このダイジェストは今まで作った理論テキストからの抜粋です もとのテキストを読みたい方はこちらの目次へどうぞ

 長調短調を基にモー ダルインターチェンジとセカンダリードミナントで音楽を捉える方法 

アドリブするためにはコード進行からモードを推理する必要がありま す、メロディーとコードに使われている音からモードの種類と中心音を把握しましょう。

臨時記号のつかない長調の和音はイオニアンモードからできているわけですから当然 メロディーにもイオニアンモードを使うのがもっとも自然です、臨時記号がついている和音があらわれればモードが変化して いる(モーダルインターチェンジ) 中心音が移動している(一時的転調)かどちらかです。短調ではいくつかのモードが交代して現れ るのが普通なので少し複雑になります。

ここでは12のモードの特徴的な和音と10のセカンダリードミナントを紹介致しま すので 曲の中に使われているこれらのノンスケールトーンコードが何のモードの和音なのか 何調のドミナントコードなの かを判別して下さい、基本となる長調短調とこの二種類の変化で音楽を捉えましょう 

 

音楽の原材料 モード


どんな音楽にも中心音があり中心音は終止音でもある。中心音とその回りに配置された 数音で音組織が形成されている。これが モード(旋法) である。モードの各音は、中心音との音程により その音独自の表情と働きを持っている。これらの音の組み合わせ 即ちモードの種類が音楽のムードを決定する第一要因となる。(人間は 色や味を識別するのと同じようにモードの性格を識別している。)

モーダルインターチェンジとセカンダリードミナント


音楽の聞き手は メロディー、コード等を 中心音とモードという枠組で 認識している。長調はイオニアンモード、短調はエオリアンモード を基本と感じ、それ以外の音(ノンスケールトーン)が現れればモーダルインターチェンジ かセカンダリードミナント(固有音度調のV) どちらかに感じる。(スケールトーンの半音下の刺繍音と倚音、半音階的な経過音を除く)

  • 中心音が動かずにモードが変わる事を旋法変換(モーダルインターチェ ンジ)という
  • 中心音が移動すると転調という

 

メリーさんのひつじ  にノンスケールトーンを使った例

 

  • モードとは何か
  • 長調の和音
  • 短調の和音
  • セカンダリードミナント
  • 準固有和音
  • V内でのモーダルインターチェンジ
  • 長調短調にない和音
  • M.I.C.コード一覧表

 実技練習用として 弾いて覚える理論要約
 を使って下さい 同じ順序になってます

 

モードとは何か
中心音(終止音)のある音組織をモードと呼び ます 次の2曲を例に代表的なモードの雰囲気を味わって下さい。Joy To The World   Happy Birthday

長調はイオニアンモードを基本に使う方法です 短調はエオリ アンモードを基本として 必要に応じて和声的短旋法、旋律的短旋法を使う方法です。

長調ではイオニアンモード以外を混ぜて使うとずいぶん雰囲気 が変わりますが 短調では単純な曲でも数種のモード(下の表にあるアンダーラインのついたモード) を混ぜて使うのが普通です 短調では旋法変換があたりまえに使われているわけです。

 


導音あり
vii
導音なし
bvii

長調系モード

 ii iii

vi

イオニアンモード

ミクソリディアンモード

bvi

ハーモニックメイ ジャーモード

エオリアンメイ ジャーモード

短調系モード

 ii biii

vi

メロディッ クマイナーモード

ドリアンモード

bvi

ハーモニッ クマイナーモード

エオリアンモード

フリジア系モード

 bii biii

vi

メロディックフリ ジアンモード

音響的短旋法

bvi

ハーモニックフリ ジアンモード

フリジアンモード

 bii iii

 

-
-


-

フリジアンメイ ジャーモード

ここでは 12(13) のモードを紹介しましたが 全部を覚えるのはたいへんですから 長調(イオニアンモード)と短調(エオ リアンモード、ハーモニックマイナーモード、メロディックマイナーモード)をまず押さえて下さい。その 他のモードは長調短調に部分的に現れる変型モードとして捉えましょう。


長調の和音
Cメイジャースケールトーンセブンスコー ド (ハ長調の七の和音)は 次の通り 七つあります

メイジャースケールトーンセブンスコード には スケールトーンを使います ( V の場合を除く)言い換えるとモードはイオニアンモード以外は入り込みません(例外 はありますがここでは混乱をさけるため説明しません 興味のある方は こちらへ

