陸軍レーダー傍目草

要地用超短波警戒機乙(タチ6号)

__遠流の地__
奈良、平安という古い時代、
流刑(るけい)と言う刑罰があって、
その中でも最も重いのが遠流(おんる)。
その遠流の地と電波警戒要地が一致するのです。
電波警戒要地は遠流の地の、そのまた最果ての場所。
遠流の地とは伊豆、安房、佐渡、隠岐、土佐などだったそう!
電波警戒要地はこれ等のほかにもありましたが、何れも同様の場所。
即ち、万事に不便な場所でした。何のためにこんな不便な場所に?    ?
雑多な電気機械が出す電波雑音が届かなくて電波空間が澄んでいる!      !
電波が、遠い沖の空で情報をつかんだとき、邪魔がなくて帰って来れる場所なのです!  !

送信機系統図を最初に見て、海軍の旧型機 『11号電探改1』に似ていると感じた。
この機種を終戦まで使ったとするならば、当初のままモデルチェンジも大きな改良もなかった。
ゆとりが多い。ゆとりは工夫して性能向上に転換するべきだった。
逼迫した時局の認識不十分だったのではないか?

 
――模型――
実際は地上むきだしではなく軒の高さの土手囲い(爆風よけ)
また、送信アンテナと機械室は離して設置された。
敵機の来襲が盛んになった末期には、
防御堅固の必要から地下室を構築して機器を収容し、
地上から縦穴を掘ってアンテナ操作と給電のダクトとした。


廃墟が現存している情報がある。近傍居住者や諸用で訪れる人に危険が及ばないよう願う。


 海軍で先輩から陸の友軍を見た感想を聞いたことがあった。
「陸軍の電探は送信機が1つで、それを囲んで受信機がいくつもある。数ある受信アンテナにそれぞれ兵員がついて敵影をさがしている。炎暑の中上半身裸でキビキビ号令やら報告やら掛けあってご苦労だなぁと思った。
そして波長が長くて送信出力も大きいらしく遠距離の発見が早かった」と

 大出力のため送信電波が自分の受信機を壊すのを防ぐため送・受間を離隔した。
また、波長が長いとアンテナが大きく、振り回しに敏速性が欠けるので、範囲を区切って分担する必要から受信所を複数にした。

試算・・・500m隔てて受信アンテナが送信所に正対した時、受信機はどれほどの自局の送信電波に曝されるか?
1 結果・・・パルス時 2.8w 、連続平均 0.1w ---エーコン管に酷!(仮定 大地の影響無視、間に支障物なし)
 受信アンテナが送信所に正対する方向角±10°程度に受信入力を遮断する装置を付加すべきであった。
或いはその方向を『指向禁止範囲・そっちへ向けるな!』として通達運用していたのだろうか?
また、地形を利用して送・受間を遮蔽したらしい個所もあるが、そのような適当な地形は少ない。
 それにしても離隔の500mは何とかならなかったものか?

 なぜ長い波長の電波を使うのかというと、
(1)電波の性質上波長が長いほど水平線や島などを乗り越えて警戒距離が伸びる。
(2)当時は、波長が短いほど技術的に困難で、少しでも長ければ既得技術の応用が可能。
などの理由で、波長の長い方が手っ取り早くて選ばれた。

