婚姻関係を継続しがたい事由とはいったいどんな場合なのか?婚姻関係が修復不可能なまでに破綻し、もはや夫婦として円満な関係を維持することが困難な状態になっていれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚原因になることが認められています。しかし内容は幅広く、その判断基準としては、婚姻中における両当事者の行為・態度、婚姻継続意思の有無、子の有無、子の状態、双方の年齢・健康状態・性格・経歴・職業・資産収入など、当該婚姻関係にあらわれた一切の事情が考慮されます。当事者の有責性についても判断材料とされますが、被告が無責であっても、婚姻の破綻が存在する限り、離婚は認められることとなります。これに対し、離婚後の生活の見通しのような離婚後の事情については、婚姻の破綻の原因とは関係ないので原則として考慮されません。
判例に現れた「婚姻を継続しがたい重大な事由」としては、次のようなものがあります。
【性の不一致】
夫または妻が異常に性欲が強く妻が耐えられない
夫が性的不能
夫または妻の性的嗜好が異常
夫または妻が潔癖症で性に対して嫌悪感を抱いている
夫または妻が同性愛者である
などが認められれば理由となりますが、性交渉の拒否が即離婚につながるわけではありません。病気や高齢のため性交不能となった場合などは、離婚原因とはなりません。性交拒否や不能のために、愛情喪失し破綻に至った場合に離婚原因となります。
【性格の不一致】
性格の不一致が原因で客観的に見て婚姻が破綻し、将来的にも修復の可能性がないという場合のみ離婚の請求が認められます。
【過度の宗教活動】
宗教活動が節度を越え、家庭をないがしろにした結果、いさかいが絶えなくなり、日常生活にも支障をきたし、夫婦関係が破綻してしまった場合に、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして、裁判所は離婚を認めています。
【浪費癖】
浪費により、夫婦共同生活が回復不可能なほどに破綻してしまった場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、離婚が認められます。
【両親・親族との不仲】
両親・親族との不仲を改善する努力をせず、努力をしても関係が改善せず、そのために夫婦関係そのものが冷却してしまった場合には離婚原因となります。
【暴力・暴言・虐待】
家庭内で暴力が振るわれるような場合には、医師の診断書等で暴力の被害を受けた事実を証明することができますので、その上で「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして、裁判所は離婚を認めています。しかしながら一過性の暴力の場合には、その原因も考慮され、離婚原因と認められないケースもあります。
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などは、入院生活、治療が長期に渡っていて、離婚後は看病はどうするのか?治療の費用はどうするのか?また、離婚を請求している配偶者がこれまで療養や生活の面倒を誠実にみてきたのか?などの条件があります。 上へ |