雑記帳コーナー ※過去の雑記帳はこちら→1
この欄では、取材のいわゆる「こぼれ話」から世間の話題まで、幅広く気ままに書いてみます。
▼HP読者プレゼントのお知らせ(04年8月24日)
このHPを開設したのが02年9月10日だから、間もなく開設2周年を迎えます。
おかげさまで、アクセス数も延べ17万を超えました。
激励メールからご批判メール、ウィルス付きメールまで、すべて含んで誠にありがとうございます。
ほとんど返信メールを送ったことはないのですが、
すべてのメールは必ず拝読しております。
現在製作中のイラクのドキュメンタリー作品も、先週からいよいよ本編集が始まりました。
120時間に及ぶ映像から選んだ、シーンやインタビューを、
ストーリー展開にしたがって、映像をつないでいます。
作品のタイトルもほぼ決まりました。近々お知らせできます。
「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2004」での、
10月6日(水)午後6時30分から「アテネ・フランセ文化センター」(東京・お茶ノ水)で上映される作品は、
テレビ放送版(59分)の先行上映となります
(CS放送「So-net チャンネル」のシリーズ番組「ドキュメンタリスト」です。11月9日OA予定)。
しかし、通常のテレビ番組とは違って、ナレーションも音楽も、もちろん途中のCMも一切入りません。
会話やインタビューも、字幕スーパーだけです。
この後予定している「劇場版」の中心となる映像・ストーリーで全編構成されています。
放送に先駆けての初上映となります。ぜひとも、ご覧ください。
で、せっかくなのでこれを機会に「HP開設2周年記念プレゼント」として、
「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2004」のパンフレットを差し上げます。
全116作品の上映スケジュールと、作品ミニ解説が掲載されています。
私が去年の「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で実際に見たお薦め作品と、
信頼できる私の知人・友人から聞いたお薦め作品に、独断と偏見で「赤丸チェック」を入れてお送りします。
メールの件名に「パンフレット希望」と書いて、
郵便番号・ご住所・お名前・希望部数(お一人様5枚まで)を明記してお送り下さい。
プライバシー・個人情報は厳守します。
もちろん、全国どこでも、送料も含んですべて無料です。
ご近所の方、ご友人の方にも宣伝・お配りしていただければ大変光栄です。
マイケル・ムーアの「華氏911」を見るのもいいのですが、
これを機会に「世界のドキュメンタリー作品」を一挙に見てみませんか?
9月8日から10月11日までの間、一挙116作品が上映されます。
アテネ五輪はもう見なくてもいいから、
特に10月6日(水)は、「アテネをミテネ!」ならぬ、「お茶の水のアテネに、絶対キテネ!」
▼バグダッド発 休日の収穫(04年3月24日)
3月23日、こちらで休日を設けた。
2月10日にイラクに入って以来、毎日バタバタ動いてきたけど、
その日は丸一日休みにした。
こちらに入って一ヶ月を過ぎたあたりから、だんだん身体が重くなってきたので、
ちょうどいい休日になった。
その日は昼頃まで寝て、後は部屋で原稿を書いたりしていた。
泊まっているホテルにはちゃんとインターネットカフェがあるので、
自分のパソコンをLANケーブルでつないで使える。30分で一ドルの料金だ。
久しぶりに日本の新聞やら雑誌やら、個人HPからいろんなサイトを2時間ほど見ていた。
その中でとても示唆に富む文章が掲載されていたサイトがあったのでご紹介する。
太田昌国さんと是枝裕和さんのサイトだ。
太田さんはこれまで何度か直接お会いしたことがある。
以前この欄でも触れた
「『拉致』異論〜あふれ出る『日本人の物語』から離れて」(太田昌国著 太田出版)
の著者だ。96年のペルー日本大使公邸人質事件のときに、
いろんな媒体を通じて発言されていたのでご存知の方も多いと思う。
是枝裕和さんは、ご存知の通り「ワンダフルライフ」や「DISTANCE」の映画監督として、
そして以前は(いまもかな?)、ドキュメンタリー番組のディレクターとして、