それらの理由で陸軍の電波警戒機は豪勢に、送信所1に対して受信所が複数だった。

私の別HP、『海軍レーダー徒然草』への投稿から抜粋

この玉之浦町には大瀬崎灯台の背後の百メートルくらい上に海軍のレーダー基地が作られ、今でも兵舎土台や一部セメント作りの部屋が残っています。
ちなみに、ここは海軍望楼があったところで「敵艦見ゆ」の第1報を受信したところです。
そのほか地下室や防空壕は危険なのでセメントでふたがしてあります。
さて、陸軍のものの設置場所は18年暮れからまず大宝郷の「力尾崎」の海抜百メートルくらいの山の上に、直径50センチくらいの松の木を2本繋いで高さ15メートルくらいの柱4本が5メートルくらいの間隔で井桁に組まれて沢山の電線が張りめぐらされていたと言うことです。
更に19年3月ころから大宝崎の少し左側(現地では通称カノという場所)にも井桁のやぐらができたということです。
そのほかに、この井桁のやぐらの東側と、井桁のやぐらの真中と、井桁のやぐらの西側の3ケ所に「ニ葉機」のような形をしたアンテナがあったということです。
発電機は、力尾崎と兵舎用の2つがあり大きな物でどのようにしてこの山の上に運んだのだろうかと言うくらいのものだったと言うことです。

 この電波兵器の方式をこの度詳細を知ることが出来た。送信アンテナは広く全方向に電波を散布する。
(井桁に組まれたのが送信アンテナ塔

受信アンテナを回転させてその電波の反射してくる来る方向を捜索し同時に距離を計る仕組み。
(ニ葉機のような形をしたアンテナが受信用)


受信所

 波長が4メートルなので、その1/2は、2メートル。


図を見るときアンテナ素子1本の長さは約2メートル、上段と下段の間隔も同じく約2メートル。
この見当で概略を推定できまる。

・観測員は送信真空管を強制空冷する騒音に煩わされない。
・変調用インパルスの「チーーー」音にも煩わされない。
これ等も隔離したことの効果に追加するべきだ。
 静かな受信室で観測できたことは羨ましい。このような環境だから微弱反射波も見逃さない。感ゼロでも捕捉!
「アンテナを吹き抜ける風の音がうるさい」
「渚に打ち寄せる波の音がうるさい」
「上官殿の小言が煩い」 などと贅沢言ったらキリがない。


360°が限界でぐるぐる回しはできなかった。





諸元(昭和19〜20年製)

送信機
周波数(MHz) 65-83(68,72,76,80)
繰替周波数(Hz) 500 or 1000スイッチ切り替え
パルス幅(μsec) 10-70
尖頭出力(50kw) 
発振管及び出力増幅管(いずれもプッシュプル)は強制空冷している
出力管には6千〜1万ボルトをかけている
出力波形モニタ(変調波形モニタ兼用)に120ミリブラウン管を使っている
受信所が離れているので自分の装置がうまく働いているかどうか知るのに必要なものだが、75ミリでも
間に合ったのでは! むしろ受信波観測と違って大きさが他のメーター類と並んで快適ではないか?
  初期には大きい方が安価だったのかもしれない?!



受信機及び受信機観測機

第1中間周波数 14MHz或いは 9MHz
第2 中間周波数 4MHz
帯域幅 500-700kHz
掃引幅 0-150、0-300km
掃引周波数=1/2変調繰替周波数
測距精度 ±5-10km
測角、最高感度方式、精度 ±5°
観測には120ミリブラウン管が使われていた。

 

送信アンテナ
a) 箱型、 無指向性 -1、 固定、利得 7 (等指向性比)
  利得に単位が示されていないが真数、以下同じ。
  『箱型』とはテレフンケン型のこと。
       【模型は目撃者からの聞き取りに想像を加えて作成】

b) 交叉V形ダイポール、4〜6段、固定、利得 15 (等指向性比)、水平ビーム幅 90°乃至 120°
b) は、必要な方向へ集中して送信する改良型で、利得が向上した。

地上 27 メートル以上   ←箱型 交叉V型→
   

 

受信アンテナ
4×2 反射器付ダイポール、回転型、利得 20(等指向性比)、水平ビーム幅 20°乃至 30°
地上 9 メートル以上

 

