意識に行っていることだろう。
しかし、他人の動きを観察することで、日常的な動きに意識的にアプローチできるようになる。その状況にふさわしい動きを、あなたは自分で選ぶことができるようになる。あなたの身体の癖に振りまわされることなく、逆にそれを利用することができる。それは有効な武器だ。豊かでかつ正確な動きはそうやって作っていくのだ。

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本間晶のショッピングコラム

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