4.眼底検査でわかる緑内障




近年、多治見スタディ(岐阜県多治見市にて行われた緑内障疫学調査)にて40才以上の5.78%に緑内障があることがわかりました。これは約400万人、40才以上の17人に一人が緑内障という結果になります。これは単一の疾患群としてはかなり多い有病率でありますが、実際に医療機関にかかっている数はこれよりも少なく、多くの方が緑内障がありながら放置されているため、早期発見が遅れて視野がかなり障害されてしまうことがあります。しかし残念ながら、緑内障の初期状態を一般の方が気がつく自覚症状はほとんどなく、早期発見のためには定期的な診察しかありません。


無論、緑内障をちゃんと診断するためには、眼底検査のほかに、眼圧測定、隅角検査、視野検査などの検査をしなければなりませんが、日本人には眼圧が正常なのに緑内障状態になる正常眼圧緑内障というものが多いため、眼圧測定は緑内障を漏らさず見つける指標にはなりません、眼底検査によって、視神経付近の所見を見ることにより、ほとんどの緑内障を発見することができます。ここでは眼底検査から見た緑内障の診断について説明します。


上の2つの写真を見比べてみましょう。左の写真が正常右の写真が緑内障です。違いがわかりますか?視神経の中の白くなった部分、これを視神経乳頭陥凹といいます。視神経の直径とこの陥凹の比(C/D比といいます)が0.3以下ならば正常、0.6以上は緑内障を疑います。右の写真のC/D比は0.9あります。


このほかに参考になる所見は下の左の写真の様な視神経束欠損や右の写真のような乳頭出血などがあります。上の写真の2症例はいずれも自覚症状がありませんでした。
40才以上になりましたら定期的な眼底の検診を受けることをお勧めします。


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