「西陣織」(京都)「大島紬」(鹿児島県)「有田焼」(佐賀県)
「夕張メロン」(北海道)「関さば」「関あじ」(大分県)
「三輪素麺」(奈良県)「信州味噌」(長野県)「草加せんべい」(埼玉県)
これらの名称をご覧になって、どれも全く見たことも聞いたこともないと
いう方はおそらくいらっしゃらないと思います。それほど、どれも有名なも
のばかりですよね?
これらが今回のテーマである「地域ブランド」と呼ばれるものです。一般
に「地域名+商品名」という組み合わせのものをいいます。
近年特に、いわゆる地域おこしのために、このような各地域の名産品をブ
ランド化して、全国への流通をはかろうとする動きが、全国的に活発になっ
てきています。
しかし、このような施策によって地域での評判が広がり、有名になってく
ると、必ず出てくるのが「偽装モノ」なんですね。
その地域の生産物でもないものを、いかにもそこの名産品のごとく偽って、
例えばその地名などが記載されたラベルを貼って販売されれば、消費者にと
ってはそのラベルを信用するでしょう。
消費者はダマされ、本物の生産者は多大な損害を被ります。正規品の販売
の邪魔をされるのみならず、それまで築きあげてきた信用をも失墜させるこ
とにもなりかねません。
しかも、そのラベルに記載された内容に何の法的な保護措置もなければ、
偽モノ販売業者を取り締まることも難しいでしょう。
その対応策ともいうべき政府の施策として、商標法が改正されることとな
ります。この改正案は本年3月15日には既に閣議決定されており、今国会に
提出され、来年4月1日施行となる見込みです。
どのような改正かといいますと、地域ブランドをより適切に保護する目的
で、「地域名+商品名」からなる商標を『地域団体商標』としてより早く
登録が受けられるようにする、というものです。
冒頭で例示した名称は、実は既に商標登録されているものばかりです。こ
れらは、長年に渡る名産品としての実績や全国的な知名度の高さが客観的デ
ータで証明された、いわば例外的なもので、ブランド中のブランドなのです。
ところが、いざ地域活性を目指して地域ブランドを立ち上げたはいいけれ
ども、この「全国的な知名度」の壁に阻まれ、法的な保護をなかなか受けら
れず、一般の産物との差別化などの思惑が早期に達成できないのが現状です。
また、商標法の考え方として、産地や原材料名、普通名詞などが商標登録
によって一部の者に独占権を与えてしまうことは、不公平であるとして原則
認められていません。
これらの問題も踏まえ、地域ブランドの商標登録を認めることで、保護強
化と農産品の偽装防止に役立てるために、次のような措置を講ずることとな
りました。
(1) 「地域名+商品(役務)名」から成る「文字商標」の登録を認める
(2) 特定の事業者ではなく、事業協同組合などによって使用されたことに
よって、例えば複数都道府県などに周知された場合に、『地域団体商
標』として登録を認める
これまで「地域名+商品(役務)名」というような文字商標は「識別力を欠
く」として、ほとんど認められなかったのですが、地域の産業に関わる団体
などに対しての要件が緩和されたということです。
※冒頭の例で、文字商標が認められているのは「西陣織」などごく一部に
限られています。
この「地域ブランド」の扱いについては、運用面などでまだまだ検討課題
が多くあるようですが、商標権という知的財産権を活用したビジネスが、国
策から地方へと展開してきた一例といえそうです。
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