90年代の「NONFIX」(フジテレビ系列)などの番組で優れた作品を取材・制作されてきた。
直接お話したことはないが、映画上映後のトークでお見かけしたことは何度かある。
その映像表現も奥深いが、活字の方も鋭い感覚が発揮されている。
同名の映画製作と同時進行でつづられた「DISTANCE」
(出版社は、「スイッチパブリッシング」だったと思います)は、
これまで2回ぐらい最初から最後まで読み通した記憶がある。
さて、自衛隊がイラクのサマワに来て、はや2ヶ月が過ぎた。
日本でいま自衛隊がどのように報道されているのか、
2月末ごろに知り合いの雑誌編集者から以下のようなメールが届いた。
『一時の「イラク反対!」ムードから一転、
あっという間に「ああ、イラクに行ったのね」のような
ムードに日本はなっています。
日本人って私も人のことは言えませんが、
のど元過ぎれば熱さ忘れてしまうんですよね。
怖い話です。
最近は、ニュースでもほとんど自衛隊やイラクの話は
出てきません。
通ってしまったら、もう知らないっという雰囲気は
小泉の思い通りの展開だとしか思えませんが』
うーん、確かに。これはいかん。ワシも人のことは言えん。
こちらで休日を取っている場合ではない。
太田さんと是枝さんのサイトを見て、
もう一度立ち止まって、考えてみなければならない。
それらのサイトに書いてあることと、
僕の意見や視点が必ずしもすべて一致するわけではありませんが、
以下極めて重要な指摘が掲載されていると思います。
バグダッドの休日での、貴重な収穫でした。
■太田昌国(現代企画室)さんのHP「状況20〜21」から
「言葉が死んだ時代に」
「壊れゆく言葉」
「連載〈表現〉を喰らう 第一回」
■是枝裕和さんのHPから
「でも結局殺すんだよね」
「言行不一致」
▼あのフセイン像は、結局サダム・フセインでした。(04年1月3日)
本当はどうでもいいことなんだけど、結構たくさんの人が「思い込んでいる」ようなので、書いておきます。
年末の「ロフト・プラスワン」での雑誌「創」主催のトークイベントでは、すでに暴露しましたが、
去年4月9日に米軍がバグダッドを制圧して、広場で米軍の装甲車に倒されたあのフセイン像がありますよね。
03年4月9日午後、引き倒される直前のフセイン像と米軍の装甲車
あれが「フセインではなく、前の大統領のバクルだ」という噂とデマが、なぜか日本だけで流れているのです。
雑誌「創」の03年6月号でも、大川興業の大川氏が「あれはバクル」という記事を書いています。
ほかにも当時イラクを取材していた人までが、結構確信をもって言っているようでした。
僕は去年の「論座」10月号では、あのフセイン像倒しに関わった人たちの証言をもとに原稿を書きました。
しかし講演の会場などで、「綿井さん、そもそもあれはフセインじゃなくて、バクルだって聞いたんですけど」
と何人かの人から聞かれました。しかも、私が否定してもあまり信じてもらえなかったりしました。
となると、こうした噂やデマを打ち消すには、やはり「当事者取材」ですね。
昨年12月2日に、あの像を作った著名な彫刻家H氏にバグダッドで取材してきました。
で、結局サダム・フセイン本人の銅像でした。
彼は去年の4月29日のフセインの誕生日に合わせて、4ヶ月間かけてあの像を完成させたそうです。
彼はこれまでに様々な彫刻や銅像を作ってきましたが、フセインの銅像は二つだけです。
一つは以前の大統領宮殿の門の前にあった像、もう一つがあのフィルドス広場にあった像です。
そのどちらも破壊されて、もちろんいまはありません。
彼はフセインから可愛がられた人物で、いまでもサダム・フセインに対してはあまり多くを語りませんでした。
「あのフセイン像は私の芸術作品だ。芸術は芸術。政治とは関係がない」と話しています。
H氏(左端写真の人物)がこれまで作った数々の銅像。写真中央(右手を上げている像)が、完成直前のあのフセイン像。
ほかにも、バグダッド市内にある芸術専門学校のスタッフやほかの彫刻家の人たちに、あの像の写真を見せて、
いろんな人に聞きましたが、そもそも「あればバクル像」などという噂さえ現地にはありませんでした。
私も日本人の人からは聞いたことはあっても、地元のイラク人からそんな話は聞いたことがありませんでした。
H氏自身も、「そんなこと、これまで言われたこともないし、聞いたことがない」と逆に驚いていました。
