Official Album

 彼らのオフィシャル盤は日本盤、UK盤、アメリカ盤、ドイツ盤等、シングルに於いては7インチや12インチ、さらに各国盤を入れると気が狂うほど出回っているので、いくらお金があっても足りません(もちろんコレはクラフトワークに限ったことではないが)。アナログだととても話が長くなる上、自分が所持しているアイテムが少ないため次の機会にでも紹介していくとして、今回はCDで聞けるクラフトワークの音源、音盤を紹介していきたいと思います。
  オフィシャルCD音源に関しては、先日の来日コンサートの折りに「来日記念盤」として長らく廃盤になっていた『AUTOBAHN』『RADIOACTIVITY』『ELECTRIC CAFE』がようやく再発された程度で、それまでは輸入盤に頼る以外になかったのである。又、初期の3枚に至っては今だ正式にCD化の許可が下りず、忘れられた存在になっているのも確か。そんなわけで多少穴が開いていたりしますが、そこらへんはブートCDや輸入盤などを織り交ぜながら紹介していきますので、どうぞよろしく。



・ORGANIZATION / TONE FLOAT
クラフトワークの母体である前身バンド。オーガニザイツォーン(組織という意味)。勿論オリジナルは持っておらず、以前リリースされたブートCDです。ラルフ自身もコメントしているように「クラフトワークとは全くの別のも」ということ。オリジナルは英バーティゴからのリリースで現在市場では5〜6万はします。内容は当時のサイケデリックムーブメントに真っ向から影響を受けたドイツロックで、テクノポップとして見いだせる部分は皆無。ジャケもそのまんまって感じだし。内容を確認したい人は、ブートCDを根気よく探すか、アンオフィシャルのアナログ(早い話がブートだ)を見つけましょう。ただ気をつけなければいけないのは、この後者のアナログはテクノをちょっとかじったお店だと、間違えてとても高額な値段が付いている場合があるので、気をつけましょう。ま、探して聞くようなものでもないんだけどね。


・KRAFTWERK / KRAFTWERK
で、これが記念すべき「クラフトワーク」としてのデビューアルバム。彼らのスタイルであるテクノポップとは明らかに違うものが出来ているが、骨格的には現在のテクノやハウスにいくらか近い部分はあるだろうか。初期クラフトワークの象徴であったジャケのパイロンはアンディ・ウォーホルの一連のポップアートからインスパイアされたという話だが、アンディーウォーホルの口癖が「私は機械になりたい」だったということからも、完全にロボットと化してしまった(?)クラフトワークは、ある意味ウォーホルを越えたのかもしれない。確かに以後扱われる彼らのネタ(アウトバーン、ヨーロッパ特急、自転車等)は、アメリカのウォーホルで言うコカコーラやキャンベルスープ缶と同じなのだろう。そういえばシルクスクリーンで複製したポップでミニマリスティックな作風も何処となく共通点を感じる。ちょっと話は逸れましたが、これは前作「TONE FLOAT」の延長線上には位置せず、彼ら独自の路線をすでに築き始めている、とは言うものの、ドイツロックの胡散臭さはまだまだ抜けずプログレプログレしていて、自分としてはどうもなじめない。


 
・KRAFTWERK / KRAFTWERK 2
上記アルバムが思いの外売れたので、調子に乗った彼らは続く『2』をリリース。基本的には『1』とスタイルは変わらず、いわゆるジャーマン・プログレをやっています。ココで彼らのレーベル名及びスタジオ名にもなる曲「KLING KLANG」が収録されていることからも分かる通り、ココら辺から今後のヒントというかナニかを掴みかけていたに違いない。ちなみにコレを含めた初期4枚の音源を、ブートレグではあるがご丁寧に中ジャケまで忠実に再現したCDが出回っており、マニアならずとも棚に並べておきたい逸品である。さらに困ったことにこのブートにしてもイギリス盤、ドイツ盤、イタリア盤まで発売されており、ボーナストラックが一部違っていたり、使用されている写真が異なっていたりするので血眼になって探しているヤツがいるという噂あり(笑)



