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問題目次

<英訳>

(45)「〜するのは難しい」





(45)現代の社会に飛行機がなければ、私たちが外国を旅行するのは非常に難しいだろう。

◆「飛行機がない」という仮定は、非現実の仮定なので仮定法を使う必要がある。

◆「現代の社会」:"modern society"
「現代の社会」のように人間全体を考えた場合の "society" は不可算名詞。共通の文化・利害を考えた場合の特定の社会は可算名詞。

◆「外国を旅行する」:"travel abroad (or overseas)"、"travel to other (or foreign) countries (or another country)"、→「外国へ行く」:"go abroad (or overseas)"、"go to other (or foreign) countries (or another country)"
"to a foreign country" は「(特定の)ある外国」に解釈される恐れがあるので、避けたほうがよい。(複数主語と目的語の数に関しては → 冠詞に関する覚え書 (26) の最下段「ゾウは鼻が長い」を参照。さらに詳しくは 冠詞に関する覚え書 (16) を参照)


【英訳例1】
If there were no plane(s) in modern society, it would be very difficult for us to travel (or go) abroad (or overseas).
【英訳例2】
Without airplanes in modern society, it would be very hard for us to go (or travel) to other (or foreign) countries (or another country).


◆ "society, community, world"
society
1)「社会、世間の人々」(不可算名詞として通例無冠詞で用いる。人間を全体としてとらえた社会、世間の人々)
2)「(共通の文化・利害を有する)社会、共同体」(共通の文化・利害を有する社会、共同体 (community))
community
1)「地域社会」
2)「社会(集団)、共同体」(通例定冠詞と使う。利害・職業・宗教・国籍などを同じくする社会(集団)、共同体)
world:「世の中、世間、社会」(定冠詞と使う)

◆ "no 単数形" か "no 複数形" か
名詞が不可算名詞の場合や「1か0か」を意識している場合、言い換えれば、複数を意識していない場合は "no 単数形"。それ以外の場合は、同様の文脈において意味が肯定のときに、当該の名詞が「単数形」、「複数形」のいずれが意識されやすいかで決まる。どちらとも言えないような場合は、微妙であるが、具体的な状況や、具体的な場面をイメージしやすい文脈では複数形が、そうでない場合(抽象的なイメージが勝っている場合)には単数形が用いられる傾向にある。どちらかと言えば、日常的な文脈ほど複数形が用いられやすく、日常的な文脈で単数形を用いると「1つもない」という強調的な意味に解釈されやすくなる。

【例】
I have no information.(情報を持っていない)(不可算名詞)
The dog has no tail.(その犬には尻尾がない)(普通、犬に複数の尻尾があるとは意識しない)
The tree has no leaves.(その木には葉がない)(木には複数の葉があるのが普通)
I have no ticket.(私はチケットを持っていない)(単数の I に対応)
We have no tickets.(私たちはチケットを持っていない)(複数の We に対応)
There was no ticket in the pocket.(ポケットの中にチケットはなかった)(単数のチケットの有無が意識されている文脈だと考えられる)
There were no tickets left for that concert.(そのコンサートのチケットは残っていなかった)(漠然とチケットの有無が意識されている文脈であると考えられる)

◇ 単数形と複数形の否定以外の微妙な例:
I had a scrambled egg for breakfast.(朝食にスクランブルエッグを食べた)(1個分のスクランブルエッグを食べたと述べている感じ)
I had scrambled egg for breakfast.(同上)(数量を意識せず、他のものではなく、あるいは他のものに対比して、スクランブルエッグを食べたということを述べている感じ。多少抽象的な感触を伴う)
I had scrambled eggs for breakfast.(同上)(特に何も意識せずに普通にスクランブルエッグを食べたことを述べている感じ。具体的な感触を伴う)

"egg white(s)(卵の白身), mashed potato(es)(マッシュポテト), minced onion(s)(みじん切りのタマネギ)" などもほぼ同様である。"sliced tomato(es)(スライストマト), sliced onion(s)(スライスオニオン)" のように形が明確になると、"a sliced tomato" は「1枚の、1切れの」という意味か「1個分の」という意味なのか曖昧になる(「1個分の」のことが多い)。より明確にするには「トマト1切れ」の場合には "a slice of tomato" や "a tomato slice" を使い、一方「1個分のスライスしたトマト」の場合には数詞の "one" を使って "one sliced tomato" とすると、"a" の場合よりも「1個分」であることが強調される("one sliced tomato" は、状況から明らかな場合を除き「スライスしたトマト1切れ」の意味では使わない)。さらに "one tomato, sliced" のような表現にすると「1個分」であることがはっきりする。"slices of a tomato(1個分のスライスしたトマト)" は「トマトの数枚のスライス」である。さらに「50g のスライストマト」のように量を表す場合は "50g (of) sliced tomato(es)" のように単複が可能であり("of" はない方が普通)、形状が明確に意識されやすいほど、複数形が用いられる傾向にある。つまり、単数と複数の違いは、微妙であるとは言え、概ね、抽象性・具体性の感触と、形状の意識しやすさの相違とに帰せられる(可算名詞と不可算名詞については 冠詞に関する覚え書 (32) も参照)。


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