【12月9日=いまの憲法を守れない人たち】

 6日付の全国紙各紙に、「陸自幹部が改憲案」の記事が掲載されている(朝日新聞12月5日記事)。しかし、ちょうど僕は新潟・静岡にいたので気づいたのだが、これは前日5日付けのほとんどの地方紙朝刊には、いち早く一面で大きく掲載されている。

 これは共同通信・政治部記者の大スクープ記事。共同通信が配信後に、全国紙があわてて後追い取材して記事にしたということだ。

 政治家や防衛庁に普段から直接アクセスできるマスメディアがやるべき本当の報道とはこうしたものだ。

 しかしある会場では、「どこがスクープしたとか、別に読者にとっては関係がない」という声があった。

 確かにそうかもしれない。しかし、香田さん殺害事件の誤報のときだけ大きく目立ってしまった共同通信だけれど、こうした記事のときには【共同】のクレジットが入らなくて読者にわからないのはちょっと不公平だ。誰が書いた記事なのか、ちゃんと署名も入れてほしい。

 全国紙を読んでいる人だけには気づかないが、地方紙にとっては、特に政治・経済・国際ニュースは、通信社の配信記事が「ライフライン」だ。実はテレビ・ラジオ局のニュースだって、通信社の配信記事に普段かなり頼っている。

 一方で、産経新聞は社説で「なぜ問題になるのだろう」(12月8日付け社説)と書く有り様だ。

 産経はいつも「改憲」を訴えているから、開き直っての当然のことかな。別の意味での「首尾一貫」か。

 僕はいつも、この新聞を「監視愛読」している。こうした新聞の論調や記事を無視しておくわけにはいかない。絶対に覚えておかなければならない。

 「そんな彼らを相手にすることに意味があるだろうか。意味はない、と私も思う。しかし、(中略)彼らと対話することに意味はないが、彼らについて語ることには大いに意味がある。いや、それは義務ですらあると私は信じる。(「もはや黙っているべきではない」の項から『分断を生きる』徐京植 影書房)

 1965年の通称「三矢研究」を思い出したが、シビリアンも、ミリタリーも暴走して、「軍隊・政治・経済界・メディア」、みんな総動員で自衛隊を応援して、憲法改正を推し進める。武器輸出三原則も、教育基本法も。

 なぜそんなに変えたいのか?

 日本の軍隊や武器が、世界のあちこちに「輸出」されることがそんなにいいことか?そんな光景を世界各地で見たいのか?
 
 政治家にしてもメディアにしても、いまの憲法さえ守れない人たちばかりだ。そんな人たちばかりが改憲を訴えている。

 ということは、一度改憲した後は、もういつでも、何度でも、権力を持つ人たちが自由に憲法を改正し続けるということだ。そしてまたいつも、憲法や法律のせいにして、物事を決めていくのだろう。

 そんな人たちに憲法を変えさせていいのかしらん。

 いまの憲法さえ守れない人たちは、憲法改正を訴える資格はない。まずちゃんと守ってから、100年後ぐらいにゆっくり考えなさい。