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目次

<冠詞に関する覚え書>
指示力なき指示詞としての定冠詞:間接規定

第2話 概説および身体の部位



= 覚え書(2) =

定冠詞の基本的特徴

 まず、定冠詞の基本的特徴と分類についてもう一度整理しておきます。

基本的特徴:
 定冠詞の次に置かれた名詞の表す概念が、話し手と聞き手の両者にとって、何らかの意味において既知と前提されてよろしい、ということを暗示する。定冠詞を伴う名詞は、穏やかに達意(情報の伝達)の主局(主要な部分)に立つか、あるいは穏やかに達意の傍局(主要でない部分)に退くかのいずれかである。

区別:
(T)指示力なき指示詞としての定冠詞:
「どの…?、どれ?、どちら?」という問いに答えているという点で既知であると前提されてよろしい、ということを暗示する場合、言い換えれば、そのときの前後関係から見て、同種のものの中から聞き手がすぐに認知できる、ある特定のものを指し示す場合の定冠詞。これは、(説明の便宜上)次の2つに分類することができる。 (1)間接的に規定される場合の定冠詞
(2)直接的に規定される場合の定冠詞
(U)通念の定冠詞:
何ら詳しい規定も必要とせず、単にその言葉によって、その指し示す概念が十分明らかに既知であると前提されてよろしい、ということを暗示する場合の定冠詞
(V)形式的定冠詞(温存定冠詞):
「指示力なき指示詞としての定冠詞」と「通念の定冠詞」が、何らかの意味で形式化し、伝統化し、本来の意味を失い、熟語化し、成句化した定冠詞

間接的に規定される場合の定冠詞

 今回は、上記(T)「指示力なき指示詞としての定冠詞」のうち、(1)「間接的に規定される場合の定冠詞」を中心に述べます。これは、さらに次のように分類できます。

(A)前に出た名詞を指す(あるいは受ける)場合

(1)Once there was an old man. The old man had three sons.(昔、ある老人がいた。その老人には三人の息子がいた)『講談社英和辞典』
(2)Here's a glass, some water and three coins. I pour the water into the glass, then drop the coins one by one into the water.(ここにグラスが1個と水と硬貨が3枚ある。水をグラスに入れ、それからその水の中へ1枚ずつ硬貨を落とす)『ジーニアス英和辞典』

いずれも、the があることによって、「どの〜」のことを言っているのかが分かります。

(B)前に出た名詞や事柄に関連するものを指す(あるいは受ける)場合

(3)He built a house and painted the roof red.(彼は家を建て、屋根を赤く塗った)『講談社英和辞典』
(4)We visited a high school last week. When we reached the gate we saw a lot of students coming out.(我々は先週ある高校を訪問した。門のところに着くとたくさんの生徒が出てくるのが見えた)『ロイヤル英文法』(旺文社)
(5)I've been sitting for my portrait for the last six months, but the artist hasn't finished it yet.(もう半年も肖像画を描いてもらっているのですが、画家はまだ終わらないんです)『英文法解説』(金子書房)
(6)His car struck a telegraph pole; you can still see the mark on the pole.(彼の車は電柱にぶつかった。その跡が電柱にまだある)『ジーニアス英和辞典』
(7)When the wax has dried, wipe off the excess with a dry towel.(ワックスが乾いたら、 乾いたタオルで余分なワックスをふき取りなさい)『新編英和活用大辞典』
(8)We're going to have a Pen Pal Club. The idea was suggested by our teacher.(ペンパル・クラブを作る予定です。その案は先生が出しました)『英文法解説』(金子書房)

それぞれ、「家」と「屋根」、「高校」と「門」、「肖像画」と「画家」、「車の衝突」と「跡」、「ワックス」と「余分」、「ペンパル・クラブを作ること」と「案」 が関連しています。前に出た名詞や事柄と、それと関連する名詞の間に、「誰にでも速やかに、簡単に連想できるような密接で自然な関連性」があり、「どの〜か」を表す場合、この the を使うことができます。「家」という言葉をまず使い、「その家の屋根」のことを述べたいとき、わざわざ "the roof of the house" あるいは "its roof" としなくても、"the roof" だけでそれが分かる、ということです。

