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★ 卵巣は女性の臓器のシンボル
女性の身体の両脇に一つずつある親指大ほどの楕円形の形をしているのが卵巣です。これは脳からのコントロールにより主に卵子の生産をしており、女性の健康のリズムをつくる大切な臓器です。子宮と共に妊娠・出産に関わる大切な器官であり、人間が母親の胎内にいるときから身体の中にセットされています。
ですが、「沈黙の臓器」と言われるほど気がつかないうちに病気が進行している可能性が多い臓器でもあります。身体の中でもこの臓器は、他の臓器と密着しておらず動きやすいため不安定なうえに、神経がないので異常があった場合、他の臓器にその異常を伝えることが難しい臓器なのです。そういった理由により、腫瘍になっていたとしても伝える手段がないので症状が表に出てくることが難しいのです。さらに、卵巣は二つあり、一つに異常があったとしてももう一つがカバーして生理も毎月あるため、生理的にも異常が現れにくくなります。このようなことから、知らない間に卵巣に腫瘍ができたり、気づいたときには手遅れに近い状態になっていることが多いのです。
子宮の両側に伸びた、卵管にぶら下がっている灰色で表面がでこぼこした臓器が卵巣です。生まれたときから原子卵胞という卵子の卵が数百万個あります。思春期になるとこの原子卵胞が成熟して、1ヶ月に1個ずつ卵子となって排出されていきます。これが「排卵」です。卵子は卵管をとおり子宮へ運ばれていくのです。数百万個ある原子卵胞のうち成熟して排卵するのは一生でおよそ400〜500個ほどと言われており、それ以外は退化して消えていきます。

卵巣からは「エストロゲン」という卵胞ホルモンと「プロゲステロン」という黄体ホルモンの二つの女性ホルモンが分泌されています。これは、女性らしい丸みを帯びた身体をつくったり、健康や精神状態を安定させる働きがあります。これは女性として生きていくのに重要で、月経・妊娠を推し進めたり、弾力のあるなめらかな肌、生殖器や乳房、体温調節中枢、骨、循環器、脂質代謝に向けての働き、精子を受け入れやすくする粘液の分泌を高める作用、膣内を酸性に保って雑菌を防ぐ作用など、主なものを挙げただけでもかなり大切な働きをしていることが分かります。このように女性の身体で大切な働きをしているにもかかわらず、日本では卵巣に関して検診を受けている人はごくわずかです。最近の厚生労働省の調査では、卵巣の患者が増加していることが分かっています。
なぜ今まで調査が進んでいなかったかというと、昔から女性器の病気は話をするのがタブーとされてきたからです。最近になってようやく調査も進みはじめ、1年間で約6,500人ほどの患者が罹患していると見られております。とくに若い女性の間で子宮や卵巣の病気が急増していることが社会的に問題視されています。卵巣がんで死亡する患者は10万人あたりで6人ぐらいであると言われています。日本ではこういった状況ですが、欧米、中でもとくにアメリカでは、18才頃から婦人科定期検診を受けるのが一般的です。女性の約8割が定期検診を受けており、基本的には年に1回、中には毎月受ける人もいます。
卵巣のような女性の臓器に関しては、外国との意識の差はかなり大きく感じられます。重要な位置を占めている卵巣は、症状が表に出ない分、人間として女性として意識していかなくてはならない臓器なのです。
★ 卵巣腫瘍は女性なら誰でも可能性がある病気!
卵巣にできる腫瘍は、約80%が良性であると言われています。しかし腫瘍が進行すればがんになります。がんになる確率は欧米人にくらべて半分以下ですが、その格差は今現在縮まりつつあります。婦人科系の病気では一番死亡率が高い病気ですが、それは初期症状がなく早期発見がしづらいため検査でも見つけにくいことが主な理由です。最近は婦人科検診が普及するようになり、今までより発見される時期も早まってきましたが、卵巣腫瘍の診断が下りたときにはすでに七割が進行しており、がんになっていると言われています。
では、卵巣腫瘍になりやすい体質というのはあるのでしょうか?
