スープの会・地域生活支援ホーム
 
 


〜小さな「家」を街中に〜

スープの会・地域生活支援ホーム

(小規模・多機能グループホーム)




なぜ今、「地域生活支援ホーム」なの?

 スープの会では。10年に及ぶ「訪問活動」としての取り組みを重ねてきました。その特徴の一つは、「『路上』から『地域』へ」と繋ぐ自立支援・地域生活支援でした。具体的なプログラムとしては、


(1)路上訪問

・・・毎週土曜の夜、新宿近辺の路上生活者の方々を「訪問」して歩きます。パンや味噌汁、「フリーダイヤル電話相談」の案内ビラなどを配りながら、一人ひとりを訪ね歩いて声を掛けます。訪問を通して、路上に人と人の出会いを育むことからはじめます。

(2)「フリーダイヤル電話相談」

・・・路上訪問での出会いをきっかけとして、医療や仕事探し、社会福祉諸制度の利用について相談が来ます。場合によっては病院やハローワーク、福祉事務所等への付き添いもおこない、具体的な社会保障制度・政策の導入をはかります。

(3)地域生活支援事業(地域生活支援ホーム・おもかげ舎、あかとき舎、やまぶき舎)

・ ・・生活保護を利用するなどして「地域」のなかに入っていこうとする方々の生活を支援します。宿泊所・グループホームを運営し、また「宿泊所等相談援助事業」なども活用してアパート生活等に移行される方々の生活をサポートします。地域のボランティアグループやデイサービスなどの社会資源とのネットワークづくりの足場となります。


路上での訪問活動を通した個別の関係づくりを大きな土台として、「地域社会」との接点を模索し、地域の中での「居場所づくり」にかかわってきました。

ここでは、この(3)地域生活支援事業の拠点「スープの会・地域生活支援ホーム」の運営について紹介します。




 行政制度上「住所不定者」とされる方には、社会保障諸制度上の様々な制約が課されます。大前提として、多くの方々は、路上生活を抜け出すための糸口さえも見つけられない現状があります。しかし、そうした壁を乗り越えて、どうにか保護施設や簡易宿泊所(ドヤ)、アパートでの居宅保護などに移った方々の多くが、再び路上へ戻ってきてしまう現実を目の当たりにしてきました。

 「ホームレス」という不特定多数として括られていた人々が、「地域」との様々な関係を取り戻そうとするとき、具体的な生活の課題があらわれて来ます。飯場などを転々としながらの「日雇い生活」を長く続けながら年齢を重ねてきた方々のなかには、金銭管理や炊事などの日常生活技能を失ってしまっている方々もいます。「怠け者」とレッテルを貼られつつ、アルコールやギャンブル依存症などの、目には見えない「心の病」をもつ方々もいます。「銭湯が何処なのか、誰に聞いたらいいのか分からなかった」といって一ヶ月も風呂に入らないでいたおばあちゃんもいました。見知らぬ土地で、一人暮らしを始めなければならない「孤独感」は、どんなものなのでしょうか。

 そうした方々の多くが、施設やドヤ、アパートでの生活を支えきれず、再び路上に戻ってきました。

例え、行政制度上の「社会保障」の網をたぐり寄せたとしても、生活を結び支えるための「地域」を見つけられるとは限りません。新宿を舞台としての、私たちの関わりのなかでみてきたおっちゃんやおばちゃんの姿は、ドヤや保護施設、アパートといった「箱物」を流れながら、その地域に暮らす人々との接点を見いだせずに孤立し、生活を崩して行く姿でした。

 また、そうして地域生活のなかで孤立してゆく方々は、路上生活経験者の方に限りません。「地域住民」としてながく新宿のまちで暮らしてきた方が、長期入院などで居所を失う。介護保険や支援費制度などのタテ割制度の枠からもこぼれて、不安定な生活にいたる方々もいます。「独居」と呼ばれる単身世帯の高齢者や障害者の方々が多い新宿では、路上に限らない、潜在的な「ホームレス状態」にある方々の広がりを実感します。


 ここで、あえて「地域生活」という言葉を使っているのは、その地域に暮らす多様な人々の繋がりによって生活を支えてゆける、そうした生活をイメージしているからです。「地域生活支援」とは、そうした人々のネットワークを紡いでいくことの支援をおこなう、という思いを込めています。





「地域生活支援ホーム」の機能

1 「居所」を提供することにより、稼働年齢層における「要保護者」の生活保護申請の足場とする。

 「住所不定者」については、生活保護の申請についても、大きな制約が課されてきました。当然ですが、例え稼働年齢層の方であっても、その全ての方々が仕事にありつける訳ではありません。真剣に仕事を探して、それでも仕事の見つからない方々も、この間は、「住所不定」であるということで生活保護の対象者からはずされる結果となってきました。

 しかし実は、居所さえ定まれば、保護の要件を満たしている場合保護の申請を受けざるを得ない、という見解を東京都も示しています。これについては、都内での民間団体の実績もあります。

 「スープの会」の訪問活動や電話相談で出会う、潜在的な「要保護者」の方々に、保護申請のための「住所」を提供する。現行での制度運用の矛盾を埋める架け橋としての役割をもちます。

