▼03年2月21日

 さて、いったんイラクの隣の国、ヨルダンに入ることになった。来週2月26日に出発する。
 依然としてイラクのビザはまだ発給されていない。だが、このまま東京でイラクのビザを待ち続けていても仕方がない。ビザ自体は発給されれば、ヨルダンのイラク大使館でも受け取れるのだが、ほとんどあてにはしていない。ともかく、いまの段階で「最も近い現場」に入っておくことにした。ヨルダンから先はどうなるか、全くわからない。
 
 来月発売される雑誌「マスコミ市民」3月号に、「イラク〜正念場迎える戦争報道」と題した原稿を執筆した。その中で私は、

『しかし、それら(連日メディアで伝えられるイラク報道)はこれまでのところ、「国連の査察報道」の延長線上にあるに過ぎない。イラクを巡る「戦争報道」は、まさにこれから始まろうとしているのだ。日本のみならず、イラク情勢を追う世界のジャーナリズムに、覚悟と決断のときが迫りつつある。
「アメリカが武力攻撃を開始したら、どんな報道体制を取るのか?」
 それはすなわち、「攻撃される側、殺される側のイラクに住む人々の状況は、いつ、どこから、どんなかたちで、映像や記事が世界に伝えられるのだろうか」という問いかけである』

 湾岸戦争から12年。再び同じ現場で、ジャーナリズムの存在意義が試されようとしている。私自身も、過去の東ティモール、アフガニスタン報道などを振り返って、伝えたこと、伝えられなかったこと、悔いが残ることなど、様々ある。それらの教訓をこの取材で生かしたいと思っている。

 現地からの報告は、テレビや雑誌などでいくつか発表できると思います。また随時このHPでもお知らせします。衛星電話を持ち込むとはいえ、現地は通信事情が悪く、どこまでこのHPをアップすることができるかはわかりませんが、「取材日誌」や「番外編リポート」なども、できればアップしてみたいと考えています。