URIAH HEEP 1981-1986
URIAH HEEP
『ABOMINOG』

大幅なメンバー・チェンジで新しい感性を導入したユーライア・ヒープは、軽い疾走感を満載させた。

08/11/18 Updated


URIAH HEEP 『ABOMINOG』 (LP, Bronze BRON538, UK) 1982/03/19
ユーライア・ヒープ 『魔界再来』 (LP, Victor VIP-6827, Japan) 1982/06/21

SIDE:A
1. トゥー・スケアード・トゥ・ラン Too Scared To Run
(Box/Daisley/Goalby/Kerslake/Sinclair) 3:47
全く新しいライトアップされた HEEPサウンドが飛び出してきたことに驚いた人も多かったことだろう。Ken Hensley がいないとここまで違うのか!?といった感じのファスト・チューン。Bob Daisley風サウンドとも言うべきか。Peter Goalbyのヴォーカルは安定していて、John Slomanのようなハラハラするところがない(笑)。John Sinclair のシンセサイザーが産業ロック的な疾走感を持つ名曲に仕上がった。

2. チェイシング・シャドウズ Chasing Shadows (Box/Daisley/Goalby/Kerslake/Sinclair) 4:36
モダンテクノ的な John Sinclair のシンサイザーが浮遊する中、Mick Box のワウ・ギターが吠える。シンセとコーラスの交錯したサウンドの波に流されてもいい安堵感がある曲。

3. オン・ザ・リバウンド On The Rebound (Russ Ballard) 3:15
本作からの第1弾シングルとなった Russ Ballard のカヴァー曲。Yellow Magic Orchestra 風のテクノサウンドを HEEP流ロックにアレンジした感じだが、やはり John Sinclair の貢献が光っている。

4. 無情な街の熱い夜 Hot Night In A Cold Town (Geoff Cushing-Murray/Richard Littlefield) 4:01
John Cougar (Melencamp) がやっていた曲のカヴァー。地味な曲で、バリバリにアメリカン。John Sinclair はピアノ。

5. ランニング・オール・ナイト Running All Night (With The Lion) (G.Farr/Box/Daisley/Goalby/Kerslake/Sinclair) 4:27
John Sinclair が在籍していた LION の曲のカヴァー。Gary Farr の歌い方がネバネバした感じなのに比べ、Peter Goalby のヴォーカルの何とストレートなことか。Bob Daisley がつまんなそうに弾いている。

SIDE:B
1. ザッツ・ザ・ウェイ・ザット・イット・イズ
That's The Way That It Is
(Paul Bliss) 4:06
本作からの第2弾シングルとなった BLISS BAND のカヴァー曲。プロモーション・ビデオも作られてヒットした。ムーディなテンポのAORで、コーラスに Three Do... じゃなかった、HEEPらしさが認められるものの、元曲が地味な曲のためかカヴァーしても地味。この曲は Graham Bonnet もカヴァーしている。

2. プリズナー Prisoner (S.Saad) 4:32
アメリカのパンク・ロック・グループ SUE SAAD & THE NEXT のカヴァー曲。Sheena Easton もカヴァーしたとおり、Sueにしろ Sheenaにしろ女性が歌ってこそしっくりくる曲だと思うが、敢えて HEEPがそれに挑戦したのは新生HEEPの革新か?

3. ホット・パースウェイジョン Hot Persuasion (Box/Daisley/Goalby/Kerslake/Sinclair) 3:47
ダイナミックなハード・ロック。カヴァー曲が5曲も続いた後に HEEPのオリジナル曲を聴くと、明らかに音像の分厚さが判る。全員で畳み掛けるようなボディープレスにノックアウト。

4. セル・ユア・ソウル Sell Your Soul (Box/Daisley/Goalby/Kerslake/Sinclair) 5:26
Peter Goalby時代のHEEPがライヴのオープニング・チューンとしてずっと使うことになった定番曲。ファストでいてヘヴィ。Mick Box のワウ・ギターも炎のプレイだ。ギターのメイン・リフは John Sinclair が在籍していた LION の曲 "Sweet Fire" からの流用で、U.HEEP 脱退後に参加した OZZY OSBOURNE BAND でも "Tattooed Dancer" という曲でこのメイン・リフを使っている。

5. シンク・イット・オーバー Think It Over (Bolder/Sloman) 3:36
John Sloamn や Greg Dechert が参加していた時代のシングル曲。UH#10によるアルバムがボツになってしまったことへの償いか? Mick Box がよっぽど気に入っていたのか、再録されて収録された。

Produced by Ashley Howe
Recorded at Roundhouse Recording Studios, London Oct/Dec 1981

Member are ; Peter Goalby (vocals), Bob Daisley (bass, vocals), Lee Kerslake (drums, vocals),
Mick Box
(guitars, vocals), John Sinclair (keyboards, vocals)