 ただし、この点については、今のところ新宿区の情勢として、実現は厳しいようです。引き続き、長期的な課題として話し合いを続けていくことになります。

2 「生活技能訓練」の場としての、通過型グループホーム

 飯場や路上で年齢を重ねてきた方々の中には、炊事や洗濯、生活費の金銭管理など、基本的な生活技能を失いつつある方もいます。「地域生活支援ホーム」では、規則や規律にしばられた巨大な「施設」ではなく、地域のなかの小規模なグループホームとしての利点を生かして身の回りの基本的な日常生活技能や、近隣との対人関係能力の実践をかさねながら、半年から一年の、小集団での生活を送ります。数年単位の長期の居住ではなく、アパートなどでの個別の生活を準備するための通過型のグループホームとなります。


3 地域で生活したい、という「実感」を見つける場

 しかし「地域社会」での生活の鍵となるのは、日常生活技能の有無だけではありません。「地域の中で生活したい」という「実感」があって初めて、それを支える技能としての日常生活技能も意味をもちます。もちろん、その「実感」とは個々に様々に異なるものでしょうが、ここでも、小規模なグループホームとしてのありようは、なにがしかの意味をもつと思われます。

 例えば、巨大な収容型の福祉施設であれば、外部の者からすれば、そのなかは伺い知れない世界であり、入所した方々にとっても、管理され指導される者としての心の壁を自らの内につくることともなります。ごくありふれた、小さな家・アパートである、という外見的な特徴だけでも、地域に生活する様々な人々との交流を促すきっかけとなり得ます。

 例えば、「宿泊所等相談援助事業」を活用して、「風まち喫茶」などのふれあいサロンを運営しています。様々な人との「出会いの場づくり」は、地域社会との「絆」づくりにおいて、なくてはならない要素だと考えます。


4 「地域生活支援ホーム」を離れて、アパートなどでの単身生活に入った方々のサポート(デイサービス)・地域住民の生活相談に関わる、相談室としての機能

 専任のスタッフや、登録するボランティアのソーシャルワーカーによる生活相談を、随時行います。上記「風まち喫茶」を活用してアパートなどでの単身生活に移った方々の生活サポートや、広く地域の方々の生活に関わるデイサービスを展開します。食事会や、日常生活でぶつかる様々な課題についての勉強会の企画などを通して、「地域社会」における人との繋がりを紡いでいくことを目指します。


「地域生活支援ホーム」の実際の運用について

1 運営母体

 「スープの会」を運営母体としたうえで、地域生活支援事業として「スープの会・地域生活支援ホーム」を設置します。


2 運営費について

 運営費は、入居者の方からの宿泊費や「高齢徘徊者等緊急一時保護事業」の業務委託費によりまかないます。宿泊費としては、

1 緊急一時宿泊部門(個室);一人あたり月額6万9千2百円を住宅扶助分から、また共益費として月額9千円(冬季加算が加わる期間は月額1万5百円)を生活扶助費から。

2 借り上げアパート部門;宿泊費・月額5万3千7百円、共益費は実費分自己負担。



3 「小規模・多機能型」各施設機能分担

 「スープの会・地域生活支援ホーム」は、大規模・選別収容型に相対するモデルの一つとして、小規模・多機能型のグループホームとして運営しています。従来の高齢者・障害者施策にもとづく介護保険・支援費制度等のたて割り施策を「地域生活」場面で再編してゆく受け皿づくりも意図しています。


 具体的には、以下のような運営体制となります。

 地域生活支援ホーム・やまぶき舎(新宿区赤城下町)

 ・・・・定員8名(+緊急一時保護枠1名)第二種社会福祉事業宿泊所として開設しています。住宅街の一軒家を活用して、24時間スタッフが常駐します。「スープの会・地域生活支援ホーム」の拠点ホームとして、様々な在宅サービスの導入をサポートします。生活状況に応じて、下記の関連ホームや居宅への転宅、他機関・他施策にもとづく施設への移行をはかります。

 

 地域生活支援ホーム・おもかげ舎 あかとき舎 上落合荘 北新宿荘

 ・・・・巡回訪問型のグループホームとして、スタッフが定期訪問によりサポートします。小規模グループホームとして、原則上記緊急一時宿泊部門として運用します。ただし、長期滞在を見越しての利用やアパート等への転居を前提とした生活訓練の場としての短期利用など、生活実体にあわせて柔軟に運用します。

おもかげ舎(新宿区高田馬場) 定員3名

あかとき舎(新宿区喜久井町) 定員6名

上落合荘(新宿区上落合) 定員4名

北新宿荘(新宿区北新宿) 定員4名


 借り上げアパート部門(新宿区西新宿、新宿区上落合、新宿区上落合、新宿区上落合、新宿区北新宿、新宿区上落合)

 ・・・・完全な一般アパートを「スープの会・地域生活支援ホーム」が仲介して借り上げ、ひとり暮らし体験の場として運用します。スタッフの巡回訪問により、日常生活をサポートします。

 

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