12の長調のスケールトーンコードを覚えてコードネーム をみてスケールトーンコードとノンスケールトーンコードを見分けられるようにならなければいけ ません 


短調の和音

短調では4つのモードの和音を使うのでどのモード起源の 和音なのか見極めなくてはいけません 最も単純な使い方は次のようなものです

  • サブドミナントマイナー (AbM7(6), Fm7(6), Dφ はエオリアンモードの和音なのでエオリアンモードを使います
  • ドミナント ( G7, Bdim ) はハーモニックマイナーモードの和音なのでハーモニックマイナーモードを使います
  • トニックマイナー ( Cm6, Aφ ) はメロディックマイナーモードかドリアンモード、トニックマイナー ( Cm7 ) はエオリアンモードかドリアンモードを使います


SDM (SD)
D [DM]
TM

 Melodic Minor Mode

    (IVx) (II) 

 (VII)  (V9)

 bIIIM+ ImM (VIφ) 

 Harmonic Minor Mode 

 bVIM IVm IIφ 

 VII°  Vb9

 bIIIM+ ImM

 Dorian Mode

    (IVx)  (II) 

 [bVIIM]  [Vm]

 [bIIIM] [Im]  (VIφ)

 Aeolian Mode

 bVIM IVm IIφ 

 [bVIIM]  [Vm]

 [bIIIM] [Im]


セカンダリードミナント
一時的転調として現れる固有音度調 と ナポリ調の V の和音を セカンダリードミナント(副属七の和音) と呼ぶ。このテキストでは Sec. V と略記する
固有音度調 : 音階 固有和音(スケールトーンコード)を主和音(トニックコード)とする調(キー)のこと。 (基調の V はプライマリードミナントと呼ぶ。長音階の vii 、短音階のii 、の上にできる和音は、完全五度の音を持たず 主和音になれないので、長調の vii 度調と、短調の ii 度調は固有音度調ではない)

ナポリ調 : ♭IIM:の調のこ と。

センタートーン c の場合を例に説明すると

★ 長音階の固有音度調(Dm: Em: F: G: Am:)の V(A7, B7, C7, D7, E7)が 長調の Sec.V です。

★ 自然短音階の固有音度調(E♭: Fm: Gm: A♭: B♭:)とナポリ調 (D♭:) の V (B♭7, C7, D7, E♭7, F7, Ab7 )が 短調の Sec.V です。( 属調はG:ハーモニックメイジャーも使われる →10-4 )

Sec. V → スケールトーンコード の進行をセンタートーン C でまとめると 次のとおり。(太字は基調の V-I )

C:の場合

Cm:の場合


| F7 | B♭|

| B7 | Em7 |

| B♭7 | E♭M7|

| E7 | Am7 |

| E♭7 | A♭M7|

| A7 | Dm7 |

| A♭7 | D♭M7|

| D7 | G7 |

| D7 | Gm7orG7|

| G7 | CM7 |

| G7 | Cm( ) |

| C7 | FM7 |

| C7 | Fm7 |

Sec.II−V

Sec. V は 部分調の SD 又は SDM を補って使うことができる。部分調が長調の場合は部分調のII, IV、短調の場合は部分調の♭VIM, IVm, IIφ を使える。もっとも強い進行は Sec.II−Vと Sec.IIφ−Vである。(→4-5)  太字は基調の II−Vと IIφ−V

 

C:の場合

Cm:の場合


| Cm7 F7 | B♭7 |

| F♯φ B7 | Em7 |

| Fm7 B♭7 | E♭M7|

| Bφ E7 | Am7 |

| B♭m7 E♭7 | A♭M7|

| Eφ A7 | Dm7 |

| E♭m7 A♭7 | D♭M7|

| Am7 D7 | G7 |

| Aφ D7 | Gm7orG7|

| Dm7 G7 | CM7 |

| Dφ G7 | Cm( )|

| Gm7 C7 | FM7 |

| Gφ C7 | Fm7 |



 


長調で借用する同主短調の Sec V

長調で 同主短調の固有音度調 (♭IIM: ♭IIIM: ♭VIM: ♭VIIM:) への一時的転調を使える。(逆はないので注意→3-5)Sec V 単独でも使えるが、M.I.C.Chord と Sec♭IIxの可能性を感じさせない Sec II−V がよりスムーズである。

IVm:とVm:への一時的転調も可能だが IV:V:がより近いキーとして 予想されるので印象の弱い デリケートな効果になる。


準固有和音
長調で使われる同主短調の和音を 準固有和音 という。最も基本的なM.I.C.である。( → 3-5-1) コードだけでなく モードを借用したと考えること。biii か bvi を含む和音から長調のトニックへという進行になる。


 ┌─ T ─┐

   ┌ S D ┐

┌ D(vi ) ┐

長調固有和音

III  I  VI

   IV  II

VII   V9






┌─ T M ─┐

┌─ S D M ─┐

┌ D(♭vi ) ┐

準固有和音(短調の和音)

♭IIIM Im( ) VIφ

♭VIM IVm( ) IIφ

VII°  V♭9

(フリジア系モードの和音)


      ♭IIM

    ♭IIx

長調固有和音のジュンカンコード に準固有和音を使う例

長調の変格終止に準固有和音を使う例 ( → 9-2-2)


V内でのモー ダルインターチェンジ
Vの和音は v , vii , iv の音を持ちながら 上部 b 型のモード以外 9種類の七音モ ードを取り込むことができる。(3-3-1) モードの主音 i は V の11thに あたる音で 必ずコードスケールに含まれる、残る三音は 9th,13th,と5thの変化となって現れる。

Vに使うコードスケールのまとめ

5, 13 と 9 の組み合わせで V に使えるコードスケールをG7を例にまとめておく。すでに説明したとおり コードトーン の v , vii , iv と モードの中心音 i を残して浮動音 ii , vi , iii が変化する。メイジャーキーは 黒丸2 、マイナーキーは 黒丸8が基本。イオニアンモードを そのまま v から並べたミクソリディアンスケール (臨時記号は付かない)が V に使う一番明るいスケールで右又は下へ移ると順に暗くなる。13”は V に使う一番暗いスケール。


長調短 調にない和音

メイジャー系モードのセブンスコード

メイジャー系モードには イオニアンモードの他にミクソリディアンモードと一時的変形として現れるハーモニックメイジャーモード、エオリアンメイジャーモードがある。短調に4つの マイナー系モードの和音が使われるのと同様に、長調の中でこの4つのモードの和音が使われる。

イオニアンモードにない和音を ファンクション別に書き出すと下の通り。いくつかのコードは マイナー系モードにもあるが コードスケールに iii を含む点が違う。


SDM
D DM

Harmonic Major Mode


VII°V(b9,13)

Aeolian Major Mode

IVmM IIφ bVIIx(#11)


Mixo-lydian Mode


bVIIM Vm


フリジア系モードのセブンスコード

長調 短調の和音進行に 同じ中心音のフリジア系モードの和音が 借用されて 独特な暗いムードをつくる。マイナー系モードとの違いは ♭iiだけなので短調で 違和感無く借用される。

( ) は vi を含むコード。いくつかのコードは マイナー系モードと同じだが コードスケールに ♭ii を含む点が 違う。


SD SDM
D DM

Melodic Phrygian Mode


bIIx±5 V±5

Harmonic Phrygian Mode


bIIx V±5

音響的短旋法

bIIM+

(bVIImM)

Phrygian Mode

bIIM Gφ

bVIIm


ドミナントマイナーコード

Rootが♭vii 又は3rdが♭vii の和音を、 ドミナントマイナーコード とよぶ。去勢されたドミナント とでも言うべき和音で、 働きは、SD 又は SDM に近いと感じられる。DM コードは ドミナントモーション に頼る機能和声(長調 短調)とは 全く異なる 旋法的な世界を作るコードだが、近年では 機能和声 と組み合わせて部分的に 旋法的色彩を持ち込む という使い方も珍しくない。100年前にフォーレ、ラベル 達 が使った中世の旋法(→3-4-2)が 現在では ポピュラー音楽に多用されている。

DMコードのコードトーン は iii と♭iii の 違いがコードに現れないのでマイナー系モードとメイジャー系モードに共通して Vm,♭VIIM,♭VIIxがある。しかも メイジャーキ-でも マイナーキーでも 音 短、又は フリジアの DM コード ♭VIIm,♭VIImM, Vφ を借用(M.I.C.)できるので 基調の長、短に係わらず 全ての DMコードを使えることになる。

モーダルイ ンターチェンジコードのファンクション
(注1) Inversion でない低音指定コードは構成音で分類できない。Rootにのせた倚和音と解釈され 低音で分類される。( → 2-8)C: での例 FonG は D, GonC はT, B7onC は T, 2− は一組で D 。

(注2) ♭vi を含む DMは 長調に借用される時は、SDMとして 機能する。

(注3) M.I.C.Chord は モード起源のコードなので 核音( i, iv, v )に ♯ ♭の付く事はない。この点で M.I.C.Chord とは言えないが、並行調のT ( VIm6, ♯IVφ)を Tに含める。同様に IIx を SD とみなす。( → 7-6)


M.I.C.コード一覧表(センタートーンC)
 
この表を見てコードの起源モードが何なのか コードスケールでいうとな にスケールかを調べて下さい。

コードの下にコードスケールを示してある。直前に使われ ている音を含んでいるスケールが自然。( )は −4°,+6° を使っているコード。・・ は 隣のFunction に属す。・ は 長調に借用されたとき SDM として機能する。基調が長調なら 全ての和音を借用できる。基調が短調ならiii を含む メイジャー系 モードは使えないので マイナー系 フリジア系からの借用だけが可能。


T TM
SD SDM
D DM
iii
biii
i
vi
bvi
iv
ii
bii
vii
bvii
v













Ionian Mode

Em7
Phr.


CM7
Ion.
Am7
Aeo.


FM7
Lyd.
Dm7
Dor.



Loc.


G7(9)
Mixo.

Harmonic Major Mode









Bdim
H.Maj.m2↑


G7(b9)
H.Maj.P5↓

Mixo-lydian Mode



C7
Mixo.



FM7
Ion.




BbM7
Lyd.
Gm7
Dor.

Aeolian Major mode






FmM7
M.Min.

Sup.Loc



・Bb7
Lyd.Dom.














Melodic Minor Mode



CmM7
M.Min.

Sup.Loc.


F7
Lyd.Dom.
Dm7
音短


Bφ(B7b5)
Alt.


G7(9)
M.Min.P5↓

Harmonic Minor Mode



CmM7
H.Min.






Bdim
H.Min.m2↑


G7(b9)
H.Min.P5↓

Dorian Mode


EbM7
Lyd.
Cm7
Dor.

Loc.


F7
Mixo.




BbM7
Ion.
Gm7
Aeo.

Aeolian Mode


EbM7
Ion.
Cm7
Aeo.


AbM7
Lyd.
Fm7
Dor.

Loc.



・Bb7
Mixo.














Melodic Phr. Mode











G7±5
W.Tone

Harmonic.Phr. Mode








(Db7)・
Lyd.Dom.



G7±5
Alt.

音響的短旋法










BbmM7
M.Min.

Sup.Loc.

Phrigian Mode





AbM7
Ion.



DbM7
Lyd.


・Bbm7
Dor.

Loc.

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______
______
______
______
______
______
______
______
______
______
______


T TM
SD SDM
D DM
iii
biii
i
vi
bvi
iv
ii
bii
vii
bvii
v













Ionian Mode

III
Phr.


I
Ion.
VI
Aeo.


IV
Lyd.
II
Dor.


VII
Loc.


V(9)
Mixo.

Harmonic Major Mode









VIIdim
H.Maj.m2↑


V(b9)
H.Maj.P5↓

Mixo-lydian Mode



Ix
Mixo.



IV
Ion.




bVIIM
Lyd.
Vm
Dor.

Aeolian Major mode






IVmM7
M.Min.
IIφ
Sup.Loc



・bVIIx
Lyd.Dom.














Melodic Minor Mode



ImM7
M.Min.
VIφ
Sup.Loc.


IVx
Lyd.Dom.
II
音短


VII(bVIIxb5)
Alt.


V(9)
M.Min.P5↓

Harmonic Minor Mode



ImM7
H.Min.






VIIdim
H.Min.m2↑


V(b9)
H.Min.P5↓

Dorian Mode


bIIIM
Lyd.
Im
Dor.
VIφ
Loc.


IVx
Mixo.




bVIIM
Ion.
Vm
Aeo.

Aeolian Mode


bIIIM
Ion.
Im
Aeo.


bVIM
Lyd.
IVm
Dor.
IIφ
Loc.



・bVIIx
Mixo.














Melodic Phr. Mode











V±5
W.Tone

Harmonic.Phr. Mode








(bIIx)・
Lyd.Dom.



V±5
Alt.

音響的短旋法










bVIImM7
M.Min.

Sup.Loc.

Phrigian Mode





bVIM
Ion.



bIIM
Lyd.


・bVIIm
Dor.

Loc.


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