模型

電源
3相交流170-220V、50Hz、3kVA
10kVAディーゼル発電機

重量   10t

特異点

同期方式

受信機同期受信機
 複数の各受信所は送信所から 0.5km 程離して設置されたので別に専用受信機を置いて送信電波を受け、同期信号としている。
甲・乙2種あるが甲は電波が届きにくい場合に使うもののよう、シングルスーパーヘテロダインだが、主受信機と変わらない外観。
乙は強電界用なのだろう、ストレート方式。
 同期信号は送信所から有線で送られて来ると思っていた。
 ここに問題が想像される。
送信所・受信所間の地形利用による電波遮蔽は利点があるものの、逆に同期受信機に高利得(甲種)が必要となり、敵機或いは友軍機が付近を飛行した場合その反射波がより強く、同期が奪われ測定に誤差を生ずる。僅か5〜600メートル。有線で行われるべきではなかったか。

 ・・・占領軍資料中に “Ordinarily omit this unit.” 及び “Direct syn from transmiter moduration output.” と判読できる書き込みがあり、通常は同期受信機を設置せずケーブルで同期信号が送られていた模様・・・

同期受信アンテナ
2×2反射器付ダイポール、固定

受信機観測機

受信信号を検波(整流)していない。第2中間周波4MHzのままブラウン管の上・下偏向板間に印加している。
時間軸発生回路に衝撃波が誘導することに手を焼いた結果に違いない。 右図のようになったと思う。
・・・・・・・・・・・・・・ほかにも手立てはあったと思うが・・・・・・・・・・・・・・
このように信号を中間周波のまま使うのも解決策の1つ。・・・安易な対症療法!
∵〜∴観測画面は下図のように上下対称になった。


 
距離目盛はブラウン管面に印刷して間に合わされた。

 戦後、占領軍命令があってか? 輸送中の軍用品の移動が禁止された。
貨車から降ろされて新津駅構内の隅に野積みされていた それらの
物品の中に120ミリブラウン管を見た。哀れな姿 !
上記のように管面に印刷があったので陸軍用だと思いながら眺めた。

掃引周波数 

掃引周波数 = 1/2 変調繰替周波数 つまり、掃引鋸歯状波1回措きに送信パルスを発射する。

?疑問点?

送受信周波数チャンネルが4MHz間隔なのと、ブラウン管に印加する信号のキャリアが4MHzなのは何かわけがあるのだろうか?

命令・報告・情報の伝達
送信所近傍に本部があり、複数の受信所との間は有線通信が確実!
 (海軍の例から推測)方向・距離などは遠隔表示装置があり緊急をブザーで知らせ、同時に詳細を電話で報告した。
本部と更に上級本部との間の通信は?
この兵器の据えられる所は大抵は僻地で有線通信の開設、維持は困難のため、敵機発見は無線通信が併用された?
 方位、距離、反射の大小・強弱、移動状況等を略号に圧縮して手早く確実に伝達する必要があり、通信兵は十分に配置・訓練がなされていた筈。


真 空 管 表 

型 名 種  類 取付機器 用   途
MC-658-A
MC-658-A
MC-658-A
ME-664-A
ME-664-A
XB-767-A
SSE-120G
SSE-120G
TC-552-A
TC-579-B
TG-627-A
TR-594-A
Ut-6F7
UV-211A
UZ-42
UZ-42
UZ-42
UZ-6C6
UZ-6C6
UY-76
UY-76
UY-76
UZ-79
DC-762A※
HK-972-A
HK-972-A
K-250
KX-142
KX-5Z3
KX-5Z3
KX-5Z3
KX-80
QC-700-C
受信管
受信管
受信管
エーコン管
エーコン管
サイラトロン
ブラウン管
ブラウン管
送信管
送信管
送信管
送信管
受信3極5極管
送信管
受信管
受信管
受信管
受信管
受信管
受信3極管
受信3極管
受信3極管
受信双3極管
高真空整流管
高真空整流管
高真空整流管
高真空整流管
高真空整流管
整流管
整流管
整流管
整流管
熱陰極水銀整流管
観測機
受信機
同期受信機
受信機
同期受信機
送信機
観測機
送信機
送信機
送信機
送信機
送信機
受信機
送信機
観測機
送信機
送信機
送信機
観測機
観測機
観測機
送信機
観測機
観測機
送信機
送信機
送信機
送信機
観測機
受信機
同期受信機
送信機
送信機
信号増幅
中間周波増幅
中間周波増幅
高周波
高周波
インパルス
観測
モニタ
モニタ
発振(PP)
変調(インパルス)前段
出力増幅(PP)
水晶発振 & 逓倍
変調(PP)
時間軸(出力)
モニタ
繰替周期発生
モニタ
同期(入力)増幅
時間軸(阻止発振)
時間軸(鋸歯状波)
モニタ
時間軸(マルチバイブレータ)
ブラウン管用高圧
出力増幅回路用
発振回路用
変調回路用
モニタ用高圧・変調前段用
― 
― 
― 
インパルス回路用
発振回路C電源
3
6
6
4
4
1
1
1
1
2
1
2
1
2
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
2
2
2
1
1
1
1
1
2
定電圧放電管 0
※ "DC-762A" は占領軍資料では "KX-142" となっている。何れも繊條が 2.5V , 1.75A なので、同等品と判断。