ある方からは、「それって、単に日本人の誰かが勝手に作って、日本で流したデマじゃないの」と言われました。
う〜ん、確かにそうです。いろんな聞き込みをしましたが、途中で馬鹿馬鹿しくなってきました。
先日ある報告会の会場で、当時バグダッドで取材していたFさんに会いました。
彼もいままで「あれはバクル」といろんな所で言っていた人なのですが、
実際私が聞いてみると、「あれおかしいな、どこかであれはバクルと聞いたんだけど…」
と言っているだけで、結局「だれかが言っていた」というレベルの話だけです。
「あれがバクル前大統領の像」という根拠は全くありません。
ということで、「あれはバクル」と言っていた皆さん、これ以上変なデマを流すのはご遠慮ください。
あるいは、「いや、そんなはずはない。あれはバクルなんだ。間違いない」と本当に覚悟を決めている方には、
その彫刻家H氏の電話と住所をお知らせしますので、直接確認してみてください。
H氏を取材した映像と原稿は、近々どこかで発表したいと思いますが、
これまでのところ「引き」はありません。確かに、こんな「しょうもない噂」は確認するまでもなかった気がしますが、
噂やデマはほっておくと、どんどん広がって信じ込む人がいますから、
それは早めに食い止めておきたいというのが私の性分です。
イラクという国はフセイン時代もそうですが、いろんな噂やデマがいまも流れやすい社会です。
私もこれまでいろんな噂やデマに振り回されました。
しかし地元の噂よりも、ジャーナリストや日本人が流す間違った情報や噂の方がよほどタチが悪いです。
自戒を込めて言いますが、「ちゃんと確認してから、そして覚悟してから、世間に伝えましょう」
【追加】関連サイトはこちら
▼03年11月10日 「投票よろしくお願いします」
応募したわけでもないのに、なぜか「Web of the Year 2003」(Yahoo! Internet
Guide主催)
に、このHPがノミネートされた。「話題賞」という部門だが、ほかにノミネートされているのが、
「踊る大捜査線」や「阪神タイガース」のサイトだから、「今年話題になったこと」の基準で選ばれているようだ。
「イラク戦争」中は確かにアクセスは増えたが、それでも1000〜2000ぐらい。
今は一日平均100〜200アクセスぐらいなので、とても「話題」になったとは思えないんですが。
まあそれでも、たいして更新もしてなくて、レイアウトも無茶苦茶、文字体裁や段落の変更の仕方さえ、
いまだよくわからないこんなHPでも、度々見てくれる人がいるのはうれしいことです。
視聴率「0・67パーセント」を商品券で稼ぐよりも、
全国(といっては大げさか?)からいただくご意見やご感想のメールの方が励みになります。
いつもありがとうございます。
総選挙は終わりましたが、近くの小学校や公民館まで行かなくてもいいので、
お暇なときにでもこのHPに「投票」していただけると光栄です
(たぶん当たらないと思いますが、「豪華商品」もあります!)。
ただし、高速道路は無料にできませんし、新幹線も引っ張って来れないし、
構造改革もしませんし、マニフェストは特にありません。
で、その「話題賞」のページで僕のHPの紹介を見ると、
「ジャーナリスト」ではなくて「ジャーナリス」になっています(11月10日現在)。
自分では気づかなかったのですが、どうやら僕はリス科の新種小動物のようです。
▼03年10月31日 「読みたい本」
昨日、あわてて出版社に出向いて本を買った。本屋ではない。
近くに大きい本屋がないので、自転車で行ける距離にその出版社があることを知って駆けつけた。
徐京植氏の最新刊「秤にかけてはならない〜日朝問題を考える座標軸」(影書房)だ。
以前、「プリーモ・レーヴィへの旅」(朝日新聞社)のことを書いたが、
レーヴィと徐さんの本を、「自分自身が滅びないように」度々読み返している。
拉致問題も含め、日朝関係を考える上で、いやまず自分自身のことを振り返る意味でも、上記の本は外せない。
「『拉致』異論〜あふれ出る『日本人の物語』から離れて」(太田昌国著 太田出版)もその一つ。
本当に読むべき本は、小さな書店には並べられない、小さな出版社から出されていることが多い。
▼03年9月3日 「A」「A2」
ところで皆さん、オウム真理教のドキュメンタリー映画「A」と「A2」はご覧になりましたでしょうか?