・KRAFTWERK / RALF & FLORIAN
上記2枚より明らかに音楽的に進歩した、というか自身の今後の方向性を明確に明示した作品。今までの作品のなかで完成度はかなり高く、自動演奏に成功しておりテクノポップな試みが随所に散りばめられている。タイトル通りほとんどの作業を二人で行っており、より純度の高いものになっているのだろう。以後、裏方で活躍するエミールシュルト氏の協力もあってか、ビジュアル面でも大きな成功を遂げたと言えるだろう。CD化されると言う話も聞いているが、肝心の本人達がの許可が下りないとかなんとか。どうしたものか。尚、去年辺りに『1』から『R&F』までの作品がアナログで大量に入荷され、レコード屋さんでは一時期「再発」とまで歌われていましたが、実は無許可の違法コピーもの。が、しかしレコード屋さんやマニアの目を欺くほど巧妙に作られており、付属のコミックポスターなども実に完成度が高い。ヘタに高いオリジナルを買うよりもイイのでは?と僕は思っているが。



・KRAFTWERK / AUTOBAHN
シュルト氏の描くジャケがとても印象的なアルバム。一応正式にはファーストアルバムという形になる。レコーディング時に新メンバーとしてウォルフガングフルーア、ミヒャエルローターを迎え、バンドとしての意識を高め、お揃いのスーツで身を固め、髭を剃り(笑)スタイルも一新して「Made in Germany」のクラフトワークが全世界へ出荷されていく。タイトル曲「Autobahn」では約25分にも及ぶ超大作を披露し、徹底したミニマリズムを貫徹していく気合いが早くも75年時点で完成している(笑) で、このシングルが売れたんだから笑ってもいられないな。CDには記載されていないが、『KRAFTWERK1』からこの作品までプロデュースとして関わっていたのはあの故コニープランク。



・KRAFTWERK / RADIO-ACTIVITY
"放射能"をテーマとした大胆なコンセプトアルバム。後に『THE MIX』で大幅にリミックスされてはいるが、鉄筋で組み立てられたような骨組みだけのこのアルバムも逆に荒々しさはなく透き通った冷たい空気が漂うアルバム。後半は音響的なラジオのチューニングやボコーダーの語りなどが絡み合い独特の空間を作っており、とてもポップと呼べる作品ではないが、シングルカットされたアンテナや、タイトル曲は非常に良くできた作品(コレに限った事ではないが)で、彼等流のポップセンスとユーモアセンスを徐々に確立し、次作で大きく開花することになる。インダストリアルの先駆け的存在。デビットボウイやジョイディヴィジョンのイアンカーティスらは好んでライブ前にこのアルバムを会場内にかけていた。が、当然なんの反応も無かったらしい(笑) 裏ジャケのメンバーの顔、若いよなぁ〜(笑)



・KRAFTWERK / TRANS-EUROPE EXPRESS
やっとココいらへんから"ポップ"と言うことに対して意識的になってきた感じ。音数は少ないものの曲として成り立っているあたりが恐ろしい。因みにこのアルバムから英語、ドイツ語の歌詞がリリースされ、シングル「Showroom Dummies」ではフランス語でも発売された。周知の通りこの頃からボウイとの交流を深め、タイトル曲では歌詞とビデオクリップにボウイが登場。ボウイも自身のアルバム『HEROES』でフローリアン・シュナイダ−に捧げた「V-2 SCHNEIDER」ではクラフトワークというか、ブライアンイーノの力が大きかったのかクラスター?みたいな曲を作っている。で、クラフトワークを意識したのか、シングル「Heroes」ではイギリス、ドイツ、フランスの各国語で歌っている。おっと、話が逸れましたが、ポップバンドとして大きく開花した出世作。しかし、今思うとタイトル曲のビデオクリップや中ジャケに見られるミョ〜に和やかで紳士的なイメージは、ロボット・マネキンのイメージとはいささかかけ離れており、冷静に考えると変である。ここら辺は逆にボウイの『STATION TO STATION』あたりの影響を受けたか?



