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<英語 その他>

第3話 yet ・ still ・ already について



◎ yet という語と still, already との関係について

 yet という単語を理解する鍵は2つです。まず1つは、「変化、発生」に強く意識が向いているときに使われるということです。分かりやすく言えば、「すでに起こったはずだ、もう変わっているにちがいない」あるいは「もう起こるぞ、今に変わるぞ」という気持が含まれるのです。もう1つの鍵は、「変化、発生」が実際に起こったことを確認しておらず、断定していないときに用いられるということです。つまり、「もう起こったのかな、もう起こったはずなんだが」あるいは「もう起こるだろう、もう起こってもいいのだが」という気持が感じられます。

yet の重要な意味(1):「まだ(〜ない)」、「今のところ(〜ない)」

 「変化、発生」が起こったのかどうか不確定な状況が、否定される場合です。
It isn't dark yet.(まだ暗くなっていない) この文は、「もう暗くなっているだろう」という思いが、状況に応じて、強く、あるいはかすかにあるわけですが、その思いが否定されているわけです。後方にある要素を否定する not は、「もう暗い(= dark yet)」という表現よりも前に位置する必要があります。

yet の重要な意味(2):「もう(〜したか)」、「この時点までに(〜したか)」

 これは、「変化、発生」が起こったことが未確認であるので、それを確かめたいと思っている場合です。つまり、疑問文で使われる場合です。
Has he arrived yet?(彼はもう着きましたか) 「彼が到着する」という事柄が生じると考えていて、それを確認するために尋ねているわけです。

yet の重要な意味(3):(助動詞と共に、未来を予測する文で)やがて、そのうち

 「起こる」という意識はあるのですが、まだ起こっていません。最初に述べた未確認・非断定という意味合いは、やはり含まれています。
She will come yet.(彼女はやがて来るだろう)

yet の重要な意味(4):(肯定文で)まだ、今なお

 これは still とほぼ同じ意味ですが、堅苦しい表現になります。最初に述べた「変化、発生」の未確認・非断定という yet の本質的な意味が薄れてしまった場合です。しかし、「もう待つのをやめるだろう」という話者の気持が感じられます。
He is waiting yet.(彼はまだ待っている)

yet の重要な意味(5):それにもかかわらず

 これは、前回の still の場合と同じです。「もう起こる(起こった)と予想しているにもかかわらず、まだ起こらない(起こっていない)」、あるいは「もう起こる(起こった)と予想しているのだが、はっきりしない」という意識から、逆接を表す用法が生じたと考えられます。and yet, but yet の形でよく使われます。
He was an ugly man, and yet she loved him.(彼は醜い男であったが、それにもかかわらず彼女は彼を愛していた)(新グローバル英和辞典より)

yet の重要な意味(6):(比較級や another と共に)さらに、一層

 これも still と同じです。「それにもかかわらず、さらに一層」ということです。
This is a yet more difficult problem.(これはさらに難しい問題だ)

yet を含む重要な熟語:
(A)have yet to do = be yet to do = remain to do:まだ〜していない
He has yet to be found.(彼はまだ見つかっていない) (B)as yet:まだ、今のところ(〜でない)
We have heard nothing as yet.(今のところ何も聞いていない)


 最後に、yet, still, already を使った文を比較しておきます。その前に、この3語について確認しておきましょう。still は「状態・継続」を強く意識しており、その「状態・継続」を確認・断定している場合に使われ、yet は「変化・発生」を強く意識し、その「変化・発生」を確認・断定していない場合に用いられ、already は「変化・発生」を強く意識し、その「変化・発生」を確認・断定している場合に使用されます。

(1) He is still here.(彼はまだここにいます)
(2) He is here yet.(彼は今のところはここにいます)(感情的色彩がある)
(3) He is already here.(彼はもうここに来ています)

yet を使った (2) の文は、yet が持つ「今にいなくなるぞ」という「状態の変化」が意識されているため、それが裏切られた気持、つまり「まだここにいるのか?」という感情的色彩が強く出ます。(3) は already が用いられているので、「発生、変化」を意識しています。つまり、「来る」という動作を意識しているのです。

(4) Is he still here?(彼はまだここにいるのですか)
(5) Is he here yet?(彼はもうここに来ていますか)
(6) Is he already here?(彼はもうここに来ているんですか)(驚きを表す)

still は「状態、継続」に強く意識が向いています。一方、yet は「発生、変化」に意識が向いています。従って、(5) は、「いる」という状態ではなく、「来る」という動作を含んだ訳になります。(6) は (3) の疑問文ですが、「来る」という動作があまりに早く起こったので、本当にもうやって来たのかを確認しているのであり、(5) のような真の疑問ではありません。

(7) He is still not here.(彼は今になってもまだここに来ていません)(強意的)
(8) He is not here yet.(彼はまだここに来ていません)

(7) の逐語的な訳は「ここにいない(= not here)状態がまだ続いている(= is still)」ということで、「状態」が強調されており、その状態が続いていることに対する話し手のいらだちが感じられます。(8) は (5) と同じ感覚で、「来る」という動作が意識されており、「もうすぐ来るだろう」という気持が感じられます。

(9) Is he still not here?(彼はまだここに来ていないのですか)(驚き・当惑;yet を使うより強意的)
(10) Isn't he here yet?(彼はまだここに来ていませんか)
(11) Isn't he here already?(彼はもうここに来ているのでしょうね)(直訳:彼はもうここにいるのではないのですか(当然ここにいますよね))

(9) は (7) と同じです。「ここにいない状態がまだ続いているのですか」というのが逐語的な訳ですが、日本語としてちょっとぎこちないので、上記のように訳しました。「まだここに来ていないのか?」という驚きの気持が感じられます。(10) は (8) と同じ感覚で、「来る」という動作を意識しており、普通の疑問文(時に否定の返答を期待する疑問文)です。(11) は already という「変化、発生」を意識した語を使っているので、「来る」という動作が起こったことを期待した疑問文、つまり肯定の返答を期待した疑問文になります。

 なお、「彼はもうここにはいないのですか」は通例 Has he already gone? であり、(11) の文はこのような意味にはなりません。already(すでに)は is here(ここにいる)という肯定の意味部分に係るのであり、これを isn't here(ここにいない)という否定を表す部分にかけて解釈してはいけません。already が否定を修飾することはありません。逆に否定の not が「すでにここにいる」を修飾して否定疑問文(原則肯定の返答を期待する文)になっており、「すでにここにいるのではないですか(もちろんいますよね)」を意味しています。ちなみに Why aren't you here already? は「なぜまだあなたはここに来ていないのですか(当然来ているべきでしょう)」(直訳は「あなたがすでにここにいるということがなぜ起こっていないのか(当然起こっているべきだ)」)ということであり、「なぜあなたはもうここにいないのですか」という意味ではありません。


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