複雑にみえる自然界の振舞いや形が,その背後にある 単純な原理から生じているとみなせる場面もたくさんあります.カオスと フラクタルは,そのような理解を助ける代表的な数理構造です. そしてそれらの数理構造に関連して,美しい図形もたくさん 発見されている.ジュリア集合やコッホ曲線がその代表例です.
一方,複数の対象がそれぞれの勢力圏を確保して空間を分割 するという現象も,自然界には多く見られます.この分割構造は ボロノイ図とよばれる.このボロノイ図も,勢力圏という側面から 自然界を理解することができる強力な数理的道具です. そして,このボロノイ図に基づいて美しい図形を作ることもできます. 勢力圏はどこにでも現れるという意味で,カオスやフラクタルより 身近であり,それに基づいた図形操作は柔軟性に富んでいます. その結果,ロゴなどのデザイン創りにも利用することができます.
そんなわけで,ボロノイ図は新しい芸術の素材としても有望なものです. 作品例はここです。
ボロノイ図を描くプログラムはウエブ上でも使って みることができます。(ただし、このプログラムは、点のボロノイ図と 一般四角形のボロノイ図を計算して、それを重ね合わせて表示する ものです。)
A. Okabe, B. Boots, K. Sugihara and S.-N. Choi: Spatial Tessellation ---
Concepts and Applications of Voronoi Diagrams, Second Edition,
John Wiley and Sons, Chichester, 2000.
この本は、ボロノイ図とその応用に関してできるだけ多くの話題を
集めた、ハンドブック性格をもつ本です。
「ボロノイ図とその応用国際シンポジウム」 を 2004年9月13日(月)〜15日(水)に、東京大学で 開催しました。
「第2回ボロノイ図とその応用国際シンポジウム」 は、2005年10月10日(月)から13日(木)まで、韓国のソウル市で開催されました。
「第2回ボロノイ図とその応用国際シンポジウム」 は、 2006年7月2日から5日まで、カナダのバンフで開かれました。
「第4回ボロノイ図とその応用国際シンポジウム」 は、2007年7月に英国で開かれました。
第5回目は、2008年にウクライナで、第6回は、2009年にデンマークでで開かれます。