【3月23日=バグダッド発 その3】

 「自分はいまどこにいるだろうか?」

 そんな感覚に襲われている。紛れもなく、ここはバグダッドだ。「空爆される側」「攻撃される側」の現場にいる。日中はともかく、毎晩午後7時ごろになると、周りの報道陣も含めて、急にあわただしくなる。皆、市内のホテルの一室から、空爆に備えて、準備をし始めるのだ。準備といっても、防空壕に入るわけではない。ヘルメットを被るわけでもない。

単に、バグダッド市内を流れるチグリス川の南部方向に、部屋の窓からカメラを向ける準備だ。そして長い夜が始まる。ずっとホテルの一室から、バグダッドの南の空を何度となく眺め、空爆機の音が空から聞こえてこないか、耳をすますのだ。
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