関係用語解説
阻止発振
繊條
= ブロッキング発振
= 線条、フィラメント
(主に陸軍)
(全般)


総合系統図

要員

 静岡県磐田で部隊編成、教育の後各要地へ出陣。
  陸軍は部隊編成してから教育した。海軍と逆。

そのた

 逐次改良されながら昭和17年から終戦まで生産され、累計約350組。

 米軍はニューギニア島のウェワクで発見したので、"Wewak Radar"と呼称した。
----同様に海軍の11号電探は"Guadalcanal Type"と呼ばれていたらしい。----

 普通、最高感度方式のレーダーでは往復で2回絞られるので鋭さが倍になる。
ところがこのレーダーに於いては送信アンテナが、指向性を持たないので方向選択は受信アンテナの性能だけになる。結果は±5°となっている。警戒レーダーの測角精度が5°位は問題ないだろうが、読み取るのに手間取る。 さらに危惧する・・・放送局じゃあるまいし四方八方に電波を出せば、敵は電波標識にする!

また、情報伝達に中継箇所があるのも難点。敵は毎分8km迫ってくる。時間がかかっては折角の長距離探知性能が無駄になる。

(1)レーダーは無線通信やテレビ受信と違って、
 電波が往復だから受信電力が距離の4乗に反比例する。
 【受信電力が距離の4乗に反比例する】から探知距離を、5割伸ばすには5倍の送信出力が必要。
(2)目標高度がおよそ3000m以下では地球の丸みの陰になって、いくら出力を増やしてもダメ。

この種の警戒機はこれらの理由で200kmあたりが限度。
それ以上ではマグレに検知することもある。 高々度の超大編隊か、或いは特異な気象現象または 電離層スポラディックE発生時@d.o.

 

送信機の中和調整
 私は海軍で電波兵器を習い、戦後も長く無線技術屋をしてきたが『中和調整』を経験したことがない。
当時でも、既に古くて忘れられようとしている技術だった。
教員など先輩たちからは、調整の体験談を何度も聞かされた。この調整は経験とカンを要したらしい。
 海軍の『11号電探』や陸軍の『超短波警戒機タチ6』は、この『中和調整』が必要。
十分な注意が必要で、誤ると出力が足りないばかりでなく、寄生振動が発生することがある。
寄生振動  電気振動で目に見えないため気が付きにくい
これが発生すると、思いもかけない周波数の電波を空中に撒き散らす。
また真空管や送信回路を壊すこともある。
従って基地には、経験の深い士卒の配置が必要。



日本陸軍の超短波警戒機HP 立ちあげについて
池田さんから詳しく基地跡の現地踏査をされた情報をお送り頂き、
この度おかげさまで全体が把握できたと存じております。
あたらしくこのHPを立ち上げてご報告旁感謝を表明いたします。
平成16年元旦 安原久悦


池田さんのご尊父様ゆかりのレーダー基地の地形は、長崎県福江島、
国土地理院の地図[富江]→『玉之浦』をご覧ください。
力尾崎・大宝崎間の断崖の上一帯に注目!

