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カウンセリングは、話を聞くだけ??(その一)

「カウンセリングって話を聞くだけなんですか?」と質問されることがあります(面接中ではなく、主には予約の前にです)。また「そちらのカウンセリングでは話を聞くだけですか?アドバイス等はありますか?」等言われることもあります。(電話受付等で説明できる範囲の話ではないので、気になる方は一読していただければと思います)。

このことを質問される時というのは、ほとんどの場合、「カウンセリングは話を聞くだけ」ということが低い評価の意味になっています。「そちらのカウンセリングでは本当に話を聞いてくれますか?こちらが話す時間があまりないと嫌だなと思うので…」等と言われることはほとんどありません(笑)。

ある意味では、カウンセリングというものが浸透したと言えるかもしれません。実際にカウンセラーは、まず徹底して聞くことが大事だとされています。なので、カウンセラーは本当に話を聞いてくれるのだろうかという心配はあまりないかもしれませんが、話を聞いてもらえるだけなんて意味あるの?という疑問は根強くあるようです。

一方で、カウンセリング後に「じっくり話を聞いてもらえてよかった」と言われることもありますし、カウンセリングの一番の良さは“じっくり話を聞いてもらえるところ”とされている場合も多くあります。

どちらも内容としては同じですが、前者は否定的または不満足というニュアンス、後者は肯定的なニュアンスが感じられます。話を聞いてもらえる、ということの価値は評価が分かれています。

前者のニュアンスの場合、「カウンセリングは話を聞くだけ」という噂を聞いたから・情報を見たから、ということが背景にある場合も多いと思います。まずは、なぜカウンセリングがそのような評判になっているのかについて、述べていきたいと思います。

「カウンセリングは話を聞くだけ」という噂や評判どこからきているのかについて考えてみると、日本におけるこの分野の歴史が関連している部分が確かにあると思います。日本におけるこの分野では、カウンセリング理論で有名なカール・ロジャーズ(Carl Ransom Rogers)から学んできた面があり、この取り入れ方が中途半端または偏った取り入れ方をされた部分があったようです。

代表されるのが、いわゆるオウム返しです。相手が言ったことをほぼそのまま相手に返します。自然とそうなることもありますが、これを意識的にやるととても不自然に見えます。ロジャーズは生涯を通して彼の理論を発展させているので、それ自体は深いものだと言えますが、黎明期にあった日本では分かりやすいところが取り入れられた部分があったかと思われます。

もう一つはロジャーズ理論が“受容”ということを大切にしているということもあります。オウム返しもこれを目標にしたものだとは思いますが、受容するという現象ではなく、“受容するような雰囲気作りの技術”となってしまっている面があります。それらの人工的に作った態度が前面に出すぎると、来談者はカウンセラーに対し不自然さを感じることもありますし、カウンセラーは話を聞くだけ、というイメージをより加速させていくのではないかと思います。

ここで問題となるのは、形として話を聞いているだけに見える、ということではないかと思います。つまり、リアルに話を聞いているのか疑わしい、という印象が「(形として)話を聞くだけ」という感想につながっている面もあると思われます。ですから、実は「話をきくだけなのか?」という批判的な質問は「そちらのカウンセリングでは会話は成り立ちますか?」という意味が含まれている場合もあると思います。

現在では、その反動のようにオウム返しを念頭におくことを批判する風潮もあります。しかし、現在でもひたすらオウム返しをするカウンセラー、そこまでいかずとも不自然なカウンセラーはいるとは思います。このようなカウンセラーは一生懸命に来談者を受容しようとしながら、実は一生懸命演技に集中しているのです。

現在では多種多様な考え方がありますが、部分的なロジャーズ理論も変わらず大きな影響力がありますし、大学等と違って短期間のカウンセラー養成講座等では初学者向けのためロジャーズ理論を簡単にしたものが中心になっていると思われます(このような養成講座や専門校は数多くありますので、いちがいには言えませんが)。

そしてその限られた専門性でプロになってしまう人も多いとなると、そのようなカウンセラーに会う可能性はそれなりにありますし、結果的にその評判をさらに広めている可能性もあります。あるいは、単純に利用する側(来談者側)にも、部分的なロジャーズ(カウンセリング)理論が広まっている程影響力が強いのかもしれません。

これらのことが、カウンセリングは話を聞くだけという評判となった一つの理由ではあると思います。しかし、だからといって話を聞くことが重要でないわけではありません。ロジャーズに限らず、どの学派でも基本的にはカウンセラーが聞くことを重視しないということはないと思います。カウンセラーが聞くことを重要視するのはそれが必要だからです。

次のページでは、ロジャーズやオウム返しとはまた違った角度から、それらの質問に含まれている意味について考えていきます。
(その二)へ続く(現在、準備中






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