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作品番号 | 作品番号 | 作品形態 | 作曲年 | (少々主観的な)コメント |
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61 | ピアノソナタ第2番ロ短調 | ピアノ曲 | 1942 | 第1番と違い、非常に新古典的。急・緩・急の3楽章構成、主題は全音階を使用したロシア民謡風など、聴き易い音楽となっている。ただ実際魅力があるかどうかといわれると・・・つらいかな。 |
62 | イギリス詩人の詩による6つの歌曲 | 歌曲 | 1942 | 各曲が妻を含め友人たちに献呈されている私的な意味が強い作品。しかし曲はどれも素晴らしく、とくに親友ソレルティンスキーに献呈された『ソネット66』は感動的。また終曲『王様の進軍』は、第7交響曲を書いた本人とは思えないほど戦争に対する強烈な皮肉を投げつけていて興味深い。 |
63 | 音楽舞踏劇『祖国』 | 劇音楽 | 1942 | 未聴 |
64 | 映画音楽『ゾーヤ』 | 映画音楽 | 1943〜44 | 未聴 |
64a | 組曲『ゾーヤ』 | 管弦楽曲 | 1944 | 全5曲の組曲。合唱を含めたかなり大規模な音楽。また自作『24の前奏曲』やグリンカの作品などの引用がある。 |
65 | 交響曲第8番ハ短調 | 交響曲 | 1943 | 戦争の非人間的な酷さとそこに生きる人間の姿を描いた傑作。第7番とはまったく違う様相を示す暗く重い作品。最近ではその第7番を人気・評価ともに追い抜きつつある。とくに最近演奏会にあがることが多い。「見えない戦争」の現代がこの曲を求めているのかも? 第5番と良く似た主題と構成を持つ長大な第1楽章。戦争をリアルに描いた第2,3楽章。パッサカリア形式の第4楽章を経て現れる第5楽章は第5,7番とはまったく違った結論を提示する。「生きることはすばらしい」この曲に対する作曲家自身の言葉の意味がずしりと心にくる。必聴の作品。(特に5番しか聴いたことがない人)。 |
66 | 音楽舞踏劇『ロシアの河』 | 劇音楽 | 1944 | 未聴 |
67 | ピアノ三重奏曲第2番ホ短調 | 室内楽 | 1944 | 親友ソレルティンスキーの急死を悼んで書かれた佳作。最近しばしば演奏会にも取り上げられるようになっている。 すすり泣きからはじまる第1楽章も良いが、やはり注目は第4楽章。はじめてユダヤ旋律を導入し重々しい葬列と激しい慟哭を描く。この主題は後の弦楽四重奏曲第8番にも引用されている。 |
68 | 弦楽四重奏曲第2番イ長調 | 室内楽 | 1944 | 第1番とは違い大規模な作品。各楽章に標題が付き、作風もすっきりとした形で内容もわかりやすいが、技法的には非常に凝った作りをしているのも魅力(とくに第4楽章の変奏曲)。タコの職人芸が見事に発揮された曲である。 問題は第3楽章。当時はまだ明らかにされていなかった交響曲第4番第3楽章がワルツに引用され、調性が最も遠いこともあり作品中浮きあがった感じで出現するのが面白い。 |
69 | 子供の音楽帳 | ピアノ曲 | 1944〜45 | 娘ガリーナのために書かれた子供向けの平易な小曲集。最初は全6曲とされていたが、近年第7曲『誕生日』が加わった。これが『祝典序曲』の冒頭ファンファーレとまったく同じ!意図的にタコが隠していたのかどうかはナゾ。 |