 和訳する場合、「指示力なき指示詞としての定冠詞」は、「その」、「この」、「あの」などと訳す必要があるとき、訳した方が良いとき、訳さない方が良いとき、訳すと不自然なときがありますが、状況に応じて、常識の範囲内で適切な日本語にする必要があります。「その、この」といえば、指示形容詞の that, this が思い浮かびますが、こちらは「指示力のある指示詞」であり、例えば、"this book" と言った場合、「はっきりとどの本かを指し示す」ために "this" が使われています。一方、the は「指示力のない指示詞」であり、"the book" と言えば、「指すともなく指している」、「指すと言うよりはむしろ受けている」ということになります。日本語には「指示力のある指示詞」である「その、この」はありますが、「指示力のない指示詞」も「通念を表す指示詞」もありませんから、「その、この」と訳すか、あるいは全く訳さないか、のいずれかの方法を採らざるを得ません。別の方向から述べると、the には this, that に近い場合と、遠い場合がある、と考えられるわけで、近ければ「その、この」と訳し、遠ければ訳さない、ということになります。

 ドイツ語には、前置詞と冠詞の融合形があり、指示形容詞に近いか遠いかということがはっきり区別される場合や、その違いをはっきり区別しなければならない場合があります。
dreimal an dem Tag:その日に三回 dreimal am Tag:一日に三回
in dem Regen:その雨の中で im Regen:雨の中で

 そこで、次の文をご覧下さい。

(9)A man was wearing an overcoat. The man stepped into the car.(ある男がオーバーコートを着ていた。その男は車に乗り込んだ)『現代英文法辞典』(三省堂)
(10)A man was wearing an overcoat. A man stepped into the car.(ある男がオーバーコートを着ていた。もう一人の男が車に乗り込んだ)(同上)
(11) John ordered a book and the book has just arrived.(ジョンはある本を注文したが、その本がちょうど届いた)(同上)
(12)John ordered a book and a book has just arrived.(ジョンはある本を注文し、別のある本がちょうど届いた)(同上)

(9)と(11)は「指示力なき指示詞としての定冠詞」であり、前に出た "a man", "a book" を指していますが、(10)と(12)は、それぞれ別の「男」と「本」を指していると考えられます。

不定冠詞との比較

 さらに次の文です。

(13)Everybody makes a short speech. You must make a short one (or speech), too.(みんな短い話をする。君も短い話をしなければならない)『ロイヤル英文法』
(14)An adult can learn a foreign language, but it is usually easier for a child to learn it than for an adult.(大人が外国語を習得することは可能だが、大人よりも子供の方が普通それを習得するのが容易である)(同上)

(13)の "a short one" を "the short one" にすると、前にある "a short speech" を指して、「誰もがする短い話と同じ内容の短い話」(この意味の場合、「誰もが同じ短い話」をすることになるので、実際の状況としてはかなり不自然)という意味か、あるいは、そのときの状況から分かる「その短い話」(例えば、話し手が短い話を既に用意していて、「君はこの短い話をするんだよ」というような場合)という意味か、いずれかを表すことになります。いずれにしろ、the を使うと具体的に「どの短い話」なのか、を表します。一方、(14)の最後の "an adult" を "the adult" にするのはちょっと無理です。"an adult" の不定冠詞は、いわゆる総称を表し「大人というもの」、あるいは any に少し近づき、「どの大人も」を表します。この不定冠詞は、類(ここなら「大人」)の代表として、ある1つのものを取り上げて、その類が持つ性質、特徴、特有性を述べようとする場合に用いられます(関口氏はこれを「素朴個称概念の不定冠詞」と呼んでいます)。文頭の "an adult" も文中の "a child" も同じです。この不定冠詞は、状況によっては「通念の定冠詞」に非常に接近しますが、詳しくは、いずれ、「通念の定冠詞」と一緒に説明する予定です。

