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【No.0702-33】
● 超精密加工に関するお話1
今月から、超精密加工について解説していきます。今回は超精密加工を概説します。
超精密加工という言葉を聞いて思い浮かべるのは、表面を鏡面のように平滑に仕上げることですが、実際には面粗さ以外にも、寸法精度、あるいは形状精度をサブミクロン以下に仕上げることも含まれます。形状精度や寸法精度を高精度に仕上げようとすると、当然面粗さも高精度にする必要があります。

超精密加工は、大きく切削、研削、研磨の3種類に分けられます。

切削加工は、天然又は人造の単結晶ダイヤモンドを用いて、アルミニウム合金や銅合金、ニッケルなどの非鉄軟質金属を鏡面切削するのに用いられています。レーザ反射鏡、光学部品用金型やコンタクトレンズの加工などに用いられています。加工機としては、超精密旋盤が使用され、主軸は、空気静圧軸受、スライド部には油圧の静圧軸受で構成されています。送り機構はふれ回りによる揺動を押さえた静圧ねじを採用したものもあります。切り込み機構として送りねじによるほか、微動機構として圧電素子によりダイヤモンドバイトを1ナノメートルステップでの切り込みを可能としているものもあります。
加工精度は、表面粗さRyが10〜30ナノメートル程度、形状精度100ナノメートル以内が得られます。

研削加工は、切削では不可能な硬質材料を加工するもので、超硬合金、炭化珪素膜、焼入れ鋼、セラミックスなどを対象としています。得られる精度は、表面粗さRyが10〜50ナノメートル程度、形状精度が100ナノメートル以内となっています。加工機は、超精密研削盤が用いられ、主軸は空気又は油圧の静圧軸受け、スライド部には油静圧支持機構が採用されています。砥石としてはダイヤモンドあるいはCBNの微粒(#1500、#2200、#3000、#4000)のホィールが用いられ、最小切り込み量は0.01μm程度です。

研磨加工は、ラッピング、ポリシングと呼ばれる加工法で、研削加工が固定砥粒による加工に対して、遊離砥粒を用いて被加工物を磨いて鏡面を得るための方法です。極めて古くから用いられている加工法で、研削加工に比べて加工能率はそれほど高く有りませんが、非常によい仕上げ面が得られます。代表的なものとして、宝石や球面レンズの磨きに用いられてきました。現在では、それらに加え、シリコンウエハの鏡面仕上げ、光学部品の最終仕上げに利用されています。表面粗さは、Ry1ナノメートル以内が達成されています。加工機としては、ラッピング盤、ポリシング装置が用いられます。

次回以降は、それぞれの詳細について解説していきます。
図1.切削によるレンズアレイ加工例
図1.切削によるレンズアレイ加工例
図2.研削による超硬金型加工例
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図3.ラップによる鏡面仕上

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