70 | 交響曲第9番変ホ長調 | 交響曲 | 1945 | これまた数々の物議をかもした問題作。第2次世界大戦における勝利を祝う「第9」と期待された本作品。しかし発表されたものはベートーヴェンのものとは似ても似つかぬとても小さな軽い音楽だった。 第4楽章をのぞいた全ての楽章が深刻さとは無縁。とくに第5楽章は最後までおちゃらけた音楽が続く(元ネタはやはりユダヤ旋律らしい)。国をあげての期待をサラリとかわすタコの度胸には恐れ入る。「どこまでもユーモアとパロディに徹した作品」バーンスタインのこの解釈がこの曲の魅力を如実に表している。 |
71 | 映画音楽『普通の人々』 | 映画音楽 | 1945 | 未聴 |
72 | M.スヴェトローフによる二つの歌 | 歌曲 | 1945 | 未聴 |
73 | 弦楽四重奏曲第3番へ長調 | 室内楽 | 1946 | 前年の第9交響曲を彷彿とさせるソナタ形式の明るい第1楽章から始まるが、その後第2,3楽章とグロテスクな舞曲が並び重々しいパッサカリアの第4楽章へと続く構成は第8交響曲にそっくり。そしてどこか自暴自棄な第5楽章が待っている。 戦争に対する自分自身の総括にもとれる作品。 |
73a | 弦楽器と木管楽器のための交響曲ヘ長調 | 室内交響曲 | ? | ショスタコと親しかった指揮者バルシャイが木管を含めた室内オケ用に編曲したもの。少々重いがかなり聴き応えはあり、もっと演奏されていいのではないかと思う。 |
74 | カンタータ『祖国の歌』 | 声楽 | 1947 | 未聴 |
75 | 映画音楽『若き親衛隊』 | 映画音楽 | 1947〜8 | 未聴 |
75a | 組曲『若き親衛隊』 | 管弦楽曲 | 1951 | 音楽的にたいした魅力はないが、唯一注目すべきは葬々の音楽。弦楽四重奏曲第8番第4楽章に引用され、そこでは非常に重々しく意味深に奏される。 |
76 | 映画音楽『ピロゴーフ』 | 映画音楽 | 1947 | 未聴 |
76a | 組曲『ピロゴーフ』 | 管弦楽曲 | 1947 | 『先駆者の道』という題名もある。ヒューマニズムに徹した伝記映画のため音楽も普通の映画音楽といったところ。 |
77 | ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 | 協奏曲 | 1947〜48 | 非常に重い協奏曲の傑作。作曲中にジダーノフ批判がはじまり、その暗い内容故初演はスターリンの死後1955年となったいわくつきの作品。そのため当初は作品番号が99となっていた時期もある(古いレコードなどに残っていたりする) はじめて自分のイニシャル「DSCH」を使った第2楽章、彼の最高のパッサカリアともいえる第3楽章、オイストラフを想定して書かれた長大なカデンツァ等聴き所は多数。終楽章の『ブルレスケ』も第3楽章パッサカリア主題のグロテスクな引用等謎が深い。 |
78 | 映画音楽『ミチューリン』 | 映画音楽 | 1948 | 未聴。農学者ミチューリンを描いた映画。この時期ジダーノフ批判をかわすため国策映画に多く参加しているが、これもそのうちのひとつ。 |
78a | 組曲『ミチューリン』 | 管弦楽曲 | 1964 | 未聴 |
79 | ユダヤの民族詩より | 歌曲 | 1948 | ジダーノフ批判の裏で作曲していた作品。この時期ユダヤに関わることは非常に危険な行為であり、当然初演はスターリンの死後(しかし本人はすぐにでも発表したかった節もあるようだ)。後半4曲が共産党の偽善を表しているようで怖い(特に第10曲『乙女の歌』は必聴) |
79a | ユダヤの民族詩より | 歌曲 | 1948 | 上記のオーケストラ伴奏版。音楽がより豊かになり、内容が理解しやすくなっている。 |
80 | 映画音楽『エルベ河での出会い』 | 映画音楽 | 1948 | 未聴 |