身体の部位

 さて、「誰にでも速やかに、簡単に連想できるような密接で自然な関連性があり、どの〜かを表す場合、the を使うことができる」という規則は、単文以外の場合には確かに当てはまります。では、単文の場合はどうでしょうか。そこで、今度は、単文の中に現れる「前に出た名詞とそれに関連するもの」について考察しなければなりません。まず、「人」と「身体の諸部分」が含まれる場合です。いろいろな表現を挙げてみましょう。
 まず、「A の B をつかむ」という表現です。これには、普通、つかむ対象を表す by が現れます。

catch him by the arm ≒ catch his arm:彼の腕をつかむ
grab him by the hand ≒ grab his hand:彼の手を不意につかむ
grasp him by the wrist ≒ grasp his wrist:彼の手首をつかむ
hold him by the hand ≒ hold his hand:彼の手をつかんでいる
seize him by the hair ≒ seize his hair:彼の髪の毛をぐいとつかむ
shake him by the shoulder ≒ shake his shoulder:彼の肩をゆさぶる
take him by the hand ≒ take his hand:彼の手をつかむ

 次に、「A の B を引っ張る」です。これにも、つかむ対象を表す by が用いられます。

lead him by the hand:彼の手を引く
pluck him by the arm ≒ pluck his arm:彼の腕を引っ張る
pull him by the ear ≒ pull his ear:彼の耳を引っ張る
tug him along by the arm:彼の手を取って引っぱり回す

 次に、「A の B をたたく」という表現です。接触の on と、「中へ沈み込む、入り込む」という感触を伴う in、または範囲を表す in が現れます。

beat him on the head ≒ beat his head:彼の頭をたたく
clap him on the back:彼の背中をポンとたたく
crack him on the head:彼の頭をピシャリとたたく
hit him on the head:彼の頭をたたく
pat him on the cheek ≒ pat his cheek:彼のほおを軽くたたく
slap him in (or on) the face ≒ slap his face:彼の顔をピシャリとたたく
smack him on the arm ≒ smack his arm:彼の腕をピシャリとたたく
smash him on the nose:彼の鼻を殴る
strike him on the chin ≒ strike his chin:彼のあごをなぐる
tap him on the shoulder ≒ tap his shoulder:彼の肩をたたく
dig (or poke, nudge) him in the ribs:ひじで彼のわき腹をつつく(こっけいなことや冗談を人に教えるときなどのしぐさ)

 さらに、「A の B を見る」です。

gaze him in the face:彼の顔をじっと見入る
(can't) look him in the eye(s):(通例否定文で) 彼の目をまともに見る(ことができない)
(can't) look him in the face:(通例否定文で) (恥ずかしさややましさなどで)彼の顔をまともに見る(ことができない)
stare him in the face:人の顔をじっと見る
stare him straight in the eyes:彼の目をまっすぐに見つめる

 他には、次のような表現があります。

kiss him on the mouth ≒ kiss his mouth:彼の口にキスする
peck him on the cheek ≒ peck his cheek:彼のほおに軽くキスをする
touch him on the shoulder ≒ touch his shoulder:彼の肩をさわる
push him in the back ≒ push his back:彼の背中を押す
kick him in the shin ≒ kick his shin:彼のすねをける
nip him on the arm:彼の腕をつねる
nip him on the leg ≒ nip his leg:彼の脚をかむ
bite him on (or in) the hand ≒ bite his hand:彼の手に噛みつく
stab him in the back ≒ stab his back:彼の背中を刺す
stick him in the chest ≒ stick his chest:彼の胸を刺す
sting him on the head ≒ sting his head:彼の頭をちくりと刺す
shoot him in the head:彼の頭を撃つ
shoot him through the head:彼の頭を撃ち抜く
slash him on the hand:彼の手を切る