Mick Box 以外の全メンバーを総交替 (Lee Kerslakeは復帰) して作られた URIAH HEEP #11 による最初のアルバム。1981年10〜12月にかけてイギリスの Roundhouce Studio にてレコーディングされた。イギリスでは 1982年3月19日に Bronze Records からリリース。日本では 1982年6月21日に ビクター音楽産業 からリリースされた。

メンバーが違うから当然ではあるが、明らかに Ken Hensley 時代とは違うニュー・タイプの HEEP サウンドである。暗く重たいイメージだった HEEPのサウンドが、産業ロック的なライトタッチなサウンドに変貌されている。これは主に John Sinclair の参加の影響が強く、モダンでテクノ感覚なシンセサイザーが全編に渡ってフューチャーされているから、ハモンドでガンガンの Ken Hensley 時代とは明らかに違うのである。Peter Goalby のヴォーカルは雄々しく、John Lawton ほどのパワーはないにしても John Sloman のヴォーカルよりは安定して落着いて聴くことが出来る。この Peter のストレートなヴォーカルは、モダンでライトタッチな HEEPサウンドには見事にハマっている。Bob Daisley は Trevor Bolder よりゴリゴリにベースを弾くタイプであるが、Bob が WIDOWMAKER や Ozzy Osbourne で培ってきた作曲&作詞面での貢献が大きく、新しい HEEPサウンドに一役買っている。

1人1楽器というメンツ体制になったのも UH#11以降のことである。UH#10以前はギターやキーボードにパートの入れ替えなどがあり、主担当のパートのメンバーは我慢しなければならない部分があったが、担当パートを完全に決めてしまうことで自分の担当楽器に集中できることにもなった。

アルバムに収録された10曲のうち、5曲はカヴァー曲 ("Running All Night"も含む)、1曲は再レコーディングであるため、残る4曲だけが UH#11 による完全オリジナル曲である。オリジナル曲はどれも FOREIGNER をヘヴィにしたようなサウンドで、アルバム全曲がオリジナル曲だったとしたら、作品のクオリティはもっと凄いものになったと思う。カヴァー曲は "On The Rebound" は斬新だとしても、他の曲はちょっと地味な感じ。それでも "That's The Way That It Is" がヒットし、アルバムがアメリカのチャートでいいところまで上昇したのだから、何とも言いがたいが... Ken Hensley がいないとここまで違うのか?と思えるアルバムだが、アルバムを聴き終えた頃には Ken時代HEEPと比較することさえ無意味に感じる作品である。


URIAH HEEP 『ABOMINOG』 (LP, Mercury/Polyggram SRM-1-4057, US) 1982/09/11

SIDE:A
1. Too Scared To Run
3:49
2. On The Rebound
3:15
3. Chasing Shadows
4:42
4. Prisoner (D.B.Cooper/James Lance/Tony Riparetti
) 4:30
5.
Sell Your Soul 5:22

SIDE:B
1. That's The Way That It Is 4:09
2. Think It Over
3:34
3. Hot Night In A Cold Town
4:03
4. Hot Persuasion
3:49
5. Running All Night (With The Lion)
4:22

アメリカ盤は曲順が違う。カヴァー曲が5曲連続して続くイギリス盤と違い、カヴァー曲を適度な配置に散りばめられたこっちの曲順で聴くほうがロック的であると思う。"Chasing Shadows" はアウトロがフェイド・アウトしている。"Prisoner" のクレジットはアメリカ盤のほうが正しい。


URIAH HEEP 『ABOMINOG』 (CD, Castle ESCMCD571, UK) 1997

1997年夏に Castle Communications より再発された Remastered CD。1997年6月に Mike Brown と Robert M.Corich の手によって Remasteredされた。以下のボートラ4曲が追加収録されている。

Bonus Tracks:
11. Tin Soldier (originally on "Abominog Jr" EP)
(Marriott/Lane) 3:50
SMALL FACES のカヴァー曲。元曲がハードな曲なだけに、HEEPがカヴァーしても充分ハマっている。

12. Son Of A Bitch (originally on "Abominog Jr" EP) (Box/Daisley/Goalby/Kerslake/Sinclair) 4:09
ストレートなハード・ロック。アルバムに収録されてもおかしくないクオリティを持つ。カヴァー曲を収録するよりこの曲をアルバムに収録して欲しかった。

13. That's The Way That It Is (previously unreleased alternate demo version) (Paul Bliss) 4:28
Gerry Bron がプロデューサーを務めていた時の Ridge Farm sessions からのデモ曲。Bob Daisley のベースが重いが、全体的に少し音がスカスカな感じ。

14. Hot Persuasion (previously unreleased alternate demo version) (Box/Daisley/Goalby/Kerslake/Sinclair) 4:05
これも Ridge Farm sessions からのデモ曲。テンポがちょっと遅い。中間部の John Sinclair のソロも地味で、後半にあるハズの Mick Box のギター・ソロもない。


Single variation from "Abominog" sessions
- UNDER CONSTRUCTION -
更に深みに(笑) → (工事中)


URIAH HEEP 1981-1986

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