ある日、自分の体型を見て「肥満かな?」と感じたときは危ない時期でもあります。腫瘍が大きくなり、腫れてきたため肥満になっていることが考えられるからです。閉経が55才以上と遅かったり、初めての妊娠が35才以上であったり、月経異常がある、不妊・妊娠の経験がない人などは、なりやすい体質です。また、卵巣・子宮などの婦人科系の臓器は、遺伝性の人も多いので、家族・親類に卵巣腫瘍のいる人は注意が必要となります。反対になりにくい体質というのは、妊娠、分娩、授乳が多いなど排卵の回数が少ない人は、卵巣を休めることになるので腫瘍ができにくいという統計結果が出ています。
卵巣腫瘍の初期は、自覚症状がないのですが、腫瘍が大きくなると、わずかな症状が出ます。下腹部にしこりができるため、圧迫感があること、その上、膀胱がしこりによって圧迫され尿が近くなり頻尿になる、腹水がたまり排便排尿が次第に困難になり、足にむくみが出るなどの症状です。この時点で婦人科を受診する場合が多く、初めて症状を自覚していくのです。
診察を受ける患者の半数以上が、すでに転移をした状態での受診だと言われています。腫瘍自体に痛みはないので、その進行状態はうかがい知れません。
卵巣腫瘍が受診で発見されるとき、その多くは子宮がん検診、妊娠の診察時に偶然に見つかることもあるなど、他の受診のついでに発見されることが多くあります。このような状態では患者の心理にかなりつらい陰を落とすことにもなります。問題の多い病気でもあり、女性の患者側にとってはその後大変な心労を重ねることになります。
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あなたはだいじょうぶ?
@ 気が付いたらウエストが太くなってきた。
A お腹がちょっとふくらんできたみたいだ。
B お腹当たりに圧迫感がある。
C 体調はよいのに発熱しておう吐したことがある。
その後、体調の変化はない。
D 最近腰痛があって、痛みもひどくなってきた。
E お腹がよく痛くなるときがある。
F うつぶせに寝たときにしこりを感じることがある。
G 生理がないときがある。
H 不正出血したことがある。
I トイレに行く回数が増えた。
J 最近、便秘気味だ。 |
上記のチェック表は、なんでもないように感じますが、このような普段の生活の中にも、病状の変化が潜んでいます。もしチェック項目が多少多いようでしたら、婦人科検診をお勧めします。
次は生理時に関するチェック項目です。
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生理の時、あなたはどのような状態?
@ レバー状の塊が出たりすることがある。
A 生理の出血がひどく貧血が続いた。
B 夜眠れないことがある。
C 十代前半から生理痛が重かったようである。
D 生理中、痛み止めが効かないほどの痛みがあり、
毎日寝込んでしまう。 |
他にも生理時にいろいろな異常があると思いますが、主なチェック項目はこの五つになります。つらいその生理が過ぎてしまえば、すぐに忘れてしまいますが、女性器の異常を示す重要なシグナルなのです。早めの受診が必要となるでしょう。
★ ちょっと不安な検査は? その後の治療は?
卵巣はお腹の中にありますから、直接的な検査は困難で、手術以外では確定的な診断を下すことはできません。婦人科の診察においては現在では超音波検査、MR検査が主に信頼ができる検査となっています。
これは、子宮の腫瘍、卵巣腫瘍、腫瘍の内部構造、腫瘍が転移しているかどうかの様子など、あくまでも間接的な推定診断ということになります。ですが、ときには血液検査だけでも腫瘍があるかどうか分かる場合もあり、その症状の出方は人さまざまです。
検査の結果から、それぞれ治療を行っていくわけですが、初期治療の場合は手術で摘出します。女性にとって、「卵巣を摘出すると女性ホルモンが分泌されなくなるのでは?」という不安がつきまといますが、もう片方の卵巣を残していれば、女性ホルモンは分泌されるので安心です。また、もしも両方の卵巣をとった場合でも「ホルモン療法」を行うことによって、症状を軽くすることができます。
ホルモン療法とは、必要なホルモンを必要なだけ使用する治療法で、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲストロン(黄体ホルモン)の二つを血液検査などの結果を見ながらその人の状態に合わせて薬剤を調整します。
その他の治療法としては、腫瘍の進行状況によって、手術後、抗がん剤、放射線治療を組み合わせながらの治療を行い進行を食い止めていきます。
普段の生活を見つめながらも、生理時の異常などきめ細やかなチェックを怠りなくして、自分の身体を大切にしましょう。
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