池田さん撮影、上記の場所を眺望
レーダー基地は中央に見える岬の突端から向こう側一帯




受信所の模型


 

副次的な活用

 このタチ6号の送信所に使用され2種のうちの1つ、テレフンケン型(箱型)アンテナは、
全方向に均等に電波を送出させようと考案されたもので元来は放送送信用。
初期段階では同一基地内に複数の受信所があるためにこの送信アンテナを最適なものとして
採用したのであろうが、当初考え及ばなかった副次的な活用法が考案された。
余分に発射した電波を無益にさせない工夫に、タチ20号レーダーが開発された。
タチ20号は送信機を持たない受信だけの装置で、最寄の、タチ6号基地の送信機を親と決めて、
親送信機から発射し、標的から帰って来た反射電波を受信する。
測定した距離は送信点から反射点までと、反射点から受信点までの平均距離。(送受中間から)
方向と高度は、送信点にかかわらず受信点で測定した数値そのままで
方向、高度を精測する機能を備えており、標定機として使用された。




なぜ ?

 タチ6号は送信機1に対して受信機が1〜3、それが2組であれば 場所数が増える。
当然観測員は多く、故障も増える。電力需要増で発電設備は大形になり機関員も増員。
事務、炊事、指揮系統も人手が多く要る、人員が多くなれば指揮官に上級者が充てられる。
上級者にはスタフが付く。  馬に乗る、その馬に兵が付く。
結果要員は増えに増えて4〜5倍となった。
 占領軍調査を見れば、同用途の タチ18号にはアンテナ送受共用など新技術が採用され、
出力は50kwと高く、観測精度も向上している。そして タチ6号ほど人手を食わない! 
生産数は400セットとある。しかし、
同調査に鶴御崎に設置の写真が1箇所あるが、場所など諸条件から察するに試使用乃至
訓練用に過ぎず本番設置のものは遺跡はおろか風聞すらもない。・・・『幻』!
    数は十分だ! 同資料にタチ6のそれは350なのでそれを上回っている。
 高性能機種に早速入れ替えるえるべきなのにタチ6号を最後まで働かせた。
漫然と見過ごしたわけはなかろう ・・・ わけを知りたい?
 それとも、防諜作戦が完全成功して遺跡も風聞も残さなかった ?!


アンテナ構造を見て、タチ18号にはバックローブ抑止の配慮がない。観測ミスは無かったか?

 碍子の形状不明

Tachi 18:
Other designations: Radio detector, carrier type; Portable Ultra Short Wave warning Radar; Type 4 Mobile Radar.

The Tachi 18 was the most portable of the Japanese early warning equipment, since it could be moved in four standard Army trucks.
The antenna was mounted 14 feet above the ground on a tower which could be easily disassembled.
The antenna was similar in appearance to that of the SCR-270, and performance of the two sets was somewhat comparable.
Use and accuracy were similar to the Tachi 6; range results were loss than those of the Tachi 6 due to losses in the antenna coupling.

This equipment was manufactured by Iwasaki Tsushin and Tokyo Shibaura Denki.
About 400 sets ware produced, from August 1943 to June 1945.

Intelligence on the Tachi 18 was obtained only in the closing days of the war.
Blueprints dated March-August 1944 were detailed in CS 0330.
Photographs of set at Tsurumi-Sake(ママ), taken by FENF aircraft, were received about the time of cessation of hostilities and were not published.
No sets had been captured.
                    占領米軍記録から抜粋  原典活字摩耗につき判読筆写 yaswara 某


 

ドップラー効果レーダー各種

(1)超短波警戒機甲

  

