プレゼンテーションは、相手に聞いてもらえなければ意味がありません。そのためには、 相手を引き込んで飽きさせないことが大切です。となれば。おのずと方法はただ一つ、 エンターテイメントとしてプレゼンテーションを演じるしかありません。
論文だって同じです。まずは査読者を引き込んで、読んでもらわなければなりません。 論文原稿が机の隅に置かれっぱなしにされるのではなくて、他の仕事を後回しにして でも読みたいという気にさせるためには、エンターテイメントとして論文を書くしか ないでしょう。
研究助成のための申請書類だって同じです。審査委員に、この研究に助成したい と思わせるためには、審査委員を味方に引き入れなければなりません。そのためには、 審査委員に楽しく申請書類を読んでもらう努力、すなわち、申請書をエンターテイメント として書くことが大切です。
このように、自分を理解してもらいたかったら、エンターテイメントの形式で 自分を表現するのがもっとも効果的な方法です。
ただし、言うまでもないことですが、もっとも大切なのはプレゼンテーションの中身 です。中身が乏しかったら、いくらエンターテイメントでくるんでみても説得力は 出ません。豊かな中身があることが大前提です。その中身をちゃんとわかって もらうために、エンターテイメントを利用しようという提案をしているのです。
杉原厚吉:「どう書くか --- 理科系のための論文作法」、共立出版
この本で伝えたいメッセージは「エンタティメント小説を書くように科学技術論文を書こう」というものです.ふざけているのではありません.自分の研究成果を人に理解してもらうためにも,科学技術という財産をできるだけ多くの人が共有できるようにするためにも,わかりやすくて楽しい論文を書くことがとても大事だと信じています.この信念に基づいてこの本を書きました.