樹枝状結晶

樹枝状結晶

羊歯状十二花

広幅十二花

羊歯状十二花
広幅十二花
板状結晶 正規六花 角板、扇状、枝付角板、広幅六花、
星状、樹枝、羊歯状、角板付樹枝、樹枝付角板
三花四花系 三花、四花
十二花 羊歯状十二花、広幅十二花
対称のくずれたもの    
立体六花、立体放射樹枝    
交差角板             
無定形 氷片状    
雲粒付無定形    
針状結晶 単なる針 基本の針、基本の針の束
針組合せ   
角柱状結晶 単なる角柱 角錐、砲弾状、角柱
角柱組合せ 砲弾組み合せ、角柱組合せ
角柱・板状組合せ つづみ状 角柱と角板、角柱と樹枝、複合つづみ
平板付砲弾 砲弾と角板、砲弾と樹枝
不規則集合(粉雪)   
雲粒付結晶 各種雲粒付結晶、厚板   
あられ状雪 六花状、塊状
あられ 六花状、塊状、角錐状

*中谷の雪の一般分類表より(1)

扇状

角板

星状

参考書籍・文献

(1) 雪と氷の辞典 (社)日本雪氷学会[監修] 朝倉書店
(2) 小林貞作 著 「雪の結晶 冬のエフェメラル」 北海道大学図書刊行会
(3) 前野紀一 著 「氷の科学」 北海道大学図書刊行会
(4) 中谷宇吉郎 著 「雪」 岩波書店
(5) Kikuchi, K., 1987. The Discovery of Eighteen-Branched Snow Crystals. J. Meteor. Soc. Japan, 65, 309-311.



雪の結晶アニメーション

はじめに

 紅葉が終わり冬の季節風が強くなると、いよいよ雪が降りはじめます。気温は下がり、日中でも氷点下の真冬日となるため、雪は解けずに「根雪」となって残ります。普段、私達は降ってくる雪を、粉雪・ぼたん雪・みぞれ、等のように呼び分けますが、顕微鏡やルーペでそっと拡大すると、例えどんな雪でも、そこには雪の結晶の姿を認めることができます。

 「二つとして同じ形のものは無い」と言われている雪の結晶ですが、一度降り
始め、空から無数の雪がしんしんと降り続いてくるのを見ていると、中には全く
同じ形の結晶があってもいいように思えてきます。実際に顕微鏡で観察してみ
ると、その一つ一つが微妙に異なっており、新しい結晶を見るたびに新鮮な驚
きがあります。そして、その精細なガラス細工のような雪の結晶は、辺り一面、
無数に降り続いていて限りがありません。

 このホームページでは、北海道で筆者自身が撮影した雪の結晶や、一度レプ
リカを作製してからそれを撮影した写真を掲載しています。その不思議な姿の
一部をご紹介したいと思います。




雪の結晶の分類について

 雪の結晶の形は、降る時の気象条件、主に気温と水蒸気の多い少ないによって変化することが知られています。それを明らかにした中谷宇吉郎博士は、「雪は天から送られた手紙である」と述べ、結晶の形や模様には、その時の上層から地表までの大気の状態が刻まれていることを示しました。

 また、中谷博士等は、北海道の札幌市や十勝岳で観測を重ねて三千枚余りの天然の雪の写真を撮影し、雪の結晶を、板状結晶、交差角板、無定形、針状結晶、角柱状結晶、角柱・板状組合せ、雲粒付結晶、の7種類に大きく分類する「雪の一般分類表」を作成しています(下図)。

 その後の研究により、雪の結晶はさらに細かく分類されることになっているようですが、中谷博士等の研究が主に北海道で行なわれていたことから、ここでは、この分類に沿って雪の結晶を呼ぶことにしたいと思います。

北海道で見られる雪の結晶

 上の表では、中谷博士の一般分類表に出てくる雪について、その名称だけを並べました。したがって、それぞれの雪がどんな形のものかは少し分かりづらいかと思いますが、中谷博士の著書では、雪の形状図とともにそれぞれの特徴が説明されていますので、そちらを見ると一目瞭然かと思います。

 しかし、その名称だけを見ても、北海道では実に様々な形の雪の結晶が降っていることがわかると思います。また、普段私達がイメージを抱く、形の整った六花状の雪の結晶(板状結晶の中の正規六花)は、広大な地域に無数に降っている雪の中の一部にすぎないことも理解できると思います。

雪の降るしくみと雪の結晶

 北海道でも、雪が降る時は、日本海側では季節風型による降雪により、太平洋側では低気圧型の降雪によってその大半がもたらされます。このように、雪の降る仕組みが異なることにより、観察される雪の結晶にも地域によって違いが見られる場合があります。

 例えば、日本海側の地域では、季節風とともに筋状の雪雲が列になって押し寄せ、雪を降らせますが、そこでは沢山の雲粒が凍りついた「あばた」状の雪(雲粒付結晶)や、あられ状の雪の場合が多いようです。一方、北海道中央部の大雪山の付近では、一度雪を降らせた季節風が山脈にぶつかり、そこで新たに生じた雪雲から雪が降ってくるため、結晶面が輝いて見えるきれいな雪が多く見られるということです(2)