「いまごろ何言ってるんだコイツは?とっくに見たよ」という方には、何も申し上げることはありません。
この映画の存在意義やその面白さは十分知っているはずでしょうから。
しかし、「まだ見ていない」あるいは、「何それ?」という方は、いますぐレンタルビデオ屋「TSUTAYA」に言って探してください。
新宿・紀伊国屋前の「TSUTAYA」では、ビデオもDVDもレンタルされている。
池袋のリブロ書店には、書籍売り場の一角に平積みで置かれていた。
しかし、この映画を撮った監督の森達也さんや他の関係者に聞いても、
どうやら売れ行きはあまり良くないようだ。劇場で映画が公開されたときも、その話題性に反して客足は伸びなかった。
森さんの著書「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」(晶文社)の中にも出てくるのだが、
「とにかく観に来てもらえない。『何でわざわざ金を払ってオウムのドキュメンタリーなんか観なくちゃならないんだよ』
という声を聞いた。被写体は確かにオウムだけど、テーマは今僕らが生きている日本社会そのものなんですと幾ら説明しても、
オウムへの嫌悪が障壁になってしまうのかどうしても伝わらない」
という。
僕は、この映画をどちらも公開直後に「BOX東中野」という映画館で見た。
その「BOX東中野」はこの4月で閉鎖されてしまい、イラク取材から帰ってそのことを知ったときは、少なからずショックを受けた
(9月から映画館の名前が変わって「再開」するようだが、以前上映していたような映画をやってくれるのだろうか?)。
「A」「A2」は確かにオウム真理教を撮った映画だが、この映画を見ても、
「なぜオウムはサリンをまいたのか?」
「なぜ信者たちはいまもオウムにいるのか?」
それらの疑問は絶対に解けない。
監督の森さんもこれまでの著書で、オウム真理教について、
「何もわからないことがわかりました」
「僕にもわからない。知れば知るほどオウムはわからない」
と書いているほどだ。
だが、この二つの映画を通じて「わかる」ことが一つある。
それは、オウムも日本の社会も、そして間違いなく綿井健陽も含めて、さほど「違い」はないということだ。
「たまたまオウムと社会との接点に僕は立った。見渡せば前も後ろも見事に同じ光景だった。」
(「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」から)
「オウムのことなど、もう興味はない」という方こそ、ぜひこの映画を見てください。
オウムはわからなくても、見えなくても、この映画のどこかに、「あなた」が浮かびあがってくるはずです。
監督の森達也さんは以前はテレビのドキュメンタリー番組も制作して、
最近は映像だけでなく、活字の分野でも活躍中だ。
活字版の「A」(角川文庫)、「A2」(現代書館)は、ぜひ映画を見た後に。
そのほかにも、「オウムから見える日本」(全5回連載 「週刊朝日」02年9月20日〜10月18日号)が、
9・11以後の日本や世界状況を考える上でも必読だろう(朝日新聞社に問い合わせて、バックナンバーで入手できます)。
ちなみに、本人が運営・更新しているものとは思えないが、森達也さんの「公式HP」はこちら。
▼03年9月4日 「ニュースステーション」と「阪神優勝」
自分の誕生日はともかく、ずっと覚えている「年月日」って、皆さん一つや二つはあるでしょう。
僕の場合、その一つは「1985年・昭和60年・阪神優勝」です。
普段西暦を使う僕は、西暦何年が昭和何年だったのか、もうすぐには思い出せなくなった。
だから、この「85年・昭和60年」という基準を使って、足し算引き算することにしている。
85年といえば僕は中学2年だった。当時、学校の授業中だったが、
学生服の下にラジオを隠して、イヤホンで日本シリーズの「阪神対西武」を聞いていた。
