交響曲 第1番 ヘ短調 作品10

音楽院卒業作品と同時に世界の音楽界に衝撃を与えた初期の傑作。
めまぐるしく変わる世界と全編にわたるユーモアとペーソスが聴きもの。

ジャケット 演奏者 ツボ押さえ度 主観的なコメント
コンドラシン指揮
モスクワpo.(72)

VICTOR
VICC-40094

85% 交響曲全集より。乗りのいいテンポで一気呵成に進む演奏。ただそれ以外は特徴といったものがないのが弱点。十分ショスタコ独特のスパイスは感じられるのだが・・・・現状だったらもっと録音が優秀なものがありそうなこともあり、少々辛口な点数。
ロジェストヴェンスキー指揮
ソビエト国立文化省so.(83)

VICTOR
VDC-1013

90% さすがはロジェストヴェンスキー。ユーモアに下品さ(金管および打楽器)が加わり面白い。ドリフ的とでもいうべきか(??)。とくに第2、4楽章は刺激が強い。かなり好みが別れるだろう。ただアンサンブル等併録の第9番よりは完成度が低い点が難点。でも十分おすすめできる演奏ではあると思う。

バーンスタイン指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック(71)

CBS SONY
SRCR9531

88% バーンスタインの最初の録音。後の録音に比べるとテンポの取り方等、こちらの方が勢いのある演奏となっている。そしてそれが初期タコの若々しさとマッチしてこの曲のもつみずみずしさを十分に醸し出している。第3楽章などはもう少し寒い雰囲気があってもいいかもしれないが・・・・最初の1枚としては推薦できる演奏。

 実はこの曲、上記2枚で現状満足しているため、これら以外の録音をそれほど聴いていない。

 とは言いつつも聴きたい演奏は結構ある。まずはアンチェル盤。ロジェストヴェンスキーとは違いとても上品な演奏という話で興味がある。ほかにはヤンソンス盤、フェドセーエフの最新盤、バーンスタインの旧録音盤あたりか。

 そのバーンスタインの旧録音盤。確かに悪くはないのだが、思っていた以上でもなかったというのが正直なところ。まあでもカップリングの6番も悪くない演奏なので、タコ入門用としてならオススメ。<01/12/29>


交響曲 第2番 ロ長調 作品14 
「10月革命に捧ぐ」

ショスタコの実験精神がもっとも顕著に表れた交響曲。
ただ傑作かといわれると個人的には疑問。何回も聴きたい曲ではないだろう。

ジャケット 演奏者 ツボ押さえ度 主観的なコメント
コンドラシン指揮
モスクワpo.(72)

VICTOR
VICC-40095

85% 悪い演奏ではない、と思うがやはり録音の古さ(不鮮明さ)が目立つ。前半のウルトラポリフォニーもいまいち旋律線がはっきりせずそれを聴く醍醐味にかける。ただ終盤の合唱は気持ちいい。
ロジェストヴェンスキー指揮
ソビエト国立文化省so.(84)

MELODIYA
MCD200

85%(趣味的には95%) 「10月革命70周年記念シリーズ」の中の一枚。コンドラシンと違い録音が優秀なこと(特に冒頭バスドラムの重低音!!)から前半が格段に面白い。旋律線の絡みがはっきりと分かり、それに伴う音色の変化も楽しむことができる。逆に後半の合唱は若干パワー不足。ソ連崩壊前でもやはりレーニンは「過去の人」だったのかも?

 この曲と次の第3番は私が最も苦手としている曲。「10月革命」および「レーニン」が自分にとって意味があるものでないので共感できないのが最大の難点。というわけで他にCDも買っていないし、聴きたいと思う演奏も今のところはない。ただ今回手に入れたロジェヴェンの演奏は、ある程度楽しむことができるものではある。普通のタコしか聴いたことがない人にはおすすめ。


交響曲 第3番 変ホ長調 作品20 「メーデー」

第2番と違い、ユニゾンを多用するすっきりとした印象の曲。
最大の特徴は交響曲とうたいながら各主題がまったく発展しない点だろう。

ジャケット 演奏者 ツボ押さえ度 主観的なコメント
コンドラシン指揮
モスクワpo.(72)

VICTOR
VICC-40096

85% 第2番よりは録音状態が良い。まずは模範的な演奏といえる。途中の集会の場面なども迫力があっていい。合唱のできも申し分なし。

 第2番と同じく(そして第2番以上に)苦手な曲。恥ずかしながらほとんど聴かない・・・・・・ので申し訳ないが、パス。


交響曲 第4番 ハ短調 作品43

タコの交響曲中最大規模の曲でもあり、最大の問題作。
彼の音楽世界が百花繚乱(というよりハチャメチャ)している。それが魅力。

ジャケット 演奏者 ツボ押さえ度 主観的なコメント
コンドラシン指揮
モスクワpo.(62)

VICTOR
VICC-40097

95% 初演者コンビによる最初の(というより初演直後の)正規録音。録音の古さをまったく感じさせないすばらしい演奏。細かいニュアンスから野卑な雰囲気、壮大かつ激しい葛藤などこの音楽の持つすべての要素を最大限に表現した演奏だといえよう。とにかく尋常な音楽でなかったことはこれを聴けば納得できるはず。

 この曲は他にもロジェストヴェンスキー盤、ヤルヴィ盤、芥川盤、ハイティンク盤・・・などがありどれも悪くはない演奏。ファーストチョイスとしては良いと思う。ただあくまで個人的な意見として、このコンドラシン盤が持つ「異常さ」を越える演奏ではなく、少々もの足りなかった(だから買わなかった)。

 しかし録音が古いため新しい録音のものが欲しいところ。そこで今後買う予定なのがラトル盤。友人の家で聴かせてもらったがすばらしい出来。コンドラシンのような「異常さ」はないが、十分すさまじい演奏。一般にもおすすめできよう。

 そして、一度実演を聴くことをおすすめする。以前バルシャイ指揮/東京フィルの演奏を聴いたが曲が持つパワーのけた違いな大きさに改めて驚いたことがある。そして、00年2月20日。在京のアマオケ「オーケストラ・ダスビダーニャ」の演奏を体験。壮絶な演奏に拍手!!

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