・KRAFTWERK / THE MAN MACHINE
クラフトワーク最高傑作として名高い『MAN MACHINE』。なんで邦題が人間解体なのかわからない(が、そのダサいセンスはキライではない)。大ヒットシングル「The Robots」「The Model」を象徴するようにトータルしても彼らのポップセンスが余すことなく現れたアルバム。時代背景故かどうもジャーマンプログレの一アーチストとして括られてしまうことの多い彼ら。日本盤歌詞カードの解説が伊東正則というのは笑える(ハードロック・ヘヴィメタル誌「バーン」の編集顧問)。「The Robots」「Neon Lights」「The Model」がシングルカットされ、ヒットを記録。同年YMO、DEVO等がデビューし、やっと時代が追いついてきたものの、この後しばらく沈黙。


・KRAFTWERK / COMPUTER WORLD
個人的に彼らの作品では一番好きな作品。「Numbers」「Pocket Calculator」などの少ない音数であるにも関わらず、繰り出されるうねるグルーヴは圧巻。『MAN MACHINE』よりもズバ抜けて完成度の高いアルバムであるにも関わらず、世間での評価はイマイチ。嬉しいことに日本盤がCD化し、「Dentaku」は世界初CD化に成功。手放しで喜びたい。テクノポップという言葉を音にしたらこんなかんじだ。特にNumbersの繰り出すグルーヴと、空間の使い方は脱帽。んで、又沈黙。(この作品についてのレビューは「テクノポップ連載 第1号」に詳しい)


・KRAFTWERK / ELECTRIC CAFE
しばらくの沈黙期間の後、ようやく新作がお目見え。10年近く経った今見ても十分に格好いいフルポリゴンのCDジャケが、当時のヘッポコテクノポップ野郎に渇!って感じでイイ感じ。日本盤CDに入っている歌詞カードの解説に結構適当なことが書いてあって、「ミニアルバムTechno Popもリリース」とか当時にしてみればコレが最低限入手できた情報だったんだな、と勝手に想像(だがしかしこの状態は今現在も続いている)。貴重な対訳もついており意外とタメになる。「あなたのお掛けになった電話番号は現在使われておりません」の声が聞きたいがために電話するというTelephpne Callの手塚治虫にも通じる一人ストーカーみたいなストーリーがヘンタイチックでイイ。このアルバムリリースが遅れに遅れたのは、目まぐるしく進化を遂げるハードに追いつかれたためだとも、フローリアンが自転車で事故ったとも言われている。どっちもホント臭い(だが、以前出たカールバルトスのインタビューによるとどっちも本当だと言うことが判明→爆笑した)。尚、このアルバムを最後にカールバルトス、ウォルフガングフルーア、エミールシュルト等は沈黙期間の長さに嫌気がさし脱退。が、ラルフ&フローリアンはビクともせず、また沈黙(笑)


・KRAFTWERK / THE MIX
クラフトワークの集大成的作品。ですがいわゆるただのベスト盤になっていないところがミソ。コレに関してはかなり聞きましたね、耳血が出るくらい(笑)。1曲目を飾る「The Robots」は中でもとても完成度が高く、例えば「Radioactivity」がシングルでフランソワケヴォーキアンやウイリアムオービットにミックスを依頼しているのに対し、「The Robots」のシングル盤ではすべて自らの手による数パターンのミックスを成功させており、中でもその別バージョンである「Robotronik」はライブでも演奏されたほど。又、オリジナル発売当時に誤解を招いたとされる「Radioactivity」では冒頭に「チェルノブイリ・ヒロシマ」等放射能と関連深い地名を掲げ、歌詞中の"RADIOACTIVITY"の前に"STOP"を挿入し、より反核イメージを高めている。全体的に見れば時代が古いものは大幅に手を加えられてリニューアルされているものの、前作からのカットである「Music Non Stop」等はあまり大きな変化が得られていず、ちょっと中途半端な気がしなくもないが、それにしても彼等のアレンジセンスや一音一音の音へのこだわりなど、どれをとっても脱帽しっぱなし。近年、相変わらずの沈黙期間の長さにシビレを切らしたファンやマスコミの間で次作は「MIX 2」と言う噂が出回ったが、変に時代を意識した新作をリリースするよりも、僕はむしろ「The Model」や「Tour De Franc」等の我流の再構築を願っているのだが。