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<英訳>(57)「〜は言うまでもなく」 |
(57)彼に腹が立ったが、それ以上に彼の言うことを信じた自分自身に腹が立った。
◆「彼に腹が立つ」:"be angry with (at) him"、"be annoyed (or irritated, displeased) with him"、"be offended at him"
前置詞については 前置詞について (13) を参照。
◆「彼の言うことを信じる」:"believe him (or what he says)"
「人=人の言葉」については (1) の「A の言うことを聞く」の説明を参照。
◆「A を信じた自分自身に腹が立つ」→「A を信じたことで自分自身に腹が立つ」:"be angry (or annoyed) with oneself for having believed A"
"be angry (or annoyed) with A (人) for B (事柄)" で「B のことで A に腹を立てている」という意味。(→感情の原因を表す at [25] も参照。また、この "for" は 前置詞について (7) で説明している "for" と同様のもの)
形容詞(句・節)で人称代名詞を修飾することは、原則としてできない。"oneself" も同様。
× a tall he(背の高い彼)
× it of importance(重要なそれ)
× she kind to us(私たちに親切な彼女)
× I living in Japan(日本に住んでいる私)
× myself who believe …(…を信じる私自身)
【英訳例1】
I was angry with (or at) him, and even more with myself for having believed him.
【英訳例2】
I was annoyed (or irritated) with him, and still more with myself for having believed what he said.
◆「形容詞節が人称代名詞を修飾できる場合」
人称代名詞、つまり、"I, we, you, he, she, it, they" は、形容詞・形容詞句・形容詞節で修飾することはできない。例えば、「もう1つのそれ」を "another it" とか、「プール付きのそれ」を "it with a swimming pool" のように表現することは原則としてできない。これは、人称代名詞が非常に軽く、形容詞的なもので修飾したくなるような強い表現・重い表現には適していないからであり(もう少し正確に言えば、人称代名詞は厳密な同一性を示し、先行する名詞全体を受ける語なので、同一物との対比を表す修飾語句を伴うことはなく)、形容詞的な語句による修飾を受けるには、当然それなりの重い名詞である普通名詞(時に "something, nothing" などの不定代名詞や意味は同一であるが別の個体を表すために使える (the) one(s))を使う必要がある。例外は、強調構文と関係詞の非制限的用法(継続用法)の場合であるが、非制限的用法の例は、ほとんど見られないので使うべきでない(使われているのは経典など宗教的な文章あるいは詩が多い)。
○ It is you who propose this.(強調構文)(これを提案しているのはあなただ)
○ It is me who needs your help.(強調構文)(あなたの助けを必要としているのは私だ)
なお、日本語の「私、あなた、彼」といった名詞は、英語の場合と異なり、普通名詞と同じ重さ(例えば、「彼」は "man, guy, boyfriend" などと同じ重み)で使われている。
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