 【超短波警戒機】の検知音を想像してみる。
次項に記載の タキ37号 も、同じ ドップラー効果を利用したものであるが、
タキ37号のそれよりも周波数がおよそ1桁低いためビート周波数も比例して低い。
低くて聞こえないので使用電波を1kHzで振幅変調したものを使用する。即ち、電波形式“A”。
反射波があれば1kHzの音が脈動する。移動体からの反射波がないときは脈動しない。
脈動しない常時音は抑圧して煩雑を避ける。
脈動部分を増幅して高声器出力と警報信号に加工して表示する。
目標が遠い時は脈動が早く「ピリピリピリ」という感じ。
近い時は「ワーンワーン」とゆっくりになる。
1kHzはドレミでいうと1オクターブ上の「シ」で、甲高く聞こえる。
目標が送信・受信地点を結ぶ線或いはその延長線上空に近づくと脈動が
遅くなり、やがて止まった後再び脈動が始まって、次第に速くなる。
止まった時が線上空を横切った時。

 改良・変更か、或いは識別のためか変調周波数を 500Hz とする資料もある。

海軍は試みたが、採用しなかった。 移動対を含む基線は、相対的に陸地、島等のあらゆる固定体との距離変化を招いて反射電波のすべてがドップラー効果を受ける。
よって、艦船搭載は無理で利用価値無しとされた。


 

(2)最も安価なレーダー



  

 陸軍に、実用には至らなかったがタキ37号という電波兵器が計画されたらしい。
2通りが試みられて第1案のものは送信機・受信機ともに航空機に積載して主として帰投用を目的とする。
第2案のものは陸上に送信機を置き、迎撃戦闘機に受信機を設置して大型敵機への接近に用いる。
何れも送信機は連続波を送出し、ドップラー効果により移動体の反射に周波数変化が生ずる事を利用。
直接波と反射波を混合受信すればそのが可聴音になって出力される。
反射電波を指向性アンテナで受信し、可聴音が最大になるよう方向を探って目視距離まで誘導する。
パルス電探と違って距離を表示出来ないが、その代わり近すぎて測定できないということが無い。
極端に言いば、ぶっつかるまで方向だけはわかる。
 また船舶上空を通過する時、船からの反射はその“直上”で零ビートになることも知られていた。
     “直上”を厳密に言い替えるならば・・・・“真上と、真上の真横”
しかしこれは、精度が不足で攻撃用に使えなかったのだろう。

 受信機は超再生式で構造が簡単。
変調器や指示装置など難しいものは要らない。
出力表示は受話器だけ。

 まったく安い! いくら資材難の状況下であってもこれなら量産できるだろう。
指向性アンテナに反射波を感じれば超再生雑音が消えて可聴周波音が聞こえる。
周波数が高いからドップラー効果によるビート波がたまたま可聴周波音になる。
  彼我向き合ったら500〜1000Hz。追跡或いは同行の場合はビートの周波数が低く、
  ビート周波数が0に近くなれば超再生音が「ザー ザー 」と波状に聞こえる。
したがって45〜75MHzの警戒機甲のように送信波を変調する必要は無い。
どのくらいの周波数で設計されたか不明であるが500MHz 波長60cm と推定して大きな誤りは無いだろう。
送信出力は無変調100ワットとされている。

 なぜ実現しなかったのか? 理論は正しい、材料調達、加工も可能だ。
最大の理由は、先が短い搭乗員が納得して熟達するまでに難渋を予想して開発を棚上げにしたのだろう。
追跡・同行の時ビートが聞き難いことを欠点にあげたかも知れないが、欠点は改善できる筈。