 これに対して、冬の太平洋側では連日晴天が続きます。季節風に伴う雪雲
は、大雪山の付近を通り過ぎる間に、その殆どが消えて無くなってしまうから
ですが、その代わり、太平洋側では時折やってくる低気圧によりまとまった雪
がもたらされることになります。そして、低気圧の北側に広がっている温暖前
線に伴う雲からは、無垢の六角板や角柱を中心とする形の雪の結晶が降っ
てくるのが、その特徴であるようです
(1)

 つまり、寒冷な季節風と豊富な湿り気の中から降ってくる雪と、比較的温暖
な空気の中でゆっくりと成長している雲から降ってくる雪では、観察される雪
の結晶の形に違いがあるということになります。

 一方、雪が降るたびに車を走らせ、雪の結晶の観察を繰り返していると、実
に様々な降雪に遭遇します。空を覆っている薄暗い雪雲から、針状結晶が突
然バラバラと落ちてくることもあれば、雲ひとつ無い空の下で、大きな六花が
ひらひらと舞い降りてくる不思議な光景に出会うこともあります。また、低気圧
の猛吹雪の中で大きく成長した樹枝状結晶を見付けることもあり、よく壊れな
いで降ってきたなあと感心したりもします。

 上空の気象条件を反映して降ってくる雪の結晶ですが、そのような気象現
象のドラマを目の当たりにすると、空の上には色々な(気温と水蒸気量の)空
気の塊があり、それが常に変化していく中で雪の結晶がつくられているという
ことを正に実感させられます。

 したがって、雪の結晶を観察しようとする時には、きれいな結晶が多く見ら
れる大雪山周辺の地域へ出かけるのが良いと思うのが普通ですが、北海道
に降る雪をまんべんなく観察するためには、様々な地域・天候においてくり返し
観察を行なうことが大切であると思われます。 
つづみ状
砲弾集合

羊歯状

雪の結晶の形について

 一般に、美しいと言われる形の雪の結晶は、板状結晶の中でも六方対象形の整った「正規六花」と呼ばれるもので、その美しい六花状の姿を見ると、自然の造形とは思えないような神秘性を感じることができます。

 雪の結晶の形は、基本的には二枚の底面と、六枚の柱面でつくられる六角柱であり、柱面の成長が速ければ板状に成長して角板や羊歯状、または樹枝状などの平らな結晶となり、底面の成長が速い時には、針状や角柱状などの細長い結晶になるそうです。そして、柱面の成長が速いか、それとも底面の成長が速いか(平たくなるか細長くなるか)、ということは、雪の結晶が成長する時の温度によって変わるということです(3)

 なぜ温度により結晶の成長方向が変わるのかという理由については(これを晶癖変化というそうですが)、少し難しくて荷が重いため触れないことにしますが、その温度は、0℃>板状>-4℃>柱状>-10℃>板状>-22℃>柱状、であり、温度が下がるにつれて3回変化するそうです。

 そして、雪の結晶は、はるか上空から地上に落下してくる間に、晶癖変化の温度をまたいで成長してきた時には、つづみ状や平板付き砲弾のような、角柱と平板が組み合わさった形に成長するということになります。このような晶癖の変化による結晶の形の違いは、雪の結晶ばかりでなく、物に付着して成長した結晶である「霜」においても見ることができます。霜の結晶については、後のページで色々な形の霜をご紹介していますので、そちらをご覧下さい。
大きく成長した角板

砲弾組合せ

雲粒付結晶

 また、一見しただけでは、一枚の平板に見える結晶でも、中心付近をよく見ると小さなもうひとつの六角板が重なって付いるのに気が付くことがあります。このような結晶では、六角柱の上下の底面がせりだした状態で成長しているために、二重板の構造となっているということです。したがって、側面から見ると、ちょうど片仮名の「エ」の字のような構造になっているはずです。

 一方、雪の結晶を観察していると、中心に小さな円形模様を持つものがかなりあることに気が付きます。この様な結晶も二重板の構造になることが知られていますが、この場合は、小さな円柱により二重板が連結しているため、上面から見ると中心に小さな円形模様が見えることになるようです。このような雪の結晶の立体構造については、ギャラリーでご紹介しています。

大きく成長した角板

つづみ状

二枚板構造の扇状結晶

二重板構造の扇状結晶

羊歯状の雪結晶
星状の雪結晶
扇状の雪結晶
角板状の雪結晶
雲粒付の雪結晶

Note of the Snow Crystal Observation

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 同様に、十二花の結晶も二重板の構造ですが、こちらは二つの結晶が接合して成長したものであり、結晶学的には双晶と呼ばれるものなんだそうです。

 中谷博士は、その著書の中で、「稀にはこの基本結晶が三枚重なることもあり、その時は十八花の結晶となる」、と述べています
(4)実際に、カナダの北極圏では十八花の結晶が観測されたということが報告されていますので(5)、北海道でも、もしかしたらどこかに降っているのかもしれません。

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中心に小さな円形模様がある雪の結晶と、その側面

中心に円形模様のある雪結晶
中心に円形模様のある雪結晶の側面観察像