80a | 組曲『エルベ河での出会い』 | 管弦楽曲 | 1948 | 未聴 |
81 | オラトリオ『森の歌』 | 声楽 | 1949 | ジダーノフ批判に応えて書かれた作品。スターリンの自然改造計画をどこまでもたたえ、最後には恥ずかしげもなく「偉大なスラヴァ」としてスターリン個人を歌い上げてしまう。こんな調子で書かれれば誰だってエラくなった気がしてしまうだろう。当然スターリン賞第1席受賞。タコはまたも名誉回復を果たす。 曲は平易なハ長調が基本。聴き所は第5楽章での『祝典序曲』元ネタと終楽章のフーガか。ただの駄作ではなく、こんな曲でもしっかり書いてしまうタコの(別の意味での)天才的な才能が良くわかる。 |
82 | 映画音楽『ベルリン陥落』 | 映画音楽 | 1949 | 未聴。タコが参加した国策映画の中で最も駄作の部類に入るもの。「証言」でも書かれているスターリンのそっくりさんは映像的には大爆笑もの。 |
82a | 組曲『ベルリン陥落』 | 管弦楽曲 | 1949 | はっきり言おう『森の歌』の映画音楽版である。とくにフィナーレの主題はどう聴いても『森の歌』第1楽章のパロディー。映像とシンクロさせればそれなりに面白いのかもしれないが、音楽だけでは・・・・ |
83 | 弦楽四重奏曲第4番ニ長調 | 室内楽 | 1949 | 弦楽四重奏曲の中で最もユダヤ色の強い作品。そしてこの作品以降、意味深で思索的な内容が現れるようになる。 チェロが機械的に突き進む不気味な第3楽章のスケルツォ、そして妙に自己卑下が強く、強制された泣き笑いがみられる第4楽章が聴き所。当然完成直後には初演されず、1953年まで封印されていた。 |
83a | 室内交響曲ニ長調 | 室内交響曲 | ? | バルシャイによる第4番の室内交響曲版。最も規模が大きく弦楽、木管だけでなくトランペットやホルン、数種の打楽器を含む。それだけにオーケストレーションの幅は広がり、また絶妙な味付けがなされている。個人的には原曲よりこちらの方が好きだ。特に第4楽章はすばらしいと思う。 |
84 | M.レールモントフの詩による2つの歌曲 | 歌曲 | 1950 | 未聴 |
85 | 映画音楽『ベリーンスキイ』 | 映画音楽 | 1950 | 未聴 |
85a | 組曲『ベリーンスキイ』 | 管弦楽曲 | 1960 | 未聴 |
86 | E.ドルマトーフスキイの詩による4つの歌曲 | 歌曲 | 1951 | 未聴 |
87 | 24の前奏曲とフーガ | ピアノ曲 | 1950〜51 | ワルシャワでのバッハ・フェスティバルに参加した際に触発されて作曲を開始。2〜3日に一曲というあいかわらずの早書だったようだが、彼のピアノ作品の中では間違いなく最高傑作。『森の歌』の主題を使ったりしたかなり平易な作風なのだが、内容はかなり深く聴き応えがある。 作曲家自身による演奏が数曲残されており、その中でも第24曲ニ短調の演奏はすごい。何かにとりつかれたように短調の闇を突き進み、その末にたどり着く長調のコーダがとても素晴らしく感動的な演奏。 |
88 | 革命詩人による10の詩 | 合唱曲 | 1951 | 無伴奏混声合唱曲。第6曲が後の交響曲第11番第2楽章主題に転用される。全体的には平易で分かりやすい作風。体制よりの作品ともいえる。 |
89 | 映画音楽『忘れがたき1919年』 | 映画音楽 | 1951 | 未聴 |
89a | 組曲『忘れがたき1919年』 | 管弦楽曲 | 1954 | 未聴 |
90 | カンタータ『我が祖国に太陽は輝く』 | 声楽 | 1952 | 愛国的なカンタータ。未聴だが聴いた人間によると『森の歌』ほどは面白くはないらしい。 |