 ドップラー効果によるビートがどのような音なのか?
タキ37第2案の場合を例にして想像してみると、
目標と対向して距離が急速に変化している時は「ピー」という笛の音のように聞こえる。
そして、すれ違った時に一瞬途切れて再び同じ音が続く。
斜めに、上または下から或いは横から接近する時は「ブー」と低音に聞こえる。
追跡または同行、或いは追跡されている時は距離変化が少ないので「ササササササ」乃至「ザー ザー 」と雑音が断続して聞こえる。
これを用兵者に理解させるのは無理で「思いつきに過ぎない!」と一蹴されている光景がまぶたに浮かぶ。 全員ゆとりがない時期!
  「耐震真空管ができない」と言って、【近接信管・電波信管・VT信管】の研究を諦めてしまうわけにはいかない。
なんとか最接近時に破裂させる方法はないか、海軍には『A計画』があった。陸軍にも無かったわけがない!
ロケット砲に近接信管として計画されたのではないか?【ロケット弾は発射衝撃が少ない。スピンしない。】
《タキ37号》は 近接信管 を目的に開発研究中のもので、戦況逼迫の折、中間成果の転用を模索した。

  次に掲げる《(3)VT信管》は、 敵サン 米軍がVHFを使用して実戦投入を間に合わせた近接信管である。

専門技術者向け参考 12/D



(3)VT信管

 これは、当時米軍の機密新兵器で、もし彼にこれが無かったら わが先輩たちに、攻撃途上での散華がもっと少なかった!
対空砲弾に取り付けたこの信管はレーダーであって、外れて直撃しなくとも、そばを通り抜けるときに、破裂させる。
当時、普通には、砲弾発射から目標に至る時間を見込んで時限信管を設定する。 これでは、はずれ弾が有効になることは稀。
対空射撃を度々見た。とどかなかったり行過ぎたり離れたところで炸裂していた。昼は煙で、夜は閃光でそれがわかる。まったく「惜しい」! 「歯がゆい」!
直撃命中するはずの弾道を描いているにもかかわらず時限が働いて届かずに炸裂したら残念もこの上ない!
敵機の上下や、まわりに盛んに炸裂しているがその中心あたりを悠然と飛んでいる。
   彼奴等はまた、無差別に東京を焼殺す!

敵サン はVT信管を作って外れ弾を有効にしていた!

 「VT信管は金属探知機だ」という人があるらしいが、「VT信管は完全にレーダー」である。
 これを言うには、レーダーの定義が必要だが、公的な定義がどこかにあるだろうか?
いま、それを知らないが、radio detecting and ranging の略であるから「レーダーとは、電波により、目標物を検知・認識する装置」とする。
 そこで、VT信管は、高周波電力を『電波』に変えて発射し、その反射波を検知しているからまさにレーダーだ。
 金属探知機は高周波電力を利用することは同じでも『電波』ではなく『電磁誘導』による反起電力を検知するものである。
「検知距離が真近か」ではあるがVT信管は『電波』を使っているから「は金属探知機」と言うのは見当はずれの、はったりだ!
そして『電磁誘導』を使うならばVHFではなく、もっと波長が長くないと届かない。

VT信管は、

 旧来技術のオートダイン受信方式を利用してる。さらに、
アンテナに繋がっているオートダインは受信しながら同時に電波を出す。つまり送信機を兼ねている。
 自分の送信した電波の反射波を自分で受けるのだが、発信源である弾丸も目標も、両方とも移動している。
反射電波はドップラー現象で、【ずれ】た周波数で帰ってくる。相互の距離変化が大きいので、
【ずれ】はビートで現れる。このビートの低周波を検知して、弾丸を空中で破裂させる。
 有効距離が10メートル以内といっても波長が短いので、『電磁誘導』は届かない。
また、近いから『電波』は、微小減力でも有効。


  「誘導電界」が『電磁誘導』、「輻射電界」が『電波』

 VT信管の結線図を見た時には昔の並四ラジオを思い出した。
     結線図は既にネットにあるので保留!
勿論真空管は耐震性のある超小型のものだが回路図はそっくり。(乾電池式だから整流管は不要)
スピーカーに代わってサイラトロンの電流で発熱起爆させる回路である。

もう並四(なみよん)ラジオを知っている人は少ない。感度を上げようとして再生を懸け過ぎると自分のラジオだけでなく向こう三軒両隣までピーっと鳴る。
当時民間放送が無かったから大抵同じチャンネルを聞いている。迷惑だがお互い様だから止むまで待つ。
これを逆に利用したのがVT信管! 向こう三軒両隣位まで、 VT信管はこの程度の距離で働くので好都合!