着衣の部分

 以上は、「人」と「身体の部分」の例ですが、「人」と「着衣の部分」の場合があります。

catch him by the sleeve ≒ catch his sleeve:彼のそでをつかまえる
catch him by the seat:彼のズボンの尻の部分をつかむ
catch him by the belt buckle:彼のベルトのバックルをつかむ
grab him by (or in) the collar:(けんかで)彼の胸ぐらをつかむ
grasp him by the collar:彼の胸ぐらをつかむ
grasp him by the lapels:彼の背広のえりをつかむ
hold him by the sleeve ≒ hold his sleeve:彼のそでをつかんでいる
pluck him by the sleeve ≒ pluck his sleeve:彼のそでを引っ張る
pull him by the collar ≒ pull his collar:彼のえりを引っ張る

「着衣の部分」については、上記のように用いることができるわけですが、「着衣それ自体」の場合は、少し不自然になると考えられます。『A Comprehensive Grammar of the English Language』(Longman)では、"seize someone by the collar (or beard)"(人のえり(ひげ)をつかむ)などの例を挙げながら、"seize someone by the jacket"(人の上着をつかむ)という表現には?を付しています。

「one's 身体の部位・着衣の部分」との比較

 これらの「人の身体の部分・着衣の部分」は、"catch him by the arm ≒ catch his arm" のように "人 by the 部分" と "人's 部分" の2つの表現が可能な場合が多いのですが、この違いは、前者が「人そのもの」に焦点があるのに対して、後者は「部分」に焦点があるということです。例えば『ジーニアス英和辞典』では "catch him by the arm" は、"「人」に焦点があり、その人の体を支えたことを含意"、"catch his arm" は、"「腕」に焦点があり、体全体に波及しないことが多い。従って、相手の腕をつかむことによってその人の動きを止めたり、支えたりすることが含意される文脈では、通例前者のみ可能"、と説明しています。また、"take A by the hand" と "take A's hand" の違いについて、"前者は「手をとってある場所へ連れて行く」を意味する場合もある" と説明しています。このような違いはさらに、"人 by the 部分" の形には、「人に対する親愛感・嫌悪感など感情的な色彩が伴う場合」、"人's 部分" の形には、「そのような感情的な色彩を伴わない、事務的な行為を表す場合」に適する、といった違いとして現れることがあります。例えば、

(15)He kissed the girl on the forehead.(彼は少女の額にキスをした)
(16)The guest kissed the Queen's hand.(客は女王の手にキスをした)
(17)× The guest kissed the Queen on the hand.(客は女王の手にキスをした)

(16)の「客の女王に対するキス」は儀礼上のキスですから、これを(17)のような表現にすると、ちょっと妙な不穏な(?)雰囲気が漂ってしまい、不適切です。

(18)She looked me in the eyes and told me the whole story.(彼女は私の目を見て、話をすべて語った)
(19)× She looked in (or into) my eyes and told me the whole story.(彼女は私の目をのぞき込んで、話をすべて語った)

これも同様で、(18)には「私に対する何らかの感情」(例えば、ウソじゃないんですよ、と「私」に訴えかける気持)が感じられるわけですが、(19)は、まるで医師が「眼の診察をしている」ような感じになってしまって、不適切です。なお、look は元来自動詞ですから、"look my eyes" とは言えません。

  "catch him by the arm" のような表現は、"catch him by his arm" のように "人 by one's 部分" の形で現れることもありますが、これを『ジーニアス英和辞典』などでは「非標準」としています。また、『A Comprehensive Grammar of the English Language』(Longman)では、"possible"(可能)だが "unidiomatic"(慣用語法ではない)となっており、次のような文が示されています。

I shook him by his hand.(私は彼と握手をした)
He kissed her on her cheek.(彼は彼女のほおにキスをした)
She patted him on his shoulder.(彼女は彼の肩を軽くたたいた)

