出来るだけキズの付きにくい洗車方法

 ポリマーコーティングを施してあろうとなかろうと、またワックスであってもなくても、
「洗車はボディメンテナンスの基本中の基本である」
と私は思っています。
 最近は書店にお車のお手入れに関するマニュアル本をよく見かけるようになりましたが、 皆さんはどのようにされているでしょうか。
 ここでは、専門業者である、私の「洗車方法」をご紹介したいと思います。
    

道具・材料

      ・ 数回洗濯して慣らしが済んだ「清潔なタオル」
      ・ タイヤやホイールハウス、等の足回りを洗浄するためのブラシ、洗剤少々

 タオルはごく普通のモノで十分です。しかし、普通車のセダンクラスを洗車する場合で、タオルを10本以上は用意したいです。 これは、作業中誤って地面に落としても躊躇なく取り替えることが出来るからです。
 そして、わずか数本の高価な専用クロスやセーム皮に頼って洗ったり、絞って拭き取ったりを 繰り返しているよりも、実践上、はるかにスピーディで、なおかつ結局は手間を減らすことにもなり、 キズを増やす危険も少ないです。もっとも、洗車用の専用クロス、拭き取り用の専用クロスを合わせて 10本以上揃えられれば、ベストですが・・・。
 また、使用後のタオルは必ず洗濯機で洗い、清潔な場所に仕舞っておいてほしいです。 よく、トランクの中や運転席の側に置いていらっしゃるのを見かけますが、タオルに埃やゴミが付き、 次回に洗車する時のキズの原因になりますので、あまり感心しません。

洗車前の注意点

 洗車についての要点として、「塗装は樹脂で出来ている」ということを忘れてはいけません。
 耐熱温度は種類にも因りますが、高くても精々
180℃ です。
 日差しの強い季節、時間帯はお車のボディがかなり熱くなります。当然、塗装はデリケートな状態になりますから、 水玉のシミが出来たり、洗車によるキズが増え易くなるの当たり前のことです。
 洗車は、日差しの弱い冬場を除いて、出来るだけ「朝方」か「夕方」に、そして「日なた」より「日陰」で、 さらに、ホコリがすぐに集まらないように風裏で行いましょう。

実践

 さて、皆さんはお車のどの部分から洗いますか?
 屋根からですか?
 ボンネットからですか?

 当店では先ず、タイヤ、ホイールハウスの足回りから洗います。
 その理由として、ボディを洗った後、足回りを洗っているうちにボディに付いた水滴が乾いてシミになる可能性がありますし、 せっかく洗ったのだから、次のホコリが集まらないうちに出来るだけ手早く拭き取って仕上げたいからです。
 足回りの洗浄が済んだら、次にボディとなります。
 先ず、車体全体に水をたっぷり掛け、汚れを落とし易い状態にし、塗装面の温度が高い場合は、十分に水を掛けて温度を下げてやります。 それから、車体の高い部分から順に洗い流していきます。


洗車中の注意点
  • 必ずタオルの動きに沿って、水を掛けながら洗い流すこと。
  • ホースがボディに接しないように注意すること。
    (地面を這っているホースは常に砂や泥が付いていて、ボディに触れると思わぬ深いキズが付くことがあります)
  • 塗装面だけでなく、ガラス面や前後のライトレンズ、ナンバープレートに至るまで洗い流すこと。
    (後で、拭き取りタオルが汚れるような洗浄では駄目です)
  • 洗車が終了するまで、ボディ全体がしっかり水に濡れて常温を保っていることがポイントです。
    (先に洗った部分が乾き始めるようでしたら、再度水をしっかりと掛けて下さい)

実践2・拭き取り

 第一に自然乾燥させないこと。水分中の不純物の濃度の上昇、加熱によりシミ、ウォータースポットの原因になります。
 そして、拭き取りは多目のタオルで一発でスピーディに済ませましょう。 「絞って拭き取る」を繰り返すことは時間のロスだけではなく、自然に二度手間による手数も増え、 また次のホコリを集まらせる時間を与え、「その状態」を拭き取ることになります。