 ドップラー周波数を計算してみる。
電波の周波数は160MHz前後に適宜設定されたらしいが、160MHzとすれば、
波長は187.5cm。 例えば接近する相互の距離変化を時速800Kmとすると、222m/sec
  ドップラー周波数=速度×2÷波長=444÷187.5=237(Hz)
    ♪ 1オクターブさがった ラ# ♪
近付く状態から遠ざかる状態に変わる時、つまり真横をすれ違う時ドップラー音の周波数は一瞬ゼロになる。
 この変化を検知して信管を動作させる。

暴発を防いでいる。

1)引き金が引かれる条件は、反射電波を検知する と、ドップラーを検知する の2重(AND)になっている。
2)暴発防止の安全装置も2重(AND)に取り付けられていて、何れもスピンがかかれば回路の短絡が外れ安全が解除される。1つは水銀スイッチ、他の1つは錘りスイッチ。


 もしがわが軍がこの秘密兵器を知ったとすれば、回路も理屈もすぐに理解できた。
しかし耐震真空管ができなくてマネするには数年間必要だっただろう!
「我が軍は米軍がこのような『近接信管』を使用していたことを誰も知っていなかった!」とされているが、違う!
【気付いたときは戦死したとき!】だったとして、「九死に一生」のことわざ通り生還した時に語られた。
我が軍の時限信管より有効な信管が使われているらしいと感じていた将兵は多かった。それに対して
米軍は不発弾を日本側に拾われないよう対策を厳重に指示していたと聞くがどうだったか?



 

陸軍だけ、これも

タチ3号電波標定機と原型GL
 日本軍がシンガポール要塞を占領した時に英軍が残したラジオロケーターを解析して得た技術で国産化したものである。GL式 (GunLaying ?)
特徴
最大の特徴は上下1対の素子を固定したまま それぞれが捕えた到来電波の位相差によって入射高角を測るのである。
アンテナを傾けたり、起こしたりするのと違ってゴニオメーターを回すだけだから僅かな操作で しかも敏速に測れる。
この機種、タチ3、タチ20、タチ35はいずれも波長4m前後で長い、波長が長ければアンテナが大きい。それを傾けたり起こしたりは構造からも操作面でも困難なのでこの方式が採用されたのだろう。

 タチ3号はGLを解体解析して真似たものであることは事実であるが、特に仰角測定に於いて我が軍の環境に適した改良が行われている。
ゴニオメーターは2個の固定コイルに間に90度位相差を持たせて、回転磁界によってベクトルを測るのが本来の使用法である。
然るに、GLでは、垂直同1平面配置の2個のエレメントの出力を位相差におかまいなしに入力している。
 タチ3号は仰角アンテナ面を水平に倒し、
"The horizontal arrangement of the receiving antenna gave greater elevation accuracy at high angles of elevation."
 タチ20号、タチ35号に至ってGLと同じ構成になった。
 タチ3号はGLを只管模倣しただけではない! 使い勝手に合うように改良を試みている。

後世から見てフェーズドアレーの元祖のように見えるが果たして系譜は繋がっているだろうか?
    モノパルス方式でもある!
 方向測定は、左右のアンテナ出力極性を逆に接続して差により正面を谷とする指向特性で行う。両アンテナ間は1波長であったが、
【以下推定】運用中途から2波長に改良された。

角度測定概念図





タチ14号・タキ14号 PPI表示方式 = パノラマ

 SHFの下、『UHFの上半部』は有効さは分かっても閑散、
人影稀な荒野の様、戦後半導体技術の進展に伴って負性抵抗が便利になり充実した!
その『UHFの上半部』に限界挑戦機、タチ14号及びタキ14号!



リンク 陸軍山頂遺跡