このような表現は、俗っぽい、洗練されていない、多少古びている、あるいは卑近である、といった感じがするように思います。

人以外のケース

 さらに、「人」以外のケースもありますが、あまり一般的ではないようです。「人」の場合には、"人 前置詞 the 部位" という形で「何らかの感情」が含まれることがあるわけですが、「物」の場合にはそのような感情が含まれにくく、もっと簡単で素朴で即物的な表現が選ばれることが多いからだと考えられます(例えば、「刀を取る」なら、簡単に "take up a sword" )。「動物」はその中間という感じだと思います。

hold a sheep by the horn:ヒツジの角をつかむ
hold a wineglass by the stem:ワイングラスの脚をつかむ
hold one's sword by the hilt:刀の柄を握る
catch a sword up by the handle:つかを握って刀を拾う

定冠詞を使わないケース

 この "人 前置詞 the 身体の部分" という形はどのような動詞の場合に可能なのか、という問題があります。例えば、次のような表現は可能ではありません。

× I broke him on the leg.(私は彼の脚を折った)
× I shattered him on the leg.(私は彼の脚を砕いた)
× I bent him on the leg.(私は彼の脚を曲げた)(以上『現代英文法辞典』(三省堂))

"人 前置詞 the 身体の部分" が可能な動詞は、「身体の部位に表面的に接触する、接触してつかむ、接触して中へ入り込む」ような動作を表しています。「見る」場合は、「視線」が接触して入り込んでいくイメージです。しかし、"break, shatter, bend" など、破壊したり、変形させるような動作を表す動詞は、この形で使うことはできません。次のように表現する必要があります。

I broke his leg.(私は彼の脚を折った)
I bent his leg.(私は彼の脚を曲げた)
I shattered his leg.(私は彼の脚を砕いた)

 さらに、次の表現も不可です。

× step (or tread) him on the toes(彼のつま先を踏む;彼を怒らせる)

これは、"step 人" という形がそもそも不可だからです。"step (or tread) on his toes" とする必要があります。なお、"look (or stare, gaze) 人" も同じように不可ですが、"look (or stare, gaze) 人 in the face (or eye, eyes)" では可能となります。この表現に含まれる「人」は、本来 "dative case"(与格 = 間接目的語)であり、古くは所属、つまり「人の」を表す用法がありました。ちなみにドイツ語で「彼の目を見る」は、"ihm ins Auge (or in die Augen) sehen" が普通であり、3格(与格)の "ihm" を使います。ドイツ語では、目的語として3格の名詞だけを要求する動詞は、自動詞として扱います。つまり、"look" も通例自動詞ですが、「人」を目的語にとるこの表現はよく用いられるために、古い表現がそのまま残っているようです。

 さて、「冠詞」に目を向けた場合、問題は、"人 前置詞 the 身体の部分・着衣の部分" の the は果たしてどういう理由で用いられているのか、ということなのです。実はここからがなかなか微妙でやっかいなのですが、次回、これらに類似した表現をさらに挙げながら、この the を検討しようかと考えています。

不定冠詞と無冠詞の基本的特徴

 定冠詞の特徴だけを挙げておくのも中途半端ですから、最後に不定冠詞と無冠詞の基本的特徴も挙げておきます。

不定冠詞の基本的特徴:
 不定冠詞の次に置かれた名詞の表す概念が、話し手と聞き手のどちらか一方またはその両者にとって、なんらかの意味において、未知と前提されてよろしい、ということを暗示し、ともすれば「どんな…?、どのような…?」という問いに答える形容詞を要求する傾向にある。具体的に「(ある、ある種の、何らかの)…」を表す場合と、一般的概念(総称)として「…(というもの)」を表す場合がある。不定冠詞を伴う名詞(あるいは形容詞)は、多くの場合、達意の主局に立って、かなり目立つのが特徴である。

無冠詞の基本的特徴:
 無冠詞の名詞は、引用符に囲まれているかのようなその鋭い唐突性によって、鋭く浮かび上がって達意の主局に立つか、あるいは達意の傍局に退き去ってその名詞性を喪失するかである(時にその両方を合わせ持つこともある)。


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