シャンプーについて

 洗車と言えば「シャンプー」を良く使われる方も多いと思います。個々の感覚やお車への思い入れによるものですが、 基本的には出来るだけ使わない方がいいのです。
 その理由として、シャンプー作業が増えることにより手数が増えること、 つまりボディに触れる手数が増すほどキズを付ける可能性がそれだけ増えることになる訳です。
 また、シャンプーには増粘剤(洗剤独特のヌメリ感と泡立ちの良さを出す)や発泡剤(泡を出す)が含まれており (それらは汚れを落とす能力とは関係がない)、水で流しても塗装面に残留しやすく、 やがて酸化して汚れが再付着するというプロセスをたどって、塗装劣化の原因となります。
 なぜ、そのようなものが使われているのか? それは一般の方の感覚として「泡の立たない洗剤はいくら良いものでも、 誰も使わない(買わない)」からだ。だから、メーカーとしては良くないと解っていても 「売る」ために使用しなければならない。
 その他、汚れを落とすために必要な界面活性剤も、うるさく言えば塗装面に刺激を与えるものであり、 当然残留させることも良くないことです。
 しかし、お車の状態によっては、やはりシャンプーを使いたい場合があります。その場合には、先に洗車を行い、 水で流せる汚れを流し、ボディを十分に冷却してから使用します。後は十分過ぎるほどにしっかりとシャンプーを流しましょう。 そして、これは他の洗剤(虫取りクリーナー等)にも言えることです。

鉄粉除去用ネンドについて

 書店で見かけるお車のお手入れに関するマニュアル本で、鉄粉除去用ネンドの使用方法を説明しているものもあります。 そして、カーショップにも何種類かのネンドが販売されています。
 しかし、「一般の方は使用しない方がいい」というのが私の意見です。その理由は、
  1. 一般に手に入りやすい、カーショップで売られているものは、品質的に問題があるものが多く、性能および使用感も悪いこと。
  2. ネンドはその材質、使用目的、使用方法により、使えば少なからずキズが付くものです。ましてや一般の方が、 そして、その多くが露天で多くのホコリを巻き込みながら作業をすることは、より多く深いキズを付ける要因になります。
  3. 2の理由からして、ネンドは、それを使用した後のキズを消すための機材や技術があって初めて利用価値のある道具である。
 やはりこのレベルの技術になると、一般の方の手に負える領域ではないでしょう。お車を大切にされる方は、 いろいろなポリマー屋さんにご相談されることをお奨めします。

コイン洗車場について

 高圧洗浄機が並んだコイン洗車場は、今では何処ででも見られるようになりました。
 これは一見、洗車が苦手な人でも気軽に扱えそうですが、
  1. 大抵は、ある程度以上の交通量がある道路に面した場所にあるため、元々がかなりホコリっぽい立地場所であります。
    また、完全な露天であり、洗車やその他の手入れを行うには日当たりが良過ぎます。
  2. 高圧洗浄機は、砂や泥はとてもよく落とせますが、塗装面に密着したホコリレベルの洗浄はあまり得意でありません。
  3. 高圧洗浄機は、その高い圧力により、地面の砂や泥を巻き上げやすく、それなりに注意して洗車しないと、 お車が再び砂や泥にまみれることになり、取り扱いには要領が必要です。
 等々、それなりに難しい点があるものです。それでも、中にはここを利用しなければ洗車出来ないという方も いらっしゃることでしょう。十分な注意と配慮、要領を心掛けて行ってください。

最後に・・・水について

 よく「水道水には、塩素、カルシウム、カルキなどが含まれており、それが塗装に害を及ぼしている」と言われています。 しかし、現実にお車を洗うのは水道水しかない訳で、そうかと言って、汚れたままの長期放置やシャンプーの方が、 何十倍と塗装にダメージを与えている可能性があると、私は思います。
 ならば、それなりに心得た洗車方法を心掛けていれば、事実上水道水による塗装への悪影響はありません。


--- 洗車は良いお店探しのバロメーター ---

 インターネットでいろいろなお店のHPをご覧になっている皆さんは、例外なく「良いお店探し」を されていることだろうと思います。
 しかし、HPやメールのやり取りだけでよいのでしょうか? まずは、電話で納得のいくまで質問し、 直にお店の声を聞き、足が伸ばせる範囲なら出来るだけ来店してみてください。
 そして、洗車作業だけでもよく観察してみることです。先にもありましたが、 洗車はボディメンテナンスの基本であり、皆さんのお車を大切に扱うか否か、そしてそれは、 それぞれのお店のお車への真摯な考え、技術力がおおよそ正比例するバロメーターに十分成り得るモノだと思います。 (私が、これまで見てきた経験上)



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