2011年6月30日第1刷発行 定価(5800E+税)
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・・・・金久正氏の『奄美に生きる日本古代文化』は私の座右の書として現在まで手離せない書物であるが、その中でも「天降り女人」の章からは絶大の恩恵を受けた。私はこれによって、「巫」と「娼」のあいだのミッシング・リンクをはじめて知り得たのである。中山太郎には『日本巫女史』という大著があるが、巫娼の系譜を鮮烈的確に示すことにおいて、金久正氏の「天降り女人」の一篇にとうてい及ばない。・・・・・・
・・・・金久氏は奄美では天女を意味するアモレヲナグと仕事をしないで遊び歩くアモレヲナグの二種類があることを指摘し、また「ヅレ」という語が「神さかし」の巡礼から転落して、「男さかし」の遊女の意味に変わっている、と述べ、そこに「美の流離」または「流離の美」の哀切な姿を描いて、巫女と遊女の共通性を強調している。精密な言語的、民俗的考察から出発して文学的な作品にまで高められ、小説的な興趣さえ覚える見事な一篇である。・・・・・・