隠れて聞いているつもりだったが、阪神にホームランや点が入ると、ほかの生徒も皆教室のあちこちで歓声を上げた。
みんな同じようにラジオを聞いていたのだった。
僕は特別な阪神ファンではなかったが、あのときの大阪は確かに21年ぶりの優勝にみんな便乗して沸き返っていた。
それまで、阪神の優勝が見れるのは「ハレー彗星の76年周期と同じ」と言われていた時代だったからなあ。
そして、その年にテレビ朝日系列で「ニュースステーション」(Nステ)が始まった。
いま僕は普段、毎週や毎日に必ず視るテレビ番組というのが全くない。
雑誌もそうだ。一般の週刊誌で毎週読む雑誌もない。
新聞のテレビ欄や広告欄で見て、何かおもしろそうな特集や企画があれば見るという程度だ。
以前はもう少しマメに見ていたような気がするが、テレビの仕事をするようになってから、逆にテレビを見なくなったような気もする。
それと、「録画してでも必ず見たい」というドキュメンタリー番組枠が本当になくなってしまった。
しかし、強いて言えばNステは確かに番組開始当初からよく見ていたと思う。
その前には、確か当時日本テレビ系列でやっていた「久米宏のテレビスクランブル」という番組もよく見ていた。
あれから18年経った今年、イラク戦争中には本当に毎日Nステの中継でお世話になった。
そのNステの久米さんが来年3月で番組を降板するという。
そして、奇しくも今シーズンは阪神が18年ぶりの優勝を迎えることになる。
ニュースステーションは久米さんがキャスターをやっているということが間違いなく看板だったが、
久米さんが番組を直接作っていたわけではなかった。
お店でいえば、いつも必ず店の前には久米さんが座って売っていたが、そのお店で売っている品物や料理は、
客からは見えない店の奥の厨房でスタッフが淡々と仕込んでいたということだ。
テレビ番組というのは、すべて共同作業にほかならない。
ニュースステーションを実際に制作しているのは、
テレビ朝日の社員やオフィストゥーワンを始めとする番組制作プロダクションの様々なスタッフだ。
その企画や映像に、久米さんはまた独自に「味付け」して視聴者に見せていたと思う。
「ニュースステーション」という番組名が、来年4月以降も続くかどうかはまだわからない。消える可能性も十分あるだろう。
番組名が来年からどうなるかはともかく、その内容や姿勢がどう変わるのかは非常に気になるところだ。
一視聴者としてはもちろんだが、何より私にとっては自分の取材成果の「発表媒体」であるのだから。
いまテレビはただでさえ、まともな報道番組やドキュメンタリー番組が減って、情報番組、「感動番組」ばかり。
しかし、実際の世の中は「プロジェクトX」みたいな「安物定型安心」感動物語で動いていない。
山田花子はお笑い的には個人的にめちゃ好きだが、
「24時間テレビ」でマラソン走らせるような「意味のない感動」はもういいだろう。
しかし、その視聴率がまた高いというのだから、手に負えない。
どこも感動の大安売りばかりで、もうさすがに僕は「感動アレルギー」のじんましん症状が全身にできている。
ついでに言えば、
北朝鮮の「美女応援団」(民放テレビはなぜこの言い方で統一なんだろう。「女性応援団」でいいと思うが)を、
必死で徹底分析・追及しなくてもよい。それをしても北朝鮮で暮らす人たちの姿は絶対に見えてこない。
あの応援団をずっと追い回して取材していた人たちは、「美女応援団」のストーカーみたいなものだと思ったが、
取材している人たちは、何か「虚しさ」を感じたりしないのだろうか。
そのテレビ番組を見ている僕は、テレビに対してよりも、自分自身にずっと虚しさを感じていた。
まあテレビの番組というのは、いつか必ず終わる。
「徹子の部屋」は、黒柳徹子さんが亡くなられると必ず終わるのだ。
まだ元気そうなので